古のテクニックシリーズ。かつてのサンプラーキッズは一度はやったことがあるんじゃないでしょうか…
ビートメイク考古学としての価値があるかもしれないですね。いや、適当に言ってるだけなんですけど…
どういうことが出来るか。まずは動画を御覧いただきましょう。
今回はダンスミュージックで使われる基本的なやり方よ。
— うりなみ (@urinami) March 16, 2024
サイドチェインコンプレッサーを使ったダッキングは、音量が抑え込まれてから、戻る。だから小さい音、大きい音という流れになるわね。
一方、ゲートというのは言葉の通り、一定以上の音を通して、後は切るわけね。門として働いているわ。… pic.twitter.com/ABClr3lUi9
考え方
これは白玉のコードを、サイドチェインでキックをトリガーにして、リズミカルに鳴らしています。
え、宇宙語。日本語でプリーズとなりますよね。大丈夫です、一つずつ説明していきますよ。
白玉のコード
なんというか、枕詞っぽいですが、そういう意味ではないです。全音符や二分音符などを指す(白い丸ですよね?)こともありますけど、「4小節白玉で〜」等と言われている場合は単に長い持続音だと理解すれば良いです。
コードをずっと伸ばしっぱなしにしているということですね。
サイドチェインとは
サイドチェインにはインターナル・サイドチェインとエクスターナル・サイドチェインがあります。
今回取り扱うのはエクスターナル・サイドチェインです。
普通、エフェクターはそのトラックに入ってきた信号に反応しますよね。
でも、今回は、白玉のコードを鳴らしているトラックのゲートを、別のトラックのキックの音声をきっかけにして作動させませす。そのエフェクトの外側にあるから、エクスターナルといいます。
トリガー
銃の引き金などをトリガーと言ったりしますよね?DAWでは何かのきっかけになるのをトリガーと言ったりますね。
「生ドラムをトリガーして…」なんていう場合は、生ドラムのアタックを信号にして、他の音源を鳴らしたりする意味として使っていますね。
ゲート
ゲートはダイナミクス系エフェクトです。ダイナミクス系統エフェクトというのは音量を制御するものですね。ゲート、コンプレッサーなどを挿します。
ゲートは、一定の音量を超えたものだけ、音を通す役割をするわけですね。
ギターを弾く人なんかだとノイズ・ゲートとかおなじみじゃないでしょうか。シングル・コイルのギターなどは構造上ノイズが乗りやすい。もちろん、弾くよりは音は小さいけれどなっていたら耳障りですよね。
そういうのを抑え込むのに使ったりします。弾く音は聞こえるけれど、ノイズは聞こえない。そうするために使います。
あと、ドラム、特にタムには使いますよね。フロアタムなんかはキックと同じくらいに口径があるわけですから、当然余韻が残ってしまう。そうすると低音が濁ってしまいますよね。
だから、ゲートで切る。といってもゲートで切りすぎると、ドラムのセット感がなくなるから使いようだと思いますけど。
これで、キックの音量をトリガーして、キックがなっているときだけゲートが作動する。そのときはコードがなっているトラックは音が出るわけですね。
いちばん有名なエクスターナル・サイドチェインを使ったものはダッキングですね。
コンプレッサーを使って行います。
コンプレッサーの機能は音量を下げることですね。なので、音量がコンプレッサーによって下げられて、それから戻るという動きになります。キックとベースなんかはぶつかると明瞭なサウンドにならないので、キックをトリガーにしてベースを下げたりするのが多いですね。
まあ、上手いプレイヤーだとそもそもぶつからないように弾いてると思いますけど…
ダンスミュージックだと、音量制御としてのダッキングではなくて、リリースを早くして急激に音量が戻るポンピングサウンドをアレンジの手法として使ったりすることも多いですね。
生楽器だったら気持ち悪いんですけど…
原理を知っていれば、 エンベロープを形成するエフェクトでも同じような効果を得ることが出来ます。
実際の手順
ゲートが作用したいトラックにGateを立ち上げます。
三角のボタンを押して、「sidechain」ボタンを押します。トリガーするトラックを指定する必要があります。今回はDrumrackのキックをトリガーにしたいので、Drums→「Pre FX」のKickを選びます。
Pre FXはエフェクターを通る前の信号をトリガーとして使うということですね。ドラムにもいろいろエフェクターが掛かっている場合は音量が変わってしまいますよね?だから、PreFXにします。
では、ゲートの説明です。
ゲートのパラメータ
スレッショルド (Threshold)
スレッショルドはゲートが反応する音量のレベルを設定します。この値を超える音量の信号のみが通過し、それ以下の音量はカットされます。
だから、メーター見ながらキックにしっかり反応するようにすれば良いわけですね。
アタック (Attack)
アタックタイムは、信号がスレッショルドを超えた後、ゲートが完全に開くまでの時間を設定します。短いアタックタイムはゲートが即座に開き、長いアタックタイムはゲートがゆっくりと開きます。
ふわっとしたパッドみたいにしたかったら、アタックはゆっくり、もっとリズミカルにしたかったらアタック早目にすればいいですね。
ホールド (Hold)
ホールドは、信号がスレッショルドを下回った後も、ゲートがいつ閉じるかを決定する時間を設定します。
ここはちょっとキモですね。すぐにゲートが閉まってしまうと、音符としては成り立たない。私は8分音符や16分にくらいに設定することが多いです。
4分音符の長さ(msec) = 60000(msec) ÷ BPMですから、BPM120なら4分音符は500msecになりますよね。8分音符はその半分250msec,16分音符なら125msecです。ディレイタイムやリバーブ、コンプなどを考えるときにmsec換算出来るようにすると便利だと思います。
リリース (Release)
リリースタイムは、ゲートが閉じる速度を設定します。短いリリースタイムはゲートがすぐに閉じ、長いリリースタイムはゲートがゆっくりと閉じます。
これも切れ味に関わるところですね。パツパツした感じにしたかったらリリースタイム早目ってことですね。
フロア (Floor)
フロアは、ゲートが閉じたときの信号の減衰量を設定します。-inf dBに設定すると、ゲートが閉じたときに信号は完全にミュートされます。0 dBに設定すると、ゲートが閉じても信号は影響を受けません。
これはちょっと考える必要がありますね。今回はリズミカルにしたいので、ゲートが閉じたときに信号は出ないように調整します。
リターン(Return)
ゲートを閉じるときのレベル差ですね。音が消えるポイントと理解するとわかりやすいですね。2つ目のThresholdを作るということです。
Returnは今回は使わないですがゲートが閉じたときにスパッと切りたいので、Thresholdと同じにしてもいいと思います。
え、別にこんなパラメーターいらんやんと思われる方もいらっしゃいますかね…
このパラメーターがあればちょっと音量が下がってからゲートが閉じるわけですから、ゲートで反応しすぎないようにするわけですね。だから、ヒステリシスと呼ばれるわけです。ヒステリックにゲートを開閉しなくなるわけですから。
Returnの値をあげるとちょっと余韻が残ったりするわけですよね。なんで、残響とかノイズがあったりするほうがいい場合に使いますね。自然にしたいときに使います。
このあたりはダンスミュージックと生楽器だとかなりちがった設定しますので、いろいろ実験されてください…
まとめ
ゲートはダイナミクス系エフェクトでは非常に大事なエフェクトですね。飛び道具的な使い方もたくさんあるんで、また紹介しましょうかね。
それより前に、ちゃんとコンプとゲートの仕組み説明したほうが良いですかね…
ゲートはこの説明だけでだいたい使えると思いますが…
Flipは飛び道具で使うことはありますけど、まあ、あんまり使わないかな…
新しいエフェクトも楽しいですけれど、ずっと残ってきた基本的なエフェクトは基本なだけに使い所がたくさんある。Gate、派手なエフェクトではないですけど、使いこなせるとぐっと楽しくなりますよ!
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