鍵盤を使わないと決めて時間が経ちました。現在鍵盤がなくても問題なく音楽を作れています。
ちょっと振り返ってみます。ボンクラだからいろいろ試行錯誤してますね…
鍵盤を使わずにつくれないか考えたきっかけ
全く鍵盤を使わなくても作れるタイプの音楽もあると思いますが、生楽器を多く扱うタイプの音楽を長くやってきたので、鍵盤は不得手であってもやらざるを得なかった。
とにかく、演奏するほうが自分にとっては作る音楽としても自然だったので、生演奏で作ることにずっとこだわっていました。家で作るときにさっと演奏して作ればいいと思っていたわけです。
でも、自宅におよそ1年間帰れなかった時期があったんですね。1年使わなかったものは機械的に処分するというのをやっていました。
でも、ホテル暮らしやウィークリーマンション暮らしでこんなに機材を持っていくことはできないですよね…飛行機の移動も多かったですし。
1年間ギターとAbletonPUSH2、MicrokeyAir、iLoudMicroMonitorとヘッドフォンと言うものだけで音楽を作れないか挑戦してみた。以前は鍵盤を持ち歩いていたこともあるんですが、消耗が酷かった。
流石にこれは無理がありすぎますね。出張先に着く前にバテてました。アホすぎる…
ですので、鍵盤を持っていくか、PUSHを持っていくか考えざるを得なかった。
正直、どっちでも音楽制作はできたと思うんですけど、PUSHのほうが取り回しが楽だったんです。
鍵盤がメインではないから49鍵あればだいたいなんとかなるとはいえ、ホテルのデスクに置くのは厳しい。PUSHなら大抵のホテルのデスクに置けますから。
AbletonPUSH2は普通、モバイル用の機材には分類されないと思いますけど、自分にとってはMIDI鍵盤も兼ねていたということです。鍵盤と比べればなんだってモバイル機器ですよねえ…
で、東京に戻っている時にギターは部屋においておいて、出張する時、AbletonPUSH2、MicrokeyAir、iLoudMicroMonitorとヘッドフォンでやってました。これも一年は実験したかな。あ、一時期Maschine mk3も運んでました…
スペカンさんに教わったことで、64パッドでのフィンガードラムが出来るようになったことで機材を減らせたことは大きかったです。
追記:2021/08/27
AbletonPUSH2を持ち出しで使うときに関しては、これでやってます。長期ならiLoudMicroMonitorを持っていきますね。
キースイッチの問題
なんですが、AbletonPUSH2だけで作ろうとするのは無理がありました。そりゃそうですよね…
移動が多い時期、私が音楽に使える時間は本当に少なかったんですね。打ち込みするよりは鍵盤弾いたほうが早いと何度も思いました。一筆書きのような形でしか音楽をやることができなかった。
1番ストレスが溜まったのはキースイッチの問題です…
ホーンやストリングスを結構使うものを作っていたのでキースイッチは使いまくりでした。ベースも弾けばいいんですけど、とても持っていけないからソフト音源しか使えなかった。
奏法切り替えのためのキースイッチを後で打ち込むならリアルタイムで弾きたかったんですね。
でも4度のクロマチックだとAbletonPUSH2の音域は3オクターブ半です。で、キースイッチってたいてい低い音域にアサインされているから、PUSHをリアルタイムに弾きながらキースイッチを切り替えるためにはオクターブキーを押さないといけない。
いくらなんでも無理ですね…
問題はそれだけではなかったです。
追記:2021/08/27
移動が少ない時期にはフットスイッチでキースイッチをコントロールしていましたが、掃除の大変さと設定の複雑さに負けました…
剛性も機能も充分。スペースあって掃除考えなくていいならまた置くかな…
モジュレーションホイール・ピッチベンドの問題
AbletonPUSH2は4度のクロマチックだとベースの感覚で弾けるので、シンベなんか楽に弾けるだろうと思いますよね。
ピッチベンドやモジュレーションホイールを使いまくるプレイの場合は無理と言わないまでも難しいです。リアルタイムで弾こうと頑張った時期もあるんですけど、諦めました。
というのは、PUSH2の場合ピッチベンドやモジュレーションホイールはタッチストリップで切り替えする必要があるわけです。演奏しながらだと不可能ですね…
パッドで演奏しようとするとシングルノートでも、結構両手を使うことがおわかり頂けるのではないでしょうか・・・
シンベだと一回録音してからピッチベンドやモジュレーションをもう一回録音するだけで、もうやる気なくなるんですよね。演奏している音楽をやりたいのに、もうテンションが下がってしまうわけです。
え、そんなことでやる気なくなるの?って。おっさんのモチベーションはすぐなくなるんやよ。まじで…
いつも疲れてるから、自分が楽しいことと楽なこと考えないととても続けられないです…
移動が多い生活は、若くて健康な人なら出来ると思いますが、私には厳しかった。
なので、こういう基準で考えていました。
サステインペダルの問題
サステインペダルの問題もありました。実際のところ、PUSHにはサステインペダルは接続できます。
できますけど、わざわざサステインペダルを持って出張行くのはきつすぎますね…
出張先にサステインペダルを持っていく時点でやばい人ですよね…
で、この問題を解決するためにMicroKey Airを導入しました。
ジョイスティックで、ピッチベンド、モジュレーションホイール、サステインペダルの問題が解決できるうえに、キースイッチの問題も解決できる。
ギタリストやベーシスト、鍵盤を演奏しないホーンプレイヤーにはこの組み合わせは結構いいのではないでしょうか。移動が多い人にもおすすめ出来る組み合わせです。最小限の機材で過ごそうとした東京に戻ってる間はこれで全部やっていました。
iLoudMicroMonitorとPUSH2がこの5年間変わらなかった機材ですね。UDGのリュックは今でも使ってます。iLoudMicroMonitorもPUSHも全部入りますからね…
移動が少なくなって前提条件が変わった
なんですけど、東京を引き払った。生活も変わりました。仕事も変えました。
PUSHを使っていた大きな理由は、これ一つでいろんなことが出来るからですね。
鍵盤的にも使えるし、ミックスにも使える、フィンガードラムも使えるし、サンプリングも出来る。
ですけど、ブログを更新していない間は、鍵盤を弾くことのほうが多いし、ギターを弾く機会の方が多かったです。
AbletonPUSH2の場合は音域が限られていて、左手でコード弾きながら、右手でメロディを弾くということができない場合もあるわけです。
出来るけど、ものすごく工夫しないといけない。
スタンダードの練習なんかは、まず鍵盤で理解してからギター弾くというのを長くやってきましたし、録音も生楽器中心。
PUSHどころかLIVEを使う必要性すら少ない。ProToolsを使っている時間が長かったです。いままでで1番長いこと使ってきたわけですからね。
コロナウイルスで生演奏する場がなくなった
で、まあ、また生楽器中心にやっていくかなと思っていました。なんですけど、そうは行かなかった。ほそぼそと続けていたオルガントリオ、ブッキングしてくれてたお店がコロナウイルスで立ち行かなくなってしまいました…
オルガンの友達ももう音楽で生活するのは無理だと音楽から離れました。
音楽を教えることでなんとか食いつないで来たんですけど、コロナウイルスで続けることが難しくなった。残念だけど仕方ない。
子供がいれば食べさせなければならないし、見通しが立たないなら立たないで動くしかない。本当、残念ですけど。
演奏する場所があるから、なんとかやってこれた。スタンダード中心だから、その場でなんとかもできた。向上心がない奴らとも言えますかね…
で、解散とはしないけれど、無期限に休もうとなりました。
がっくり来ました。
また、怪我をする
で、落ち込んでいるうちに、結構なやけどをしてしまいました。手を痛めているのに、また悪くしてしまったわけですね…料理でやらかしました。ボンクラすぎる…
で、ギターを弾くのは厳しいけど、パッド触ってみたらどうかなと思ったら、ギターは厳しいけどパッドなら弾ける。フィンガードラムは難しいけど、鍵盤的なプレイならなんとかできそう。
生演奏が好きでずっとやってきたわけだけれど、今後、複数人でやることは無理とは言わないけれど、見通しが立たない。
じゃあ、どうするか。またLiveLoopingやってもいいなと思いました。そもそもLiveを再び使うようになったきっかけはLiveLoopingをやるのに便利だからです。
この辺の経緯はこちらで書きました。
で、家でできるようしたかった。家で配信することなんか考えたらモチベーション保てるかもしれない。
LiveLoopingを以前やっていた時は全楽器演奏してループするという本当に大掛かりなシステムでした。けど、今ならPCパワーも上がってますし、LIVEを軸にしたシステムでシンプルに出来るかもしれないと思いはじめました。
シンプルなシステムでやるなら鍵盤はなくてもいいのでは
まずは大掛かりなものではなく、ギターとPUSHで鍵盤的なプレイができないか考えてみたんですね。
LiveLoopingを再開していくに当たって、TinyDeskConcertの一人版みたいなのだと楽しめるなと。いつも仕事しているデスクで、休み時間におもむろにLiveLoopingをしてみる。
ね。ちょっと楽しくないですか。
生活の中に音楽がある感じがしますよね。
そして、今の自分にとっては、パッドが1番演奏するのが楽な楽器になってしまった。パッドの次がギター、鍵盤は1番しんどい。
そしてシンプルな鍵盤のプレイなら別にAbletonPUSH2でできますし。
で、そんなことなしているうちに、音声、音楽、映像もコンテンツとして作るのが仕事で大きな割合を占めるようになってきました。
早く作る必要が出てきた。鍵盤よりパッドのほうが早く作れるんだから、もっと考えようとなってきました。
AbletonPUSH2でミックスはできますけど、Liveの場合にパンニングやボリュームをさっと調整するのは難しい。ですので、LaunchControlXLを導入します。
PUSH1台でもできなくなくはないですけど、AbletonPUSH2の場合はロータリーエンコーダーなので、ボリュームの調整はできて2つが限界です。LaunchControlなら縦フェーダーあるので、さっと調整できます。
Liveloopingすると考えるとAbletonPUSH2では、MuteやArmが煩雑すぎる。
これ、凄い問題になるということは以前の経験からわかっていました。操作ミスした瞬間に終わってしまう。何度もやらかしましたからね…
そして、PUSHでできないMIDIラーン、普通のMIDI鍵盤のつまみならアサイン出来るものは結構あるんですね。
そういうようなものはLaunchControlXLならできます。圧倒的に早い。
仕事で音声も音楽も映像もやらなきゃいけない。となると昔から使ってきて早く使えるもの中心で作るようになりました。Spectarsonicsの製品なんかハチャメチャにMIDIラーンできますからね。PUSHだと1クリック余分に手間がかかる。それだけでもやりたくないです…
で、鍵盤を使わないなら、考えなきゃいけないことありますね。そうです。エクスプレッションペダルです…
エクスプレッションペダルをどうするか
できれば、ギターもプラグインを使ってLiveLoopingをやりたい。ワウを踏みたいわけです。
別に実機のワウを使ってもいいんですけど、とにかくトータル・リコールできるようにしたい。
もう一回設定思い出すのとかやってられない。先日も久しぶりにアンプつないでもう1フレーズ必要になって全く違う音色になってハゲそうでした…
とにかく、ボンクラなんだから工夫するんじゃなくて工夫しなくてもミスしない仕組みを作らないといけない。
鍵盤にエクスプレッションペダルをつなげて使うのが一般的ですけど、鍵盤はもう使いたくない。
そしてオルガンはLiveLoopingでも使いたかった。エクスプレッションペダルなしでオルガンを弾くのは流石にしんどいですからね…
で、導入しました。iRigBlueBoardは持ち運びに便利ということも大きいですね。これならエクスプレッションペダルもつなげるし、ギターケースにも持ち運べる。LiveLoopingするときにも配置の自由があります。
もっと音域がほしい
で、ちょっとしたピアノ的なフレーズ、PUSHでオーバダブして右手と左手別々に弾いてもいいんですが、だんだん面倒になってきました…
鍵盤なら一発で弾けるのを、音域の問題で今一番楽に弾けるパッドで2回演奏しなきゃいけないのは無駄が過ぎます。そのために鍵盤を出すのもここまで考えてきたのにバカバカしいですよね…
そして、8*8の64パッドでは、端の方だと、4度のクロマチックの最大のメリットである、同一度数は同一フィンガリングで弾けるというメリットが無くなります。指使いを変えざるを得ない。
ギターなら、同じインターバルでもポジションによって音の変化があるから違うフィンガリングをマスターする意味はありますが、パッドはそんなことないですからね。
なので、LaunchPadXを導入しました。
左手でコードを弾いて、右手でメロディを弾くというのがこれなら簡単になる。そう思っていました…
左がPUSH,右がLaunchpadXでLaunchpadXは1オクターブ上に設定してあります。
はい。でも、同じ音色ならどうでしょうか。ピアノ的にやろうとするときに問題が生じます。これ、右手を一オクターブあげているんです。
PUSH2とLaunchPadXの間にAbleton PUSH2の機能キーもありますし、数センチメートルの幅があります。なので端はそもそも同一フィンガリングで弾けません。
128パッドでスムーズに表示がみえるようにしようとすると、また問題があるんです。LaunchPadXのルート音をずらして表示させることができない。
Ableton PUSH2はルートの位置をかえずに、ルートを他の音に簡単に変えられるんですけどね…
まあ、仕様だから仕方ない。詰んだかなと。
同一フィンガリングというパッドのメリットが活かせないなら鍵盤併用か…
混乱しますね。もうイヤや…
まあ、でも鍵盤は弾きたくないけど、コードを弾きたいとか、シンセを弾きたいという人にはLaunchPadXはおすすめですね。シンプルなものならこれだけでいいと思います。
PUSHに比べて遥かに安いですし、iPhoneでも使えますから。デメリットに関しては記事をご覧いただければいいかと。
ピッチベンドとモジュレーションホイールの問題を解決
鍵盤を使わないとなると避けて通れないこの2つの問題はTouché SEで解決しました。
ほとんどの人は、Touché SEをストリングスなどのコントロールに使うと思うんですが、私にとっては汎用のピッチベンドとモジュレーションホイールとして使えたらいいと考えていて、Touché SEはその条件にかなっていた。
実際使ってみたら、Touché SEはものすごい可能性がある入力デバイスとわかった。ゆっくりパラメーターを精密にコントルールするとか、叩くとか他ではできない表現できますからね。
MPEはどうする
MPEはMIDI情報を一つのノートに対して複数送れる規格です。
シンセのピッチベンドなんか使うと、全部ノートに対してピッチベンドが掛かりますよね。でもMPEだとそれぞれ個別にモジュレーション、アフタータッチ、ピッチベンドなんかが送信できるわけです。
ものすごい表現力があるだろうというのはわかっていました。
で、実はROLIのSEABOARDも買って実験していました…
まあMPEに関しての可能性はわかった。
でも、ここまで鍵盤を使わないようにしてきたのに、これを使うのも…なんだか負けた気がしますよね…
これならパッドでMPE対応のものを使いたい。PUSHもアフタータッチは対応してるんですけどね。ピッチベンドや縦方向の動きには対応しているわけではないんです。
MPE、まだあんまり理解されてないと思いますけど、自分専用の楽器を作るようなものです。モノフォニックで使ってもいい。ある程度使って可能性がわかりました。
SEABOARD、私にとっては鍵盤の奏法に加えて、別のスライドやプレッシャーという鍵盤にない奏法をこのために覚えるのに時間は使えないなと思いました。
また別の楽器をマスターするのと同じ手間がかかる。それならギターの奏法と近いものでやりたい。
鍵盤奏者より弦楽器奏者のほうが、弦楽器のテクニックで、アーティキュレーションをつけられるので面白さあるんじゃないかと思っています。
音域とMPEの問題を解決したのはLinnstrumentだった
で、色々調べてLinnstrumentを購入しました。
Linnstrumentは音域が5オクターブ、MPE対応です。200パッド。お金はないけどパッドはある。この無敵感はどう伝えればいいですかね…
正直このサイズならまた移動が多い生活になっても余裕で持ち運べます。まあ、私はその辺りの感覚狂ってるかもしれないですけど…
何より素晴らしいのが、感度です。SEABOARDよりずっといいです。そしてピッチベンドや傾き、アフタータッチなどギターの奏法の多くでMPEを最大限に使えます。
Linnstrumentは200パッドあり、同一度数の場合は、同一フィンガリングで弾けるという4度のクロマチックのメリットを最大限活かせます。
また、他のDAWでも問題なくつなげますし、ハードのシンセでもMIDIがあれば使えます。いずれレビューします。
あ、サステインペダルもつなげますし、iPhoneにもつなげますよ。ピッチベンドもオフに出来るので、普通の鍵盤としても使えます。究極ですね。
でも、私が感じている最大のメリットは、パッドが小さいことなんですよね。片手で3オクターブ押さえられます。
AbletonPUSH2やLaunchPadXとは全く別物です。でも、この2つはあってもいい。というのは連打したり、フィンガードラミング的なものをやるのは、AbletonPUSH2やLaunchPadXのほうがやりやすい。
そして、Abletonを使うのであれば、PUSHはあると便利です。
Drumrackやオートメーションで重宝しますし。
両手でピアノ的なプレイをしたい人は、はじめにLinnstrument買ったほうが習得コストを下げられると思います。
日本で買うと30万円位かかる高級MIDIコンになってしまいますけど、アメリカから輸入すれば関税考えても20万円かからず購入できます。
もう、教える仕事が嫌になってるから代理店でもやろうかな。Rogerさんから教わればいいんですよね。
マニュアルも全部和訳してもいいし、DAWでMPEの設定なんかまだ英語でも情報ないですしね。持ち出し用に128のLinnstrumentも欲しいくらいです…
ピッチベンドやモジュレーションもこれで問題は解決したのですが、正直Touché SEはあってもいい。音源が素晴らしいです。
これで、ピアノ的なプレイLinnsturument,セッションビューの再生はLaunchPadX、オートメーションやフィンガードラムはPUSH2,ミキサーLaunchControlという形で出来るようになりました。
条件が厳しくなるLivelooppingでも十分使えますし、普通の打ち込みで鍵盤がなくて困ることは全くなくなりました。
一番良かったのは、だいぶ時間を買うことができたことです。鍵盤なしで出来るのかなと思いましたが、やろうと思ったら出来るものです。パッドだけで作るのも楽しいですよ!
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