ファンクをやるために歴史を知ろう 4 中西部 | 無理ない暮らし
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ファンクをやるために歴史を知ろう 4 中西部

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音楽
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作るための目線としてハーモニーやリズム、特徴的なプレイスタイル、影響力のあったプレイヤーなどをピックアップしていっているので、プレイヤーには有名だけど、リスナーだと知らないというものも結構あるかもしれません。

今回は中西部です。ファンクが盛んな土地であり、優秀なファンクバンドがたくさん生まれました。テクニシャンが多い地域という印象がありますね。

中西部といっても広いやないかと言われたらそのとおりなんですけど、あくまでざっくりした分け方です…

地域を意識するとファンク探求もぐっと楽しくなります。

ブルース、ソウルなどのブラック・ミュージックでは地域ごとのスタイルの差が大きい。

理由の1つとしてはラジオ局の電波が届くところで影響があったとも言われています。

今でもアメリカだとラジオの強さにはびっくりしますね。

モータウンやシカゴ・ソウルなどを産んだ土地でもあります。ライブ配信では話せなかったので、また話そうと思います。概要とはいえ、モータウンを飛ばして話すことは不可能ですね。やっぱり。

モータウンに関してはミュージシャンが特に重要なので、移転前のモータウンは中西部、移転後のモータウンは西海岸でも取り上げます。

ミュージシャンも移動しているのでこの区分けは必ず正確なものではないことを繰り返しておきます。

ただ、地域を押さえておくと、クレジットなどがからわかることもあります。

アレンジャー、参加ミュージシャンから、このセッションの時はどのスタジオにいただろうとと特定できることもありますので、覚えておくと困らないと思います。本格的に知りたい方はアメリカはユニオンが発達しているので、問い合わせたりするといいかもしれませんね。そこまで、みんなやらんか…

中西部

Beatlesにカバーされたり、現在まで活動を続けているThe Isley Brothersから見ていきましょう。

The Isley Brothers,Bobby Womack

このTestifyはJimi Hendrixの初期の録音として重要ですね。

ファンクギタリストはJimmy Nolenのような音価をタイトにしてシングルノートやコードのカッティングをするスタイルと、リードはJimi Hendrix的なスタイルの2つを得意とする人が多い。

この二人のグレイトなギタリストは両者ともブルースの影響を受けて独自のスタイルを作った意味でも重要です。Jimi Hendrixは相当なブルース・マニアですしね。

いわゆるJimi Hendrixコードの使用などスタイルは確立していますね。フレーズなどはEarl kingのカバーであるCome onでも使っているようなシーケンスフレーズを弾いていたりするのも面白いところです。

当時のJimiはBobby Womackと同じくらいうまく弾けるということで評価が高かったということで、JimiがR&Bギタリストとして同業者に高く評価されていたことがわかると思います。

Dr.Johnの伝記にもJimi Hendrixが素晴らしいR&Bギタリストだったという記述もあります。Jimi HendrixはLittle Richardバンドにもいたので、南部のミュージシャンとの交流もあった。

BobbyはOhioのクリーブランド出身です。

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こちらの自叙伝にBobbyがJimiにCurtisのフレーズを教えたとのくだりがあります。Bobbyも左利きですが、右利きのギターをひっくり返したスタイルなので、普通のギターだと弾けないフレーズも結構ありますね。

スライドを弾いたり、アコースティックギターを弾いたりと普通のソウル、ファンク的なギタリストの枠には当てはまらないギタリストでもあります。Jimi的な歪みではないですけど、歪んだ音でリフやメロディ弾いたりと特徴的なスタイルです。リズムギターも強力です。

Sam Cookeのギタリスト、Ray Charlesのギタリストでもあり、ロック畑と共演も多い。

セッションミュージシャン時代としてはFame,Muscle ShoalsなどでAretha,Wilson Pickettのレコーディング、そしてSlyの暴動への参加とSoul,Funk時代の最重要ギタリストと言っても過言ではないと思います。

ミュージシャンとしては5ツールプレイヤーというか、なんでも弾けるタイプのギタリストでしょうね。弾かないだけで。

Cornell Dupreeをして「理解し難い」といわせたスタイル。スライドでメジャーペンタトニックを移動したり、機能和声から考えてコードを装飾していくスタイルは、Jimiとの共通点もよくわかるんではないでしょうか。コードの装飾などはCurtisと近いものも感じますね。ゴスペル的なスタイルです。

スタジオミュージシャンという観点でソウル・ファンクについての資料としてはこちらも楽しめると思います。

ファンク、ソウルのギタリストについて語ると1年以上かかってしまうので、これはまた稿を改めます。いつか書きたいですね…

Isleyに話を戻しましょう。

このIt’s Our thingでEarnie,Marvinの兄弟が合流して、ボーカルグループからファンクバンドに変わります。

自分達のレーベルT-neckをニュージャージーで設立しました。ここからがIsley Brothersのファンク時代の開始です。

バンド編成になって初期の映像。Marvinは親指弾きですね。Earnieはアルバムではドラムも叩いています。マルチプレイヤーですね。初期のEarnieはスタンダードなソウル。ファンクギタリストという感じですね。6度のダブルストップの使用なんかは、後年はやってないような。まあ、曲調がそうじゃなくなっただけかもしれませんけど…

1971年はChris Jasperも加入。The Isley Brothersのファンク時代のサウンドが完成します。特徴はロックのカバーが多いこと。Bob DylanやSteven Stillsのカバーなどをソウル、ファンク化します。

メロウなものはひたすらメロウに、ファンキーなものはひたすらファンキーにというのもありますかね。ラーメンで例えるなら、二郎系の特濃全部載せとマックスコーヒーの二本立てのお店みたいな感じです。わかりますかね…

オリジナルもそう。まあ、カバーしてもめちゃくちゃ濃いんですけど…

おじさんの英才教育でCarole Kingの原曲よりこちらの方が家ではかかっていた。英才教育といえばいいですけど、洗脳ですよね…しかし、なんというか原曲のけだるさとか繊細なところがぶっとんで、いやらしい感じになってるのが最高ですね。3分過ぎからのEarnieのギターが炸裂します。今なら怒られが発生しそうですね・

Earnieの一番好きなギタリストはJimi Hendrix,2番目に好きなギタリストはJimi Hendrixというウルトラスタイルが確立されます…

でも、全然違うんですよね。はっきりと個性がある。学んで自分のスタイルに昇華した。グレイトなギタリストですね。

Jimi Hendrix的なイディオムがファンクに定着したのはEarnieとP-Funkの影響が大きい。

3+3でファンクバンドとしてのThe Isley Brothersのサウンドは確立したといえます。

Earnieの歪みサウンドが確立したのはこのアルバムからか。

メロウな側面とファンキーな面の2つ。

特濃マシマシのラーメンとマックスコーヒー並の甘いもの。みんな好きだよねとイカした笑顔でいかがですか?と出された感じに近い。

食べるしかないですよね…

人によっては胸焼けするかもしれませんけど、最高なんですよね…

Isley Brothersのサウンドが完成したのは3+3ですかね。ホーンを使わないスタイルは特徴的。

鍵盤のChris Jasperが加入したことも大きいんだと思います。シンセも早い段階から導入しますし、新しいサウンドを導入するのにも意欲的でした。またシンセベースの導入も早い。

Marvinはシンセベースとユニゾンしたり、スラップもプルだけ入れたりと、シンプルだけれどセンスがいいプレイをしますね。

あまり語られませんが、シンベとベース・ギターの住み分けなどの先駆者でもあるといえます。音色も太くて実にかっこいい。

また、Isley Brothersはハーモニー的にも面白い。おいおい、こんなボイシングやコード進行で弾くんかいというのもあります…

こちらにファンク時代のシンセ事情などの記述があります。

サンプリングが多くされたグループでもありますね。

その後のR&B(ソウルから再びR&Bと呼ばれるようになった)に影響力を与えたとなると、Marvin Gayeと双璧のこれを取り上げないわけにはいけないですね。コード進行面での影響も大きいです。

FootSteps in the darkをパッドで弾くときの記事があります。

Curtis Mayfield

では、シカゴを代表する、ソウル・ファンクのアーティストのCurtis Mayfieldから見ていきます。

The Impressionsから始まりソウル、ファンク時代と長く活躍を続けた人なので、ファンクという一面だけで語ることは無理があるのですが、概要なので…50年代から90年代までの活動で、特にファンク的な曲をいくつか取り上げます。

レーベルオーナーとしての仕事も重要で、Leroy Hutson,Donny Hathaway,Keni Burke,Phil Upchurchなどの多くの優れたミュージシャンとの繋がりも理解するとより楽しめると思います。

シンガー、ソングライター、プロデューサー、ギタリスト、レーベルオーナーとやっていた仕事を考えると超人と言わざるを得ないですね。

ギターも変則チューニング(オープンF#)とかなり独特です。CurtisはギタリストとしてR&BフィルインではDavid T Walkerと並ぶ影響力を持っており、そのギターのスタイルは現代まで影響を与えてます。

CurtisのチューニングはR&B的なフィルインを入れるには適したチューニングです。

Curtisのチューニングなどを知りたい方はPremier guitarに詳細な記事があります。直リンクが禁止されているので、お手数ですが検索なさってください…

こういうのは打ち込みやるのはまあ、無理ですが、レギュラーチューニングでも弾けます。

ハンマリング・オン・プリング・オフなど駆使してコードなどを装飾していくスタイルです。スライドなども特徴的ですね。ダブルストップなどの利用も小粋。

技をたくさん持って柔軟に使い分けるというタイプではなくて、曲のパートの一部として印象的なパートを弾く印象があります。

Curtisのチューニングだと小指を酷使しないのがメリットですが、オープン・チューニングに慣れてない人だと戸惑うと思います…どう聞いても開放弦の響きのものがレコーディングではありますが、カポも使用していますね。

演奏はしてないが、カポを使用しているのがわかる。

The Impressionsでもすでにファンク化は始まってますね。70年のヒット曲にはCurtisのファンク時代のアンサンブルがすでにかなり完成形に近い形で現れているのがわかるのではないでしょうか。

ソウル・ジャズ・ギターの重要人物のPhill UpchurchはCurtisのレコーディングでも多く演奏しています。Chessレコードの仕事では、シカゴ・ブルースの重鎮ともやっています。George Bensonのところのギタリストやベーシストという方が、フュージョン好きな人には有名かも。

ボリューム奏法で叫ぶようなサウンドや、ワウを肉声の様に使う名手。ジャズからファンクからブルースからあらゆるスタイルで弾ける超人です。ワウ+ボリューム奏法などはWah Wah Watsonとこの人くらいしかやらない(出来ない)かも。ボリューム奏法自体は、Cornell Dupreeもやりますね。二人ともDonnyのLiveに参加しています。

The Impressionsはソウル・コーラスの嚆矢とも言えるグループで、ユニゾンなどの多用は、ファンクでも引き継がれます。

コンガの使用、ストリングスをメロウに使うのではなくて、緊張感を表現するように使うのも特徴的ですね。ワウの使用などもカーティスの代名詞ですね。

リズムギターも強力で6/8系統の曲ではめちゃくちゃ前でカッティングしたりしたりするのもありますね。微笑んでるけど、目が笑ってない感じのプレイがあります。

ドラマーだったら死んじゃうな…

シングルとアルバムで3倍位時間が違いますね…

即興的な要素が強くなり、長尺の曲が多くなるのも特徴と言えるでしょうか。コンガのHenry GibsonはDonny Hathaway Liveにも参加しています。

Henry Gibsonが果たした役割は多かったと思います。コンガがアンサンブルに欠かせないのはかなり違う。

他の地域だとカウベルやティンバレスといった楽器もかなり使っていてることもあるんでしょうけど、コンガが重要なアンサンブルの一部という印象のものは少ないように思いますね。

Curtisの代表曲のこれを外すわけにはいかないですね。

アレンジャーのJohnny PateはCurtisのサウンドの重要な部分を担います。デモなどを聞くとバンド中心のサウンドでシンプルで驚きますね。

Curtisは独特のチューニングなので、Johhy Pateに曲を聞かせていたとの記述が『シカゴ・ソウル〜』にあります。CurtisとはMajor Lanceなどの仕事もしています。Impressionsもそうですね。Johnny Pateは60年代のB.B Kingの仕事もしています。

ソウル・ファンク系の有名アレンジャーだとCharles Stepneyもシカゴ出身です。

Earth Wind and Fireは西海岸に区分しましたが、結成はシカゴです。Earthの仕事もCharles Stepneyはしてますね。

Charles Stepneyも後に西海岸に移住します。

CurtisとJohnny Pateの仕事はずっと続いたわけではない。どうも調べると裁判などをしていたようですね。クレジットを追いかけると1973年でCurtom(Curtisのレーベル)との仕事はなくなっている。

ギャラの問題などがあったのかもしれないですね。アレンジャーは変わっていくのですが、ここから更にCurtisのサウンドは変化します。

どんどん、削ぎ落としていくサウンドになります。

Phill upchurchのボリューム奏法やワウワークなどがよく分かる一曲。ギター、ベース、ドラムという最小限の構成で成り立っている。かなりディレイもかかってますね。

Curtis自身の多重コーラスが緊張感を持つ様に機能していて、ホーンやストリングスの様に機能していますね。

この特集にぴったりな書籍が出ました。ファンク時代だけではないですが、その前のソウル時代についても触れられています。ミュージシャンに焦点を合わせた書物ではありませんが、シカゴという土地を音楽と社会の面からみた労作です。

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シカゴ・ソウル前史ですね。大移動時代を描いています。2冊通して読むと20世紀のブラックミュージックの旅が出来ます。

ディスクガイド的なものを求められる方はこちらも。Curtisの長文インタビューがあります。AACMなどの記述もあり「シカゴ・ソウル〜」を読むときにこちらを読んでからのほうが人物関係などわかりやすいと思います。

フリーダム・ドリームスを読むと、シカゴのコミュニティが強かったのがわかるように思えます。社会全体を前進させようという意志は残ったんだなと思います。

追記:2024/03/24

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