ライブ配信を再開して、前回リクエストがあったパッドでファンクをやるということに決定しました。
昨日はライブ配信、お付き合いくださいましてありがとうございました。
— うりなみ (@urinami) November 27, 2023
次回内容は以下の4つのどれがよろしいでしょうか…できれば日曜日の夕方から夜に変わらずやりたいのですが、しばらく不定期になるかもしれません…
そもそも、生演奏でなくてファンクをやるのは難しい。全部打ち込みで作られるということはない。
ですが、打ち込むことで理解できることもある。歴史的なコンテクストを学ぶことでよりファンクを楽しんでもらえたらと思います。
正直、子供の頃からずっと愛して学んできたことなので書きつくすことは出来ないのですが、自分の考えを整理するためにも書いていきます。今までギターやベース、鍵盤、ドラムなどのプレイはあまり上げなかったのですが、これから上げましょうかね。
体に無理がないギターやベースやパッドが多くなるとは思うんですけれど。プレイもよぼよぼして恥ずかしいんですけど、ああ、こういう感じかというのはわかってもらえると思うので。
肉体性が強く出る音楽で、プレイする能力を大きく失ってしまった自分にとっては打ち込みは本当にしんどかった。情報量、生演奏、生楽器に比べると物凄く少ないですしね。
でも、打ち込みやDAWを使ったミックスはその分、この要素を成り立たせているものは何かと深く考えることが出来た。
そして、知識でらしくないものをかなり回避も出来ます。DAWでファンクを作るということでファンクを学ぶことの役に立てたらと思います。
スライド
今回の範囲のスライドはこちらからダウンロードできます。
南部
南部はブラック・ミュージックの最大の産地です。ブルースにしかり、サザン・ソウルにしてもそうですね。五大湖への移動は、自動車産業の発達とともに南部の人口が移動していった。いずれにしても南部のサウンドが伝播したと考えるといろいろ話が繋がってくる。
ファンクに入る以前のブルース、ソウルなどの歴史も興味があれば。
古典ですね。ディープ・サウスのブルースがどうやって発展していったのかわかります。マディ・ウォーターズがロックバンドの雛形を作ったと言うことなども電化の歴史としても面白いです。
ファンクを概観したい場合の日本語の書籍となると、これくらいしか見当たらない…本を見ながらそれぞれの音源を聞く音楽の旅に出るのもなかなか乙なものです…
また、南部は80年代以降、黒人人口の移動が起こり後のR&B,ヒップホップの隆盛にも繋がります。最大のトレンド発祥地と言えます。
まずはファンクの始まりから見ていきましょう。
1964年録音。今の感覚で聞くと、これがファンク?と思われるかもしれないですね。
アンティシペーション、ホーンがリズム楽器と使われていることがわかるのでは…
ファンク・サックス奏者の重要人物Maceo Parkerの最初のプレイでもあります。ソウルの時代からファンクの時代が始まりますが、一気に変わっていくわけではないです。
JBの伝記。強烈な個性ですね。JBがどれだけ独立独歩の人かわかる。中古なら安く購入できることもあるかも。
より突っ込んだ歴史を知りたい方はこちら。年譜も詳細です。
1965年録音。一気にファンクらしくなったのがわかるのではないでしょうか。
リリース時に半音ピッチがあげられたというのもファンク好きな人には有名な話かもしれません。
すべてのコードがドミナント7th系統なのはブルースとファンクのつながりがよく分かるのではないでしょうか。リバーブも多めなのは後年とも違いますね。
ギターはファンク時代でもスプリング・リバーブを使っていることが多いです。
Jimmy Nolenはこの時はTwin reverbを使ったと言われています。ベースはBernard Odum。
親指弾きで、フラットワウンドです。
ファンクギターの元祖となるとJimmy Nolenになるわけですが、この時点でスタイルは確立されていますね。
バックビートに極限まで音価を短くして高音でブロークンコードを弾くスタイルはソウル時代を踏襲しています。
Jimmy Nolenはソロもバリバリ弾ける人だった(Johny Otisの録音を聞けばわかります)がリズムギターを弾くことを求められた点でFreddie Greenなどと近いものを感じますね。
前年のOut of Sightより一気にホーンが打楽器になってきたこともわかるはずです。
そして、ブレイクのカッティング、よく聞くとバウンスしているのもわかるんではないでしょうか。ドラムはMelvin Parkerです。
Maceo Parkerの兄弟ですね。MelvinはBobby Blandバンドなどでブルースドラマーとして革新的なプレイをしていました。Jabo,Clydeの評価に比べるとMelvinの評価は低いと思いますが、ハイハットワークなどが後続のドラマーに与えた影響は大きいと思います。
JBも初めはMelvinの方をバンドに欲しがったんですよね。
1972年。ギターがワウを掛けて開閉でアクセントつけるようなスタイルは、典型的なファンクサウンド。
ハイハットの強調などもファンク時代の特徴が現れています。
ギターはミュートでワウの開閉でリズムを作るのなんかは、ファンクギタリストはマスターしなければならないテクニック。
付点8分のタイミングで開閉したり、足技はかなり重要になります。このあたりも知らないと全然感じが出ないかもしれませんね。
バックビートを強調するところになるとスネアがレイドバックしてるのもよく分かるのではないでしょうか。
Otis Reddingのバックバンドだった時代のBAR−KAYS。この時代はファンク化はしていない。ファンキーですけど。
MG’sなど南部にソウルインストバンドの流れがあって、The Metresなどもその流れを継いでいます。
1960年代から1980年代までヒットがある息が長いファンクバンドのBAR-KAYSは時代によってかなりサウンドが変わります。物真似バンドと揶揄されることもあるんですけど、重心が低いファンクは独特でたまらないものがありますね…
Issac HayesのShaftを演奏しているバンドと考えるとチャカポコ言わせるファンクギターの雛形を作った人たちとわかるんではないでしょうか。
ブラックスプロイテーションを代表する作品であり、その後のファンクサウンドにも影響を与えた一枚。
数年前にSoul Manなどを作っていた人とは思えない激変ぶりです…
1960年代から70年代に掛けてのサウンドの激変は驚きますね。
この2冊を読むとソウルやファンクの地域性もわかる。この2冊を読むとかなりスタックス内部の人間とそうでない人間の捉え方が違ったこともわかって興味深いです…スタックスレコード物語の後半は読んでいて辛かったです。
MG’Sはファンクと分類されはしませんが、Art Nevilleなどが猛烈にファンキーで影響を受けたというのはわかる。
1962年。MG’sはスタックスのハウスバンドだったので、色んな人のバックをやっている。
インストソウルバンドということで後続のバンドに与えた影響は大きい。
BPMによってレイドバック度合いも異なる。BPMが遅いほうが難しい。
Duck DunnとAl Jacksonのコンビネーションも凄すぎて笑いしか出ないですね…
サンプリングで有名なのはLowell Fulsonのバージョンだけれど、ドラムのゴーストノートの使用などもファンク的ですね。
ギターはおそらくTemptationsのI’m losin’youの引用で、ギターはHowlin’ wolfのkilling Floorの引用。
Steve Cropperは引用を結構やりますね。
手は遅いですけど、頭が速いタイプのギタリスト。ファンクとは違うけれど、ファンキーというのはある。
ソウル時代を知ることも大事だと思います。ファンクとソウルの共通点と異なるところを理解することでよりファンクは面白くなります。
STAXは結構Motownのカバーもやってます。
こちらはHi-Rhythm Sectionの唯一のアルバムから。Howard Grimesは重戦車のようなドラムと評されることもありますね。スネアの位置とハイハットのアクセントに注意して聞くと単純な8ビートではないこともよく分かるのではないでしょうか…
スネアがレイドバックしているけど、ハイハットはどうかなど譜面上ではシンプルに見えてもそれだけではないことがわかるのでは。
そしてこのハイハットの位置ときたら…
ソウルやファンク、R&Bなどは3点セット(ハイハット、スネア、ドラム)がどの位置に来るか、ベースとの位置関係が非常に重要です。ジャストがわかっている上でどの位置関係にするかで個性が発揮されるとでも言えば良いんでしょうか。
ソウルに分類されるものでも、Hi−Rhythmのようにファンキーな物はたくさんあるということですね。
ただ、ハーモニーという観点からみたら1コードやモード的に引っ張ったりはしていない。でもリズムとしてはファンクになっている。ソウルもファンクも地続きというのはそういうことです。
南部のほうがレイドバック度合いは大きい。BPMによるので、このあたりは徹底的に聴き込むことが大事になりますね。
バックビートのスペースを開けるのはファンクでもソウルでも共通している。
Al JacksonがHiで叩いているものを聞くとStaxでのAl Jacksonと同一人物に思えないプレイもかなりある。意識的に叩き方を変えている。コントロールできているということです。
Teenie Hodgesもソウルギターの名手。フィルなどどれだけアイデアを持っているのと思いますね。
記譜上シンプルでも実際にこの感じをやろうとしたら無茶苦茶難しい…
バックビートのスペースを作らないと全く感じが出ない。そしてこのキメ、どうやって合わせるんでしょうか…
単にジャストでやってたら全く持って感じが出ない。聞けば聞くほど恐ろしい…こう言うところが面白くなってきたら無限に楽しめますよ…
ミュージシャンについて更に知りたい方はこちらも。
ニューオーリンズ
セカンド・ライン・ファンクについて語るとそれだけでも1年位かかりそうなのですが、一部だけ。Josie時代のMetersを紹介しておきます。
1969年。MG’sを参考にしたとArtが伝記で語っているが、全く別物のサウンド。
Zigabooさんがいかに独自のスタイルなのかよく分かる。
ファンクといえばバックビートにスネアを入れるスタイルをイメージされる方は驚くかもしれませんね。
ニューオリンズ・ファンク全体にラテンの影響が大きいことはDr.Johnが伝記で語ってる通りだと思います。
クラーベはファンクやる時は練習したほうが良いですね。クラーベは、ニューオリンズ・クラーベと呼ばれるものすら存在します。
セカンドライン・ファンクを代表する曲。
Artの渋くて甘い声もThe Metersの魅力ですね。
こういうドラムのパターンはファンクの中でも異質というのがいろいろ聞くとわかるんではないでしょうか。New Orleansは他の地域と全く違うスタイルがありますね。豊かな伝統を感じずにはいられない。John Batisteまで連綿と続く流れですね…
Eddie Boのプロデュース仕事なども取り上げたいのだけれどとりあえずこれだけ。
ドラムはグレイトなJames Blackと言われています。
ニュー・オリンズ・ファンクの重要人物ですね。
バックビートをスネアで強調するスタイルだけはないことがおわかりいただけますかね…ブラスバンドの歴史もあるので、とんでもないスネア・ドラマーがいたりもします。
ブラスバンドも取り上げたいのですが、長くなりすぎるので…
1974年。トークボックス、クラビネット、オルガンなどのアンサンブルもファンクではよくありますね。お祭りでこれをやるのは日本の感覚からしたらファンキーすぎます…
マルディ・グラについては日本語の資料で良いものが見つからなかったので、また見つかったら紹介します。
マルディ・グラについてだけではないですが、Dr.Johnの伝記とネヴィルのものが手に入る中では雰囲気はわかりやすいと思います。祭りの重要性はコミュニティ外部の人間にはわからないですもんね。だんじりみたいなもんですかね…
Willie Tee ,Earl Turbinton, Jr. ‘Snooks’ Eaglin ,Alfred ‘Uganda’ Roberts などのNOの重要人物が参加している面でも重要なアルバム。
Congaのウガンダさんは、Professor Long hairのライブアルバムでも弾いてますね。
Snooks Eaglinはブルース・ギタリストと言われることも多いですけど、何でも弾ける人です。
ビバップからファンクまで。物凄く変わった指弾きです。人間ジュークボックスといわれるんですけど、曲をリクエスト瞬間に弾き始めてたまげました…
Wild Magnoliasなどの仕事をしたWillie Tee,Earl Turbintonたちのバンド。
エレピのサウンドなどはファンクに特徴的なサウンドです。
ファンクでパーカッションが多用された背景にはラテンの影響以外にアフリカ回帰運動があったと言われているんですが、アンサンブルではコンガが一番使われてるような気がしますね。ソウル・ファンク評論などだとよく書いてあるんですけど、プレイヤー目線から言うと、え?違うんではと思います。パーカッション、圧倒的にラテンで使われていたものが多いです。
アフリカというなら、スルドやジャンベを使いそうなものですが、そう言う音源はちょっと思い出せません。引き続きリサーチを行います…
これもドリアン・モードに基づいて作られますね。ジャズ・ファンク系はドリアン・モードとミクソリディアン・モードの使用が多いです。
混在しているのも多いです。分析したらマルチ・モーダルという名称が付くんでしょうけど、ブルージーに行きたいからミクソリディアンで行こうか。いや、クールにドリアンでいこうと。
そういった様に文字通り、モードを変えるように演奏しているのだと思います。ブレイクでスヌークスはミクソリディアン多めで解釈してますね。
Meters解散後に、Neville兄弟が組んだバンド。90年代は世界最強のライブバンドと言われていました。Willie Greenもグレートなドラマーです。 Nevileも書きたいことは山ほどあるんですが自重します。
プレミアが付いてるのが残念ですが、1950年代のR&Bのシーンもわかる貴重な資料。ここにしか記述がないものもたくさんあります…
ミュージシャンからみたミュージシャン評は特に面白い。James Bookerが天才だったとよく言われますけど、音源だとあんまりわからなかった。あんまり音源も昔はなかったですし。
これを読んでさまざまなミュージシャンの関係図が頭の中に入った。
ああ、Lee Allenもとりあげたかったなあ。Earl Palmerは個別の記事にして語らなければならないくらいの人ですね。いわゆる8ビートを作った人です。New OrleansのミュージシャンとLAのつながりなどこれを読んで初めてわかったことがありました。
Dr.Johnをスライドで取り上げなかったのは残念なので、ここで取り上げておきます。ニュー・オーリンズ編は単独でやるべきやな…
ネヴィルの伝記。みんな壮絶な人生です…
ニューオリンズの文化に深く根ざしたバンドということは読んだらよくわかるのではないでしょうか。
Allen Toussaintは取り上げるなら、Professor Long hairや、Tuts Washington,James Bookerを取り上げないのはおかしいですよね。まあ、この記事でもほとんど当ブログの読者を置いてきぼりにしているので今はこれくらいにしておきます。
いずれNew Orleans編は単独でやる。
その時に徹底的にやってやろうと思います…びっくりするくらい読まれないんですよね。歴史編。
Little Featのカバーで有名?といえば有名かもしれない。Lee Dorseyなどのプロデューサーとしての仕事も大事。
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