Ableton12で新たに加わったMIDI生成ツールと変形ツールのなかで、Seedは特に目玉と言える機能ではないでしょうか。
0から1を作るという大層な惹句で紹介されているところもあり、「ええっ、ずいぶん吹かしてるな、ショートカットキーも変えられないのにイキり倒してるぜ…」と思っていたんですが、いや、なかなか良かったです…
いや、ホントですよ。
手のひらを高速回転して、「さすが、No1DAW、他のDAWとは違うのだよ。譜面は読めないけど…」などウホウホ喜んでいます。
過ちを改むるに憚ること勿れですよ。フフフ…
まあ、0から1を作るという一番大層なことが出来るというのは言い過ぎかもしれませんが、アイデアのキッカケにはなってくれるのは間違いない。
道具だから、使い方は本人次第ですよね。
使う前は、何か思考を制限されるんじゃないかと思っていたんですが、そんなことはない。楽しいんですよ。そう、Abletonのいいところが出たと思います。Ableton11はがっかりしたけど12は凄くいいですよ…
Seedの仕組み
仕組みも何もという位単純な仕組みです。こういうものは前世紀からあった。ただ、決定的に違うのは素早くいくらでも生成出来るということです。これは大きい。
人間が無限にランダムで作り続けるなんて事は出来ないですし…ちょっと違うものをまた生成して試すということが簡単にできます。
- pitch 生成されるMIDIノートの範囲を生成できます。同じ音程にも出来ますし,新設されたグローバルScaleとも連動します。
- Duration 生成される音符の長さです
- Velocity 生成される音符の範囲です。
- Voices 同時発音数
- Density 密度
ということでやってみました。
ファンクのクラビネットなんか、実質的にはどんな音弾いてもリズムが良ければ成り立つわよね。
— うりなみ (@urinami) March 30, 2024
鍵盤で弾きそうな音域やベロシティの変化などで変化がつくようにエンベロープフィルターを掛けてみたわ。
盛り上がりは音域を変えたりしても遊べそうね。 pic.twitter.com/7WBfH7FDUQ
ダンスミュージックで一番多いモードものと言ったらドリアン。スケールを設定してみた。
ベースはドリアンのときに最も用いられるDm7-G7的なものを想定してやってみました。まあ、ベースを適切に設定すればモードとして成立しやすいですしね。
クラビネット・エレピ的なものならリズムが良ければ成立する。
大体4和音くらいで鍵盤がやりそうな音域。フィルターやトレモロを掛けたららしくなる。エンベロープ系のもので変化をつけたり、単調にならないような工夫しても楽しいですね。
そういうことがわかっていたら生成させてもそれっぽくはなる
モーダルなものなら、アボイドなんか考えなくていいわけです。
けど、ただ、ファンクだったりすると実際にはトライアドではなくてドミナント7thを意識的に弾いたり、第2転回型のトライアドを動かしたりするのが多い。
自分なら、こうはやらないとかいくらでもアイデアが広げられる。アイデアの起点になってくれる。
使うまでは、どうなのと思っていたんですけど、「君は全然ファンクわかってないよな…」みたいな老害ムーブしながら遊んでも楽しい。ちゃんとしたものが作れないほうが触発されるのかもしれない。
らしいものならループだったり今ではいくらでもありますしね。
私のようにオールド・スクールなものを作る人にも楽しめる。
楽しいんですよ…
これこそAbletonの他のDAWと違うところだった。その楽しさが戻ってきたように思います。
もちろん、テクスチャを作ったりするのにも有効です。こういうのをAbletonは狙っているんですかね…
使ってみて面白いと感じたのは言語化出来ているとある程度狙ったもの作れる。
そして、出来なくても、ああ、ここはこうはやらない、こうしようというアイデアが出る。
言語化しきれてなかったものでも、らしくなる理由を考えられる。ああ、そうか、譜割りのほうが影響が大きいんだなとか。
知的な刺激を受けます。自分の思考が洗練されますね。
そして、Seedは音域、密度、長さ、ベロシティなどをコントロールできるので、完全な無秩序ではないわけです。
例えば、音域が半音しかないもので、同時発音数1にしたりしてハイハットとハイハットオープンに適用したりしても面白そうです。Rhythmでも出来るけれど、編集の手間はかかりますし。
一音だけに限定しても、Rhythmとも違う効果も生み出せますね。ベロシティのランダム性なんかもありますしね。
そして、同時発音数を1に制限すればリニアドラミングをAbletonがやったらという遊びもできるんですよね。
まあ、無茶苦茶なんですけど、人間が叩くならこうするよなとか、考えられる。非常に面白い。Abletonは10くらいからランダム性を取り入れようとしてきたわけです。11ではピアノロールも変わった。それが結実した感があります。
そのまま使うのではなくて、手をいれると面白くなる。決して創造性を阻害するようなものではない。そんな大したものじゃないです。単なる道具。単なる道具だけど、凄く楽しい道具です。
Seedを使って出来たMIDIノートをコピーしたり、分割、削除したり、適切なベロシティに設定したり…jd beckみたいなものが出来たりして面白かったです。
出来たものにGroove適用したり、どんどん発想を広げていける。
秩序ある無秩序といえばいいんですかね…それがSeedにある。
出来たものに更に、InvertだったりConnect,Recombineを使うのも自分では考えつかないアイデアが生まれそうです。あるいは分割や結合を使ってもいい。
新しいツールは押し付けがましくなく使えます。
Seed,なかなか面白いですよ!
他のツールと連携させると更におもしろくなります…
コメント