当ブログはアマゾンなどアフィリエイト広告を利用しています。

オールドスクールなファンクベースをAbletonのDriftで作ろう

Ableton
この記事は約14分で読めます。

Ableton Live 11.3でAbletonに搭載されたDriftは強力なアナログ・モデリングシンセです。MPEを浅い階層で使えるようになっていたり、操作性もいい。PUSH3で一番簡単にMPEを楽しめるのではないでしょうか。

以前からあるAnalogもAASのシンセでいいんですが、アナログシンセの基礎を学ぶのに特にいいと思います。全エディションで使えますしね。これ、普通に売ってても不思議じゃないレベルのものだと思います…

今回はそのDriftを使って、オールドスクールなファンクベースを作って遊んでみましょう。

よりブラックミュージックにおけるシンセの情報をご覧になりたい方は、こちらの記事をご覧ください。今回の記事の内容ももちろん適用できます。オールドスクールなものが好きな方にはたまらないのでは…

Driftに関してはこちらに開発者インタビューがあります。マニュアルではわからない情報があるので、興味がある方は是非。

オールド・スクールなファンクベースの特徴

こういう感じのサウンドですね。シンベは70年代ファンクやる時にいくらあっても困らないですね…

Arp Odysseyを代表するサウンドと言ってもいいかと。
Headhuntersも1973年だが、このInnervisionsも1973年。ファンクの全盛期ですね。CurtisのBack To The Worldも1973年。ヒップホップ誕生の年でもあります。
1978年リリース。時代はディスコ。この曲は元Ohio PlayersのJunieがほとんどスタジオで完成させたと言われてます。BernieとJunieというファンクのキーボードマスターが二人いたのは凄すぎますね。
1980年リリースだが録音は1979年。Rogerはギターが異様に上手いですが、鍵盤も達者にこなします。アルバムはBootsyとRogerのプロデュースです。

こう言ったサウンドですね。ああ、あれねとなるんではないでしょうか…

70年代ファンクの場合は、シンセベースはMinimoogかArp Odysseyがほとんどなわけですが、これらの特徴を抽出してみましょう。

  • レゾナンスが効いている
  • フィルターのエンベロープがかなりかかっている(アマウント多め)
  • フィルターエンベロープのアタックに特徴がある。スローディケイのものが多い傾向があるか。
  • 倍音多めの波形を選んでいる(フィルターで削りやすい)
  • モノ
  • ポルタメントを使う
  • ファットなサウンド

音作りとしてはシンプルなんですが、シンプルな分だけ、それぞれのシンセの特徴が出ると思います。

フィルターの特徴、オシレータの特徴がはっきり出ますね。元のオシレーターがファットな感じでなかったら感じを出すのは難しいですね。

昔のシンセなんかはオシロスコープを見るとそもそもノコギリ波なんかちゃんとしたノコギリ波の形をしてなかったりします。

そういう揺らぎを出すにはDriftはピッタリです。波形で変化も見えますしね。

これらのポイントを押さえれば、好みでバリエーションを作れます。

Driftでいくつか作ってみました。

弾き方、理屈などはこちらで説明しています。
うねうねいってるベースはDrfitです。こういうタイプのベースもファンクベースではありますね。

Driftでベースサウンドの作り方

まずは完成したものから見てみましょう。こんな感じです。もちろん曲調によっていろいろ変わりますが、これくらいから好みのものに変えていくと楽しめるのではないでしょうか。

Driftは極めてシンプルなシンセで、Moogなど減算式シンセと同じような考え方になってます。

オシレーターで波形を選び、フィルターで音を整え、音などの変化をエンベロープでおこうなうというスタンダードな仕組みですね。信号の通りに配置されているので初心者でもとっつきやすいと思います。

以下は実際のパラメーターではありません。説明です。

オシレーター

オシレーター1つでもファンクベースの場合は成り立ちます。

今回はノコギリ波を選択しました。

Driftはノコギリ波もビンテージシンセと同じく正確なノコギリ波ではないのが面白いと思ったからですね。ブラスなどに使われることが多いですけど、これも味わい深いなと思ったので使用しました。

パルス波も三角波でもいいです。それぞれ個性ありますけど、フィルターとレゾナンスが一番オールドスクールなファンクベースの特徴なので。

どれを使ってもそれなりに成りたつと思います。

Shapeで少しノコギリ波を変形させています。Slideパラメータで押さえるたびに少しずつ波形が不安定になるようにしてアナログ感を出しています。

オシレーター2はレイヤーしませんでした。太さを求めるならば、倍音がないサイン波をレイヤーしてもファットになるでしょうし、Abletonなら単純にRack化すればいくらでもレイヤーできるのでこの辺りは好みですね。

簡単にレイヤーできるのはAbletonの強み。今っぽいファンクベースなら、上をステレオにしたりするのもありだと思います。

また、エンベロープ(1回限りの時間的変化)がアンプ(音量)と共用なので、フィルターエンベロープを使いたい場合はオフでもいいですね。私は今回そうしました。

ちょっとアタックが欲しかったので、Noiseオシレーターを少し。アタックが必要ない場合はカットしてもいいと思います。

ピッチを揺らしたい場合はここでアサインできますが、私は今回は行いませんでした。Driftパラメーターで揺れる分で十分と判断したからです。

Drfitの特徴的な作りとしては、オシレーターのゲイン、ミキサーのゲインを上げると強烈に歪むことです。記事を読むまで分からなかった。他のシンセにない個性ですね。0dbを超えると歪むんですけど、なかなか良いですね…

フィルター

最大の特徴になるフィルターはタイプ2を選択しました。カットオフポイント(フィルターの周波数)はこだわりましょう。これがファンクベースらしくなるかの最大の肝です。

シンセごとに特徴があって、そういうところがArp OdesseyやMinimoogが愛されている理由でもあります。Driftは非常にアナログっぽいですね。

MS-20タイプのフィルターで4Poleのもの。Type1はDFM1フィルターというものだそうです。こっちは2Poleですね。

切れ味の違いだけではなくて、Type1の方がより歪みます。切り替えるとレゾナンスのポイントも変わります。切り替えるとわかります。

リードだったら、Type-1の方が上の周波数も残っていいかもしれませんね。どっちもええですよ…

今回はType-2で。Hpはベースなので使いません。リードなんかの場合はあると便利ですよね。

オールドスクールなファンクではキックよりベースが低音を担うことが多いのもあります。キックを出しすぎるとオールドスクールにはならないので注意が必要ですね。

キーフォローは高い音域はカットオフの周波数を変えるものですね。

フィルターの閉じ方が一定だったら、高音域演奏したら音が出ませんよね。今回はベースなので0にしてますが、上の音域まで弾くなら適宜お好みで。リードに使う場合は1にしましょう。

ベースサウンドはおおむねリードにも転用可能です。違いはリバーブなどエフェクトを多くかけることですかね。ローエンドが濁りすぎないようにシンベの場合は派手にはエフェクトはかけない。ディレイなんかはかけることはありますけど。

レゾナンスはお好みで。まあまあかけた方がいいと思います。フィルターとレゾナンスが肝です。思いっきりミョンミョン言わせたかったらレゾナンスあげればいいですね。やりすぎると細くなるので、己のファンクにしがってください…

LFOはかけませんでした。周期的に音色が変化してもらいたい場合はLFOを使えばいいですが、今回はそうではないので0%。

Pressでフィルターにモジュレーションがかかるように設定してあるのは、パッドを押し込むことでモジュレーションがかかるようにしたいからです。

モジュレーションホイールのようにアマウントをコントロールするより、押し込みでより細かい調整ができた方が楽しめるからですね。これはパッドのメリットです。

PUSH3、PUSH2でもマルチポリプレッシャーなのでpress(押し込み)でモジュレーションはかなり有効です。

エンベロープ

エンベロープは1回限りの経時的変化です。音量の場合をアンプエンベロープ。フィルターの場合はフィルターエンベロープです。エンベロープはエンベロープジェネレーターと呼ばれることもありますね。

まずは、アンプエベンロープから考えましょう。

アタックは最速。サステインが100%になっていないのはアタックを強調したいからですね。ここだけ押さえればいいです。ディケイやリリースは曲調で。リズムをより強調したい場合はリリース短めにしますね。

リリースは曲調によりますけど、音が切れるタイミングが悪いと全くファンキーに聞こえません。

演奏したり、再生しながら適切な値に調節してみてください。

フィルターとアンプのエンベロープも共用なので、フィルターの開閉などをコントロールしたい場合はオシレーター1つだけ使用して、オシレーター2をフィルターエンベロープとして使えばいいですね。

ファンクベースの場合フィルターエンベロープとして使う場合アタック速め、Decay遅めみたいなのも結構ありますね。

ファンク系だとちょっと後にフィルターが開くことが多いと思いますが、最速でフィルターが開くことによってアタックを演出するものもあるので、この辺りは耳で調整してみてください。

まずは最速にしてから少しずつアタックを遅らせて適宜調整ですかね。

LFO

周期的にパラメーターをコントロールするものですが、今回は使いません。

フィルター、ピッチなどなどにアサインしてもいいのですが、PUSHのSlideやPressでモジュレーションはコントロールしたいので使っていませんが、シンセなどで普通に使いたい場合はModWheelに設定すればいいと思います。

Driftは面白い仕様になっていて、Envelop2をLFOとして使用することも出来ます。悪いことができますね…

弾いてからしばらくしてからLFOが作動するようなものは残念ながらできません。そういう場合はAnalogのほうが良いですね。

MOD

どのパラメーターを任意でコントロールするかですね。モジュレーションの略です。

ここがDriftの素晴らしいところですね。3つなのですが素早くPUSHからアクセスできる。階層が浅いのでリハやパフォーマンス中でもさっと調整できそうです。

私はSlide(縦の動き)で微妙にレゾナンス(周波数で強調される)ところを加えました。つまみでレゾナンスをいじるのは難しいですが、上に動かすことで、ミョンと言わせたいのでこうしてます。

重要なのは次です。フィルターがしっかりかかって欲しい。Env2がフィルターの周波数に作用するようにしています。

さっきも説明しましたけど、Env2はEnv1より遅くアタックやディケイが設定してあって、フィルターの開閉がアンプエンベロープより遅くすることが多いですね。

その他 ミキサーなど

ウニョウニョ言わせたいので、モノラルです。16%と書いてあるのは厚みですね。4つのボイスのそれぞれと書いてありますが、%上げていくとローが出てきます。これも好みですね…

あんまりにもファットすぎるとそれはそれでアンサンブルとして機能しにくいところもあると思うので。

ピッチ、フィルターなどの挙動をアナログ的に不安定にするDriftは好みで。

私はSlideやPressである程度バラけるようにしているので控えめにかけています。

両方のオシレーターとフィルター周波数にランダムなデチューンが適用されるということなので、なかなかファンキーな作りですね…

大事なのはLegatoです。モノラルにして、Legatoにすると互いに離れている音程を押さえた場合ピッチが滑らかにつながります。ファンクベース、リードではこうすることが多いですね。

Glideはピッチ変化の時間。フレーズを弾きながら適切なタイムを調整しましょう。

グライダーをイメージしたら覚えやすいですかね。曲調によって変化させてください。

G-Funk的なリードなんかはGlideを長めに設定すると感じがでるんじゃないでしょうか。サイン波、ディレイたくさんにしてハーモニック・マイナー・スケールを弾くと楽しめると思います。

Vel>Volは古いアナログシンセを模したいなら0%にすればいいですね。エンベロープのアマウントがない(ベロシティが固定)というシンセもあるので。

ただ、インタビューなど見るとゴーストノート的なものは録音してからボリューム小さくしていたみたいなインタビューも読んだことあるので、私は50%程度に設定してます…

そこまで面倒なことはしたくない…

PUSH3で横にスライドしてピッチ変化をさせたいので、Note PBをオンに。PBレンジは標準的な2半音でいいと思います。ペンタトニックスケールなどのベンディングは2半音であることが多いので。

リンクを付けたCDMの記事を読むと、このミキサー部分を0dBを超えると歪むというのは知られてないだろうと書いてありましたが、たしかに歪みます。

この歪みは他のAbletonのシンセにない特徴なので、積極的に活用したいですね。

まとめ

素早く音作りができるDriftは楽しい。リードにしてよし、ベースにしてもいいですね。ベースの音作りを覚えれば、リードもほぼ同じ知識で作れる。あとはエフェクトの選択くらいですしね。

特にファンク的なシンセベースはそれぞれのシンセの個性が出て楽しめるところです。

他のシンセでも考え方は応用できますのででいろいろ遊んでみてください。

ただ、これだけだとらしい感じにならないので、コーラスやディレイなんか使ってもいいですね。

70年代ファンク的な物だと意外にディレイがかかっていたり、結構歪んでいるものも多いので、サチュレーション使うのもありだと思います。

PUSH3でMPEを手軽に楽しめる。Drift,いいシンセです!

このシリーズでアナログシンセの基本的なパラメーターは説明してある。Driftはここまで高機能ではないが、読めばシンセの基本はわかると思う。
使うと一気に70年代ファンクの雰囲気になって楽しめます。動画色々あり。質感最高クラスの飛び道具ディレイです。
ベースにはほぼ全て挿しているアナログ系サチュレーションの最終兵器だと思ってます。オールドスクールなものが好きな人はまず後悔しないと思います。動画いろいろありです…
当時のレコーディングはテープなので、当然テープコンプはしっかり掛かってます。派手なエフェクトではないですが、ナチュラルにトランジェント丸めてくれたり、ファットなサウンドにしてくれます。と言っても派手にかかるタイプのものではないです。ミックスの最終形で大きく変わりますね。当時のレコーディング事情などについてもいろいろ書いてあります。
R&Bなどでよく耳にするようなアレです。
音響的なアプローチというか、最近多いめちゃくちゃ加工したピアノもAbletonなら簡単に作れます。
Abletonで最も人気があった(ある?)operatorはFMシンセでもあります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました