モータウン、我が愛と夢



モータウン、我が愛と夢

久々に読んだらやっぱり面白かった。

良い本は何度読み返しても違う読み方ができる。

今回紹介するのはベリー・ゴーディーの自伝。

ベリー・ゴーディーはモータウンの創始者であり、ソングライター。

モータウンの書籍に関してはこれも古典の「モータウン・ミュージック」がある。

ネルソン・ジョージは何度もベリー・ゴーディーにインタビューを申し込んだが、断られたという記述があったと記憶している。

ベリー・ゴーディーとダイアナ・ロスをモデルにして作られたDreamgirlsはベリー・ゴーディはさぞ業腹だっただろう。

そのベリー・ゴーディの伝記なのだが、ミュージシャン側からみたベリー・ゴーディーとベリー・ゴーディーからみたミュージシャン像は大きく違うのも読んで面白い点である。

どちらが真実かは問題ではない。

事実は一つしかないかもしれないが、それぞれの真実は無数にあるのだろう。

人によっては、ベンチャー企業が大企業になっていくビジネスストーリーとしても読めるから、多面的な読み方ができるだろう。

面白いエピソードしかないのだが、特に印象に残ったのが、創意工夫と失敗から学ぶスピードの速さ。

レコード店、作曲家、レーベルオーナーと仕事を変えていくのだが、いずれも失敗から学んでいる。

もともとジャズマニアでブルースは好みでなかったベリー・ゴーディーが、そこに簡潔さを見出したことは、後年のライティングにも影響はあったはずだ。

作曲家として、利益を出すには配給をどうしなければいけないかという所を理解していたミュージシャンは多かったはずだが、ベリー・ゴーディーのように考え、行動できた人間はほぼいないだろう。

会社の危機に自分を含めた作曲家チームを作るとか、常人では考えられない。

これはミュージシャンだったベリー・ゴーディーが現場感覚を失わなかったからだ。

For once in my lifeが昔のスタンダードに見えるように音楽出版社を古めかしい名前にしたとか、イメージの重要さもよく理解していたのだろう。

PRにも長けていた面は今の時代にベリー・ゴーディーが若くて音楽ビジネスをやったとしてもソーシャルメディアをうまく使えたのではないかと思わされる。

その当時、黒人企業として最大の規模があったモータウンを運営したベリー・ゴーディーの孤独はどれほどものだったろうか。

個人を超えた存在で生きるって事を余儀なくされたという事だ。

黒人の起業家の代表としてと言うのは、考えるだに重い。

家族的な雰囲気が失われたとアーティストや従業員側から言われるのはしかたないかなと思う。

このスピード感で組織を大きくしていけば、当初のメンバーがついていけなくなる事は多かっただろう。

人によって、能力を生かせる規模感というのはあるんじゃないかと思っている。

ベリー・ゴーディーは思ったより、情の人だった。

もちろん、利益を出すことを考えずに会社組織なんかつくるわけないのだけれど、会社が大きくなった段階で早く切り捨てたほうが経営者としては合理的な局面もあっただろう。

マーヴィンなんか普通の会社なら首を切られていても仕方ない。自分なら無理だ。

孤独だっただろう。

ベストを尽くしても敵は作るし、身内にも理解されない。

改めて読み直して、自分が若くて、ベリー・ゴーディーと仕事をしたらどうかと考えた。

うーん。健康だったら超楽しいだろうな。

組織が大きくなっていく段階の楽しさというのはある。

会社も社員も若いからエネルギーに満ち溢れている。

オフィスが大きくなり、どんどん自分たちの仕事が知られていく楽しさは確かにあった。

ただ、その過程で、何人も壊れた。

もう二度と会うことがないくらいにこじれてしまった関係もある。

死ぬ前に一度くらい一緒に酒を飲めたらいいけれど。

うーん、まあでも、社長が経営危機になって、ヒット曲をオレが書くって言ったら会社辞めるかな…

ビジネス書としても、音楽の背景を理解するのにも楽しく読めます。

フリーダム・ドリームス: アメリカ黒人文化運動の歴史的想像力

ニーナ・シモン 魂の歌

これも古典。外側からのモータウン史という形で読むと面白く読めます。

私は伝記読んだあとに見てるんで、いろいろ思うところはありましたね。まあ、これはモデルにしてる話なわけですけど。あ、アマゾンプライムなら見られます。


このあたりは読んでおくと、ブラック・ミュージックの理解が深まると思います。洋書の紹介もいずれしようかな。今はかなりKindleで買えるのでありがたいですね。











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