ギターで覚える音楽理論 養父 貴
前にツイートしましたけれど、PUSHでハーモニーを学ぶのに何が適切なのか考えていました。
Ableton PUSH2勉強会で、操作も知りたいけれど、むしろそれよりはコードを自分で作ることができるようになりたい。ベースラインを入れるにはどう考えたらいいの?
これが、PUSHを使っていらっしゃる方の多くが知りたいことでした。
叩いて覚えるコードとスケールはMaschineでピアノロールを使って考え方を理解するのに使えたらと思って書いたのですが、譜面を使わないという縛りは思った以上にきつく、分量も長くなって効率よくないと感じていました。
その反省で、PUSHでは押して覚えるコードとスケールというものを作りました。できるだけ演奏中心で、簡単に理屈を説明すると。演奏例もできるだけ簡単にして動画も付けて見たんですが、やっぱり体系性に欠けるんですね。
度数や基本的なスケールを理解したら、Scalerだってうまく使える。
頭の中に見取り図を作れるようなテキストがないかなと考えていました。
Mark LevinのJazz TheoryやJazz Piano Bookはハーモニーやスケール学ぶのに物凄くいいんですが、初心者がやるのにはいくらなんでもキツイ。
PUSHのクロマチックモードは完全4度配列なので、ギターやベースに近い。
ギターでうまく体系的に学べるものがあれば、みんな一気に学びやすくなると思って探していました。
まさにぴったりな本です。これがあれば、自分でハーモニーを組み立てられるようになると思います。
著者の養父さんはプレイはいうまでもないですけど、情報の選択がめちゃくちゃうまい。
演奏例もあってすごく学びやすい。
ああ、ギタリストだった時にこういう本で先に学べば、物凄く時間短縮できたのに…
優れている点がたくさんあるので、紹介します。
ゼロからPUSHでハーモニーを学ぶなら、この本が現状では最高だと思います。
素晴らしいと思った点について書いていきます。
キーがCに統一してある
これは、譜面得意でない人には学習上の負担を大きく軽減してくれると思います。
ただでさえ、譜面に苦手意識がある人に、キーが変わるもので学習するのは負担が大きい。
キーがCに統一してあればシャープやフラットがついていないので、理論そのものを学ぶことが容易になります。
当たり前ですが、譜例ごとにキーが変わったら、譜面を読む負担が増大します。キーが同じであるということは、比較することが容易になります。
素晴らしいですね。
徹底したビジュアル化
Ableton PUSH2の4度のクロマチックモードは、2弦と1弦をPUSHでは左方向に1つずらすと理解すれば、ギターのフォームがそのまま使えます。
素晴らしいのはタブ譜が多く使われていることです。
ギターやベースを弾いたことがない人でも、タブ譜があれば、フォームを覚えることは容易です。
コードフォームも度数で表記してあり、一つのコードフォームを覚えれば、12キーすべて演奏することができるAbleton PUSH2のメリットが最大限にかせます。
音源がついている
理論書は音源がついていないものが非常に多いです。そのため、理論を学ぶためにある程度、譜面が読めて演奏できることが必要でした。
音源がついているので、学習が容易です。
聴覚と視覚を一致させるのは大事です。じゃなかったらコピーも即興も出来ないですよね。
覚えるための工夫が徹底的にされている
何事も学習するときには共通点と差異を理解することが重要ですが、徹底しています。
スケールなんかも覚え方工夫してありますよ。超合理的。特性音のどこに注目すればいいかなど、簡潔です。覚えるための労力を最小限にしてくれる。
リハーモナイズの具体例でも、タブ譜付きで、コードフォームも図示されている。
スケールも度数付きでダイアグラムがあったり、非常にわかりやすい。
実践的
アベイラブルノートスケールを考える時や、ダイアトニックコードが連続する時のアプローチなど、普通は時間を掛けて学んでいくことが、初めに枠組みを示してくれてるんですね。
代理コードもこうやって使うのが多いとか。
バップ的なアプローチをしたりする時に、これやってたらすんなり移行できるはずです。高度なことをやる時に学びやすいようにしてくれる。
本当、若い頃にこれがあったらどれくらい学ぶ時間を短縮できたことか…
ジャズの場合、リック改造とかリック分析みたいなのアホみたいにやるんですが、そう言うのをやろうとした場合でも、ギターで覚える音楽理論をやっていたらスムーズに使えます。
先にこう考えるんだって、頭に見取り図を作ってくれる教則本ってそうないですよ。
教則本をうまく使えるようにする理論書とでもいうべきですかね。
で、理論書にあるボイシングって実用的じゃないものが多いんですけど、これはよく使われるボイシングがまとめてある。
ボイスリーディング意識してあったり、どこまでも考え抜かれてます。
さらっとエンハーニックを解説してあったり、度肝を抜かれました。
こんなの先にやったら、コードソロの考え方なんかすぐ勘所もわかる。
コンディミのボイシングなんか、昔、高いお金払って個人レッスン受けて覚えたよ…
PUSHの場合、ギターの音色だけではなく、他の音色も鳴らせます。
ギターで覚える音楽理論で楽器によってはぶつかるから省略するんだって考え方を学べば、アレンジ勉強するときも役に立ちます。
omitするのがうまくなる。
鍵盤の人でギター弾けない人だと、オクターブ違った譜面渡されたりすることありますからね…
ブルースの解析なんて、実際アドリブするときの考え方も書いてある。
正直、こんなところまで書いちゃっていいのというところまで書いてあります。
Sus2なんて、あっちの本ではよく出てきますけど、日本の教則本ではあるんですかね?
あっても少ないと思います。養父さんは凄いですね。何千時間も学習時間をカットしてくれると思います。
まとめ
これ一冊完璧にマスターしたら、どの本にやってもわかるベースはできると思います。
PUSHの場合は、ギターと違って、同一弦上で発音できたり、両手で音を出したりできるので独自の奏法がたくさんあります。
ただ、ピアノよりはギターのボイシングがAbleton PUSH2にはあっていると思います。楽器としての特性を奏法やボイシングに活かしたほうが面白い。
今後、PUSH勉強会で、コードやスケールを勉強する時は、この本をいかに活用するかでやっていこうと思います。
こんなすごい本があるんですね。感動しました。私、鍵盤はあとで覚えたんで凄い大変だったんですよね…
ギタリストには絶対的に勧められますが、PUSHでコードを弾いていきたいという人にも激しくおすすめできます。
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