音の正体 布施雄一郎 | 無理ない暮らし
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音の正体 布施雄一郎

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音楽
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読書メモ。面白かった。

音楽の感動を学問すると帯の惹句にあるように、音楽と音響学の観点から、音の鳴り方や聴こえ方を詳しく解説してくれている書籍。

専門知識がなくとも楽しく読めた。特に第1章の突発性難聴についての記述は勉強になった。

突発性難聴の知識はあっても、難聴でいかに生活に制限が起こるのかということについては漠然としかイメージできてなかった。それは低音しか聞こえなかったら、定位感なくなるわけだから、生活に思った以上に支障は出るはずだ。

筆者の布施さん自身が突発性難聴となり、その体験を専門家としての知見を交えて理知的に語っている。

500hzより上が聞こえにくいとなると本当に大変な思いをされていると思う。

知っているだけでも配慮は出来ることは有るはず。

この年齢だと難聴になった友人も多い。同世代のDJやプレイヤーに比べるとかなり聴力は維持できてるのは若い頃から耳栓を使っていたことは大きかったのだろうと思う。

ギタリストで異常なまでに4Kをブーストする例が書いてあったが、異常にハイハットが痛いバランスでDJする人などは同様におそらく難聴なのだろう。自分で気づかないだけに難しい問題だ。

図表も豊富でわかりやすい。

音の正体 P21

音楽制作の面でもハース効果や等ラウドネス曲線、倍音などの基礎知識を早い段階で理解しておけば、機材を使いこなすことも容易になるだろう。

コンプや歪みは本質的に同じということも理解しやすいのではないか。道具を使いこなすための基礎知識を平易な文体で学べるのはありがたいことだ。

基本的に1話完結となっており、疲れているときにも読めた。

特に1章は学びが多かった。気づいたところは追記していく。

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目次

第1章◉聴覚の正体 人間の耳はどのように音を捉えているのか?
01 ある夜、突発性難聴になった 耳を大切に〜片耳難聴体験記
02 耳の正体を探る 我々はどのように音を捉えているのだろうか?
03 空気振動と波形の正体を探る 音が伝わる仕組みが理解できれば位相がわかる
04 聴覚障害の正体を探る 知らず知らずのうちに耳に忍び寄る危機
05 「聴こえる」の正体を探る “聴こえる”と“認知できる”は別の話
06 「声」の正体を探る 音声認識と発声のメカニズム
07 「左右2つの耳」の正体を探る 音源の位置=定位を判断できる理由
08 リズムの正体を探る 人は無意識のうちにパターンを認知している
09 錯聴の正体を探る 人の“勘違い”を誘う音のイリュージョン
10 BGMの正体を探る 音楽が人の心理に与える影響
11 音色の“曖昧さ”の正体を探る 音色の識別的側面と印象的側面
12 感覚の正体を探る 耳がつかさどる“聴覚”と“平衡覚”
13 ライヴ用耳栓の正体を探る 耳を守って大音響を楽しむ

[Column 01]音から探る人物像
“人の声”は指紋にも匹敵する個性

05,06 リスニングで問題がある生徒の改善は、開口度や舌の高さ、発音と文字情報を一致させるように訓練する。一度認識できるようになればわかるのは楽器と同じ。聞こえているが認知出来ない。日本語話者は訓練を受けてない限りth音をほとんど正確に発音出来ないし、聞き取れないこともこれでよく理解できる。二重母音、長母音なども舌の位置や開口度に関しては正確にできる人は少ない。

ディクテーションなどは文字情報と音声情報だけではなくて文法的な補完も必要になるのだが、そりゃ音声認識のシステムと同じことをやっているわけだ。音声認識についてもう少し学習すれば、成人してから言語学習したい人の習得コストを減らせる可能性があるか。

テナーとアルトを聞き分けられなかったり、フリューゲルホルンとトランペットを聞き分けられないというのは楽器をやっている人間からしたら考えられないが、そもそも生楽器を演奏したこともなかったり、聞いたこともなかったら当然なのかもしれない。

サンプルパックや音源であり得ない(殆ど聞いたことがない)管の構成になっていたりするのも同様か。リアルであるようで、強烈に気持ち悪いものある。サンプリングなら気にならないのも面白いところ。コンテクストがあるから音だけで音楽を聞いているのではないと言うことも再確認できた。
 
第2章◉音の伝わり方を紐解く 音が響くとはどういうことか?
14 「物」と「音」の正体を探る 音源となる物体の性質と音の高低
15 弦振動の正体を探る 弦のはじき方によって変化する倍音構成
16 スタジアム音響の正体を探る 最前列でも最後方でも良い音が聴ける工夫
17 重低音の正体を探る 地鳴りと謎のサブ・ウーファーの真の役割
18 残響の正体を探る ライヴ・コンサートに最適な残響時間とは?
19 除夜の鐘の正体を探る 梵鐘の響きと西洋の鐘の音

[スペシャル対談]音のデザイン〜新しい音の研究領域
岩宮眞一郎(日本大学芸術学部特任教授、九州大学名誉教授)×布施雄一郎(著者)
 
第3章◉音の聴こえ方を探る 人の聴覚と音が生み出すさまざまな現象
20 「音の大きさ」と「音圧感」の正体を探る ミュージシャンが欲する「音圧」の意味
21 音の速さの正体を探る 音速の変化がもたらす音の屈折
22 周波数/ピッチ/音程の正体を探る 似て非なる音響用語を定義する
23 吸音/遮音/防音の正体を探る ミュージシャンの悩み、それが音量と響きの制御
24 カクテル・パーティー効果の正体を探る 耳に入ると聴こえる音の違い
25 マスキング効果の正体を探る 「俺の音が抜けない」……そんな人への処方箋
26 サイン音の正体を探る 音によるメッセージ

[Column 02]「闇音」の文字の成り立ち、「気配」の科学的考察
“音”という漢字に秘められた古代人の思い

22は特に学びが多かった。ミッシング・ファンダメンタル現象は現在のサチュレーションの多用とも関わっているのか?
 
第4章◉音楽制作における音響学 ミュージシャンに知ってほしい音響の知識
27 ディレイの音響学 音は時間と空間を司る
28 リヴァーブの音響学 “音の余韻”が音色に与える影響とは!?
29 多チャンネル・サウンドの音響学 モノラル、ステレオ、サラウンドの立体感
30 歪みの音響学 波形を歪ませること、それが「歪み」の正体である
31 「マスク声」の音響学 マスクで言葉が聴き取りづらくなる理由

[Column 03]吸音材の種類/無響室の秘密
和室が静謐さを携えているのには理由がある

[Column 04]「中域」とは何Hzなのか?
あなたの言う“中域”は本当に“中域”?

[Column 05]同じようで実は違う「雑音」と「騒音」
ノイズは耳鳴りなのか、心地よいのか?

今後は音響心理学も勉強してみようと思う。

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