野方 花みずき エビの香りと濃厚な柔らかいチャーシューのバランス
寒くなった。
部屋に戻った時間が遅くて、近くのスーパーが開いていなかった。ちょっと温まりたいので、麺類でも食べようと野方に向かった。
目当てのうどん屋が終わっていたので、ラーメンに切り替えることにする。野方はラーメン激戦区で個性的なラーメン屋が軒を連ねている。
家系ラーメンの店も新しく出来たのだが、今日向かったのはこのお店。
花みずきである。場所はちょっと分かりにくい。環状線を渡ったところにあるお店。
ベジポタで有名なえん寺系列のお店。今まで入ろうと思いつつ、なかなか開いている時間に来られなかった。
照明が落とされていて落ち着いた雰囲気。トイレも綺麗で、女性客がいるのも納得だ。
つけ麺が売りのようだけれど、今日は温かいものが食べたい。
えび味噌ラーメンのチャーシュ味玉入りのトッピングで注文。
チャーシュー、肉味噌、ネギ、メンマ、海苔である。
野方は味噌ラーメンで有名な花道がある。正直、あれくらい完成度が高い海老味噌ラーメンを出す店が近くにある場合はやりにくいだろうと思う。
花みずきのラーメンは、ありそうでない味噌ラーメンだった。
基本的に味噌ラーメンは濃厚であることが前提なのだと思う。
味噌と、香りを出すためにごま油で炒めた野菜を加えるタイプの店が多い。
萬馬軒もこういうタイプだった。花道にしてもそうだ。
最近食べた鷺ノ宮のつぶらやは、それにコーンとバターがのった、札幌の味噌ラーメンだった。
これもごま油と野菜を炒めたものというのが基本形は崩していないな。
では、どうか。
スープを口に含む。海老の香りが広がる。そして、辛味もある。ちょっとびっくりした。
スープはエビをベースにして、辛味があり複雑な味わい。もちろん味噌も感じられるのだが、あくまでエビが主で、味噌は従に感じられる。
味噌ラーメンなのだが、味噌が強くない。これには驚いた。
だからといって旨味がないわけではない。むしろ濃厚な旨味である。
肉味噌があり、これも崩すと味が変化する。
こういうタイプの味噌ラーメンだと、中太麺で、歯ごたえがあるタイプが一般的だと思うのだが、予想外の細めのストレート麺。
食べて納得する。
つるつる行ける。
濃厚なスープと対比がつくのだ。スープの複雑な味わいを楽しみつつ、麺でつるつるした対比をつける。
チャーシューは柔らかく、脂ものっている。口の中に豚の旨味でいっぱいになる。
味噌が強くなく、エビや辛味があるありそうでなかったラーメンだ。
チャーシューも強い旨味、エビの香りも旨味も強いとなると喧嘩してしまいそうなものだが、そうはならない。
それは細めのストレート麺であり、味噌を強調しないという工夫にあるのだろう。
炒めた野菜が多いという基本形を思いっきり外しているのだが、こういう味の組み立て方もあるのだなと唸った。
基本は強い。
だから、ジャンルというものが生まれる。
らしさを追求する難しさはある。
その中でジャンルが成立していくということはどこでもあるのだろう。
そして、その発展の中で、違う軸も生み出される。
花みずきも使っている材料そのものは、炒めた野菜がないというだけで、味噌ラーメンの枠組みのなかにはある。
だが、その枠組の中で、全く違う方向性を生み出すのはどれくらい難しいことか。
競争が激しいものほど、新しい物が生まれる。
新しいものを組み合わせることも、新しいものを生み出すことは出来る。
しかし今までと変わらないものを使いながら、新しい組み合わせを考えられる。
ヒントになった。
新しいものを組み合わせることよりも、今まであるもので焦点を変えることで、新たなものを作れるかもしれない。
ごちそうさまでした。また、来ます。
つけ麺 花みずき (ラーメン / 野方駅、都立家政駅、沼袋駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.6
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