今回はStevie WonderのIsn’t She Lovelyを取り上げます。ソウル・ファンク系セッションだけではなくてジャズ系でも取り上げられることが多いソウルクラッシックです。というか、ソウル以外の人にも愛されている曲ですね。
ハイブリッド・コード、ドミナント7(b9)、メジャー7(9)などのコードのボイシング、コード進行的にはセカンダリー・ドミナントの効果的な使い方。メジャー・ペンタトニックスケールでのキメなど多くのことを学ぶことが出来る素晴らしい曲です…
また、シャッフルなど3連符系統のコンピングなども学ぶことが出来ます。
若い人も、最近だとTom Mischがカバーしているのでご存知の方も多いのではないでしょうか。
弾くのも楽しいコード進行だと思います。キーはEでStevieとしては珍しいかもしれないですね。Dbとか鍵盤で弾くと地獄のようなキーが多いんですけれども。
いつも通り、パッドで弾けるようにボイシングなどは工夫しています。
コード進行
|C#m7|F#7(9)|AonB|E|
|C#m7|F#7(9)|AonB|E|
|Amaj7(9)|G#7(b9)|C#m7|F#7(9)|
|AonB|AonB|E | E |
15小節目からEメジャーペンタトニックスケールのかけ上がりフレーズがあります。
コード進行的には、2小節目のF#7がセカンダリードミナントで、ドミナントAonB(B7sus4(9))というハイブリッドコードをつかっているところが特徴的ですね。
頭に戻るときに16小節目にG#7を使っているときもあります。Stevie WonderはI Ain’t Gonna Stand For ItでもⅢ7のセカンダリー・ドミナントを使っています。非常にエモーショナルですね。4度進行で強く頭にもどるのもクレバーですね…
押さえ方
C#m7
5度をトップに持っていくボイシング。ちょっとしたメロディを入れたいときなどにも重宝します。次のドミナント7th(9)とトップノートを共通させてスムーズにつながるようにしています。
F#7(9)
右手で137のシェルを作って、左手でテンションを入れています。鍵盤なら左手でシェルを作るのが普通ですが、パッドの場合はこうするのが楽に弾けると思います。セカンダリー・ドミナントでもあります。
AonB(B7sus4(9)
いわゆるハイブリッドコードです。右手が中指で押さえているのは前のコードと指を変えないためです。
パッドの場合は、視覚的イメージでコードを捉える必要があるのは、状況に応じて様々な弾き方が必要だからですね。
E
どっしりした響きにしたかったので、ルートをダブリングしましたが、トップノートの一貫性を考えるなら第一転回型で弾いてもいい感じになりますね。
Amaj7(9)
トップに5を持って行ってます。
G#7(b9)
右手で173を押さえているのは、ローが濁らないようにするためです。b9は特徴的なサウンドですね。
トップノートがC#→Dと半音進行になるようにStevieは考えたのかもしれないですね。G#7はセカンダリー・ドミナントで、Eの調性外にあるのでキーEに寄せる意味もあったかもしれません。
単なるドミナント7thだとこういうムードにならないので素晴らしいですね…
137を右手で弾いて音域を上げるのもいいと思います。Rダブリングしてもいいと思います。こちらを動画で説明していないのはポジション移動が慣れてないと難しいからです。
スケール
キメではEメジャーペンタトニックスケールを使っています。音的にはC#mペンタトニックと同じですね。平行調ですので。
セカンダリー・ドミナントF#7ではオルタードスケールも使用可能ですね。b9,#9はEメジャーキーに含まれています。F#7の3,5,7,b9からdim7のアルペジオを弾いたりするのも可能です。
全音下のハーフディミッシュ使ったラインなんかクールではないでしょうか。
Charlie Christianもパーカーもやるやつですね。アドリブでコードをスーパーインポーズする手法はスケールより多く使われてます。ハーフディミニッシュは色々使い方あるのでこのあたりはいずれやりたいですね…
生きてる間に書けると良いな…
概ねEメジャーやEメジャーペンタトニック・スケールでアプローチして、セカンダリー・ドミナントなどはアルペジオやアルペジオの装飾というのがソウル・ジャズ的なアプローチで多いんじゃないでしょうか。
注意点
いつも通り、コードを押さえられるようになるまではクリックや、リズムマシンを使わないことです。コードのつながりを考えるとどの指使いが楽に弾けるかも決まってきます。
写真の指使いは演奏しやすいようにしてあるので一つずつ慌てずコードを押さえられるようにしていくといいと思います。正確に弾けるようになれば、速く弾くことは難しくないです。間違えた動きを覚えると再学習するのはしんどいので、慌てず行きましょう。
コードを覚えたら、3連符系統のパルスを体につくる練習をしたほうがいいかもしれません。R&Bやゴスペルなどではいまでも3連やシャッフルの曲はありますが、今の音楽だと使用頻度は低いので、馴染みがないかたも多いのではないでしょうか…
3連符系統を鳴らしながらコードを押さえるようにすることも効果的です。
原曲のコンピングのパターンも耳で覚えると、伴奏の幅が広がると思います。ライブなどではかなり自由に弾いていますが、原曲は比較的にシンプルなので。
Stevie Wonderの曲は、難しいものも多いんですけど、弾けるとぐっと楽しくなりますよ!
メイキングシリーズです。もう中古しか無いかもしれないですが、面白いです…関わったミュージシャンたちとの再演もあります。
ハーモニーなどの分析があるのはこちら。伝記などの読み物とはちょっと違う。ミュージシャンのスティービー愛がダダ漏れの本です。これも絶版ですね…
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