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JR 天満 肉五郎 昼から飲めてご機嫌

無理ない暮らし
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病院の検査を終えて天満を歩く。梅雨を一足超えて夏になってしまったようだ。
そんなことを考えながら歩いていると、焼肉屋が。

昼飲みの人で活気に満ちている。歩きながら飲む人も。もっとも大阪らしい街の一つかもしれない。

焼肉の匂い。グラスを合わせる音が聞こえる。一息つきたい。

メニューに目を通す。ハッピーアワーハイボール50円?

Dさんが連れて行ってくれた店はこういう店が多かった。 塩カルビ定食とメガハイボールを頼む。

注文を終え。周りを見回す。カウンター11番。Dさんはカウンターの席が好きだった。

旅慣れている人の特徴かもしれない。

キャベツと水菜のサラダ。キムチ。 わかめとネギのスープ。正しく焼肉屋である。

Dさんは焼肉が好きだった。特にホルモンが。 「内臓は正直者だ」とよく言っていた。意味不明な冗談だが、Dさんらしい。Dさん自体は決して正直者という人間ではなかったのだが。

塩カルビに加えてハラミを追加する。

鉄板の上に並べると、肉がジュッと音を立てる。油が爆ぜる音。 焼ける音がいい音の肉は旨い。うりなみ、わかってるか。

いろんなことを教えてくれたはずなのに。思い出すのはくだらないことばっかりだ。

離婚したときにいきなり深夜に呼び出されて、朝まで二人で肉を食ったこともあったか。

いろんな街で飲んだ。

Dさんは最後まで動き続けた。自分も移動が多い仕事になったので予想もしないところでDさんと会った事を思い出す。名古屋で、仙台で。中洲で。

「乾杯」 心の中で声を上げる。隣の席は空いている。

Dさんがふっと店に入ってくるんじゃないか。くだらない思いを酒と共に流し込む。

最後に会ったとき、「どんどん頼め」と笑っていた。「食べられないけど、食べるのを見てるだけでも、いい気分だよ」。よく笑い、よく飲む人だった。

もう長くないんだろうとお互いわかっていたはずだ。湿っぽいのは嫌いだった。

元気になったらもう一回一緒にやろう。俺は本当にそれを励みに生きたよ。

Dさん、嘘つきだからなあ。そういうところは師匠とそっくりだった。

肉に火が通る。香ばしい匂いが立ち上る。 タレをつけて口に運ぶ。味もコロナ以後はだいぶわからなくなった。

かつての自分なら三人前は軽く食べられた。だが、食事は味だけを楽しむものではない。Dさんが音を楽しんだように。

今は一人前でも残してしまう。もっと食えと言われるんだろうなあ。だから注文したんだよ。

店内の喧騒。従業員たちが一つの生き物のように注文をさばく。若い客が笑っている。ここには生命が溢れている。

グラスを合わせる高い音。 Dさんはこう言った雰囲気を好んだ。人の喜ぶ顔を見るのが好きな人だった。

ポケットの中の携帯に残るDさんの番号。もう繋がることはない。 師匠の番号も。

ただの感傷に過ぎないのはわかっている。もしかしたら電話がかかってくるとどこかで思っているのか。

肉を焼きながら考える。

自分とは全く違うタイプのプレイヤーだった。派手ではないが強力なリズムプレイヤー。

Dさんがいるとバラバラだったものが一気にバンドとして機能した。なぜ、あれだけDさんが必要とされたかは一緒にやった人間ならみな知っている。

Dさんは支配的なプレイヤーだったけれど、スペースを適切に作ってくれるのでやりやすかった。支配的でありながら、思いやりもあった。そういう矛盾を抱え込んでいたのはDさんの人となりでもあったのだろうか。

みんなを気分よくさせ、チームとして機能させるのが上手い人だった。

今こそ、Dさんがいてくれたらと思う。しっかりした理論をもち、自分の言葉で語れる人だった。

まあ、言葉が足りないのは師匠に似ているところはあったか…

一回も奢らせてくれなかったなあ。

大変な仕事を残されてしまった。これは師匠やDさんがやるべきことで、自分の力が及ぶところではない。もう出来ない自分がやることなのか。しかも、パッドで?ギターでなく?

「でも、やれよ」そう言うんだろうなあ。

そして、やったら駄目じゃんと二人で笑うんだろうな。

さみしいよ。

会計を済ませる。外に出ると、街は夜の顔に変わっていた。

肉五郎の看板を見上げる。また来ます。たとえ昔のように食べられないとしても。

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