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HARDWARE TECHNO LOOPS発売記念 ササキタカシさんインタビュー 4 ゆらぎを与える

音楽
この記事は約11分で読めます。

SONICWIREより、ササキタカシさんが制作されたHARDWARE TECHNO LOOPSが発売されました。

非常に高品質なサンプルパックで愛用しています。

TECHNOと銘打っていますが、ハウスやR&Bなどにも使える。ループを組み合わせだけでいい感じになるというちょっとびっくりするようなサンプルパックです。

この高品質なサンプルパックがどのようにして作られたのか。作られたハード、録音方法、レイヤーなど、ササキさんの信じられない作り込みがあることがわかってきました。

前回は実際にHARDWARE TECHNO LOOPSのループをつかった作例を取り上げました。生演奏のファンクが激変する様をお楽しみいただけたでしょうか。

サンプルパックはこの世にたくさんありますが、ループから曲を作ろうと触発されるものは少ないと思います。

HARDWARE TECHNO LOOPSはそういう少ないサンプルパックだと思っています。

発売を記念して、現在30%オフで販売中です。

ササキタカシ氏の活動についてはこちら

サンプルの手間は録音するだけではない

(1ショットについて聴きたいとDiscordで事前にリクエストがあった)

うりなみ:では1ショットについて紹介していきます。

凄いんですよ。笑

Abletonユーザーの集まりだから、Abletonを使いながら説明しましょう。笑 ササキさんはレコーダーとしてしかAbletonを使わなかったということですが。笑

(第2回参照)

ここで例えばストリングスの1ショットをSimpler(Abletonのサンプラー)で読み込んでみましょう。

Tunerを立ち上げますね。揺れてますね。

アナログの特徴っていうとやっぱり皆さんご存知のようにピッチが安定しないっていうのが当然あるわけですよね?

ひどいサンプルパックだとねそう書いてある(ハードを使用)んだけれど、本当かよというのはある。笑

(Spliceなどでも、サンプルパック作成者に誤解させるような表示をしないようにとの記述がある。)

こういうこと言わないほういいですか。でもあるあるですよね。笑

こうやってピッチが揺れている。それが質感を作っている。

でも、揺れてるってことは使えるの録るのも大変なわけです。もの凄い手間がかかったはず。音楽に使える状態であるかどうかを一つずつササキさんがジャッジしてるわけですから。

だからsimplerに読み込んでそのまま即戦力になるという。これでメロディ弾いたりしても十分成り立つ。

アコースティック楽器じゃないからもちろんどんなものでもサンプルで使えるといえば使えるんですけど…

1ショットにも工夫が尽くされているな…と思ったんです。美味しいところが余すことなく収録されている。

この長さが素晴らしいです。笑

こういう音色でストリングスとして使いたいんだったらある程度のやっぱ長さが欲しい。ピッチの変化や揺れがあってほしい。

こういう1ショットの収録の工夫や、音色の選定基準などありましたら教えていただきたいんですけど…

ササキ氏は音源のリリースだけではなく、精力的にパフォーマンスを行っている。8月は大阪でもライブがある。詳しくはササキ氏のSNSで

オーガニックさはどこから生まれる?ゆらぎ

ササキ: 海外勢がよく使う言葉でオーガニックって言葉があるんですけど…

そういうアナログシンセならではの揺れ具合とか不安定さ。

あれがやっぱり味になってる部分があると思うんですよね。

僕は照明や映像も作るんですけど…

ササキ氏が主催するBeepは映像面も見ものの一つである。

うりなみ:そうササキさんは映像も作るんですよ。皆さん、覚えておかないといけないですよ。試験に出ますよ。笑超人過ぎますね。笑

ササキ:Touchdesignerを使って、音が「ドン」ってなったらそれに合わせて映像が動いたりするインタラクティブなものを作ってるんです。

 インスタとかに上がってます。

Instagramでちょっと過去に戻ってもらえばみられるかと。

うりなみ:皆さんササキさんのインスタも フォローして確認してください。笑

ササキ:僕のこだわりの1つがずっと聞いてて飽きない、ずっと見てて飽きないの2つがあるんです。でもマシンライブ やってる時って両手が操作で完全に埋まるんですよね…

(ササキさん、こだわりポイントいくつあるんでしょう…)

いろんなマシンのつまみをなんだかんだいじりますし、その場でこうフレーズ変えたい時はその場で打ち込むんで、手が空いてないんです。

そんなライブの際に映像を出すこともあるんですが、手が空いてないので切り替える時間もない笑

で僕が音を変えたらその映像が自然に変わっていくというインタラクティブな仕掛けにしています。

うりなみ:ああなるほど。エンベロープで出来ますね。情報量を多いものを普段から作ってるということだったん ですね…

ササキ:スネアが例えば スタタンタンツタンて言ったらそのスタタンタンツタンを受け取って映像が動くんですよ。

うりなみ:映像も音楽的な感じですもんね。

ササキ:そういうことをやっているので、単純な繰り返しではなく、なんかこう揺らぎがあることによって人は飽きないでずっと見続けてくれるっていう。


聞き続けるのも同じですよね。

アナログのリズムマシンだとなぜか飽きないとかそういうやつです。

アナログのリズムマシンのリズムはずっと聞いててもパターン変わんないのに飽きない。でも不安定さもそれが行きすぎるとダメなんですけどね。

そこら辺はもう長年ハードを使いまくってきたので、「あ、これ気持ち悪いな」ってのと「これギリギリいいな」って、そこの選定基準が自分の中にあるんですよね。

常に手が動いているというのが分かる動画を。様々なパラメーターをこのように変化させることでオーガニックな質感を生み出している。

フレーズにもゆらぎがある

うりなみ:同じパターンの繰り返しのハイハットも裏だけちょっと違うような音色を入れて、変化を加えたりとにかく単調にならない工夫がある。情報量がとにかく多いです。

ただ 、その情報がすごく整理されてるんですよね。使いにくくない。
さっきササキさんがおっしゃったようにリズムパターンが同じであっても音色 ちょっと変わっていたり、
あるいはフィルターが変わってるとかそういう細かい気配りが大きいんだとな感じました。

ループの中にも変化がある。

パーカッションでもクラーベがね。実に良い音なんです。これはもうササキさんのこだわりポイントじゃないですか。笑

めっちゃいい音なんですよ。

(再生する)

そう分かります?

ここの左右の動きって皆さん聞こえてますかね?

このパンの移動がすごく気持ちいいんですよ。そのパンですらあのなんていうかグルーヴがある。ディレイも単に符点8分音符のディレイを雑に使ってる感じではない。笑


とにかく細部まで手が入れてある。

ここ聞こえますか?

(再生する)

このディケイの部分のパンとかもね。

皆さん、多分聞こえないと思うんですけど…すっごいですよ。
このステレオの処理とか。

だからワンショットでこれが入るだけでも存在感って全く変わるんですよ。曲全体の情報量が増えます。

で このフィルターだったりこういうののどうされたんです?良くなるまでずっと録ったんですか?

先日Remix第2弾がリリースされたNight Loop、そのオリジナルミックスがフランスNaeba Recordのコンピレーションに選ばれた。原曲との違いも楽しい。

ゆらぎを与える 自分でコントロールする 機材の組み合わせ

ササキ:そうですね。もう触りながら録ってます。笑

うりなみ:これパラメーター動かしてるの1つだけじゃなくないですか?それも聞きたかった。笑

(ディケイ部分に様々なモジュレーションやパンなどが加わっている1ショットを再生)

ササキ:はい、これは1つだけじゃないですね。笑

(シンセのパラメーターをいじっているのは、第2回のインタビュー参照。エフェクトもつまみをいじっていることが判明)

いくつか組み合わせてやってたりするんですよね。

リズムマシンがあって、あるパートのフィルターが開くようになっていて、その後ろにまた機材があって、 例えばアナログシンセのアナログインプットとかにいれて。

そっちのフィルターがあってその先にディレイとかリバーブも置いといて割と壮大なチェーンになってますね。

うりなみ:そ、それはこの機材リスト単体で使ったわけではなくて、その機材の中でもさらに他の組み合わせて作っ てるってことですか?

実際にはこれ以上に 機材があるということではないんですか。笑

(インタビュー前に知らされていませんでした。)

ねえ、 ササキさん!笑

ササキ:そうですね。笑
あのコンプもスーパーナイスコンプでしたっけ。あの ちっちゃいやつ(FMR)

あれも赤いやつと青いつまみのやつとかいくつかお借りしてどれが1番いいなとか…

うん意外と地味に良かったのが コルグのカオスパッドにいろんなものを通してみるっていう。

あれがね、また予想がつかないところがあって面白いんですよ。
こう手元指先の操作でリアルタイムに どんどん音変えられるので、さっきの「ふわっ」とかいうとこも「ふわっ」て言いながら。こう指先の操作をふわっと。笑

うりなみ:あれはササキさんの超絶指プレイだったんですね。笑 

ササキ:ハットとかシェーカーのフレーズがあるじゃないですか。

あれ元々そのままだと「シャカシャカシャカシャカ」て言ってるだけなんですけど「カシカシシャカシャカ シャカ」というのは全部指でつまみ回してます。

(ディケイやリリース、アタックなどADSRのパラメータを変化させているということ)

うりなみ:指だったんですね…笑

ササキ:指です。笑

うりなみ:Abletonで鬼オートメーションかな、一体どんなオートメーションなんだろうと初めは思っていたんですけど、エフェクトやパラメータの操作も記録してあるわけではなくて、指なんですね。まさかこれも指とは…笑

指ってことはうまく録音できるまでやるってことですね。凄すぎる…笑

これとかね凄いんですよ。分かるかな… これなんてササキさんって感じがしますね。笑

(再生する)

ササキ:これですね。「ドンち ドンちドンちドンち」しか打ってない中にこれがポコって入れると売れる感じになるんですよ。笑

リリースやカットオフをコントロールしてリズムを作るプレイ。イーブンでなくてスイングしているのもわかるだろうか。フィルターの開閉一つとってもササキ氏のスタイルがある。

サンプルパック作成の裏側というインタビューなのですが、ササキさんの創作論にも関わるような話でしたね。

特に循環する中で変化を与えるというのは、ダンス・ミュージック全般で重要なことだと思います。

テクノなのにオーガニック?と思われる方、いらっしゃると思うのですが、MS-101のフィルターとリリースのプレイや数々のあげたササキさんの動画をご覧頂ければササキさんの肉体性に強く依拠しているのがわかると思います。

フィルター、スイングで開閉してるのって超絶プレイなんですよね。どうあっても人間にしか出来ない。というか、ササキさんにしか出来ない。スイングで開閉が出来たとしても、これはササキさんのグルーヴですからね。

イーブンならLFOでやればいいわけですけど、そうではない。

そして、フィルターの開閉でももたったりインテンポじゃないプレイだったら気持ち悪いわけです。

ササキさん、インタビューでこだわりという言葉を何回も仰っていたのが印象に残っているんですけど、ループだけではなくて1ショットにもササキさんの美学が反映されています。そうでないとこうはならないですよねえ…

本当は1ショットもブログに乗せたかったんですけどね。権利関係上難しいので是非、みなさんご購入ください…

このインタビューを御覧頂いていてからだと、ああ、こういうところで変化を加えるから飽きないのかとか発見が非常にあると思います。

いやあ、勉強になりました。

ちょっと今回分量多かったんですけど、ここはまとめて読んでもらいたかったので力を入れました。皆さん、ササキさんのこだわりポイントに驚いたと思うんですけど、実はまだまだとんでもない話がでてきます…

リリース情報

リリース情報 フランス Naeba Recordsよりリリースされた

TAKASHI SASAKI Featuring SAyA – Night Loop 収録のコンピ Japanese Xperience

好評につき追加製作、リリースが決定したRemix Night Loop remixes

Night Loop remixes 2

昨年イタリア LETS TECHNO recordsよりリリースされ beatportで2位になったEP Future Memory

ライブ情報

2024.08.31(sat)
sound×dance×visual
Collaboration Event
“SPANDA Vol.3”

open18:00 start18:30
charge2500yen + 1 drink order
at environment 0g [ zero-gauge ]
大阪市西区南堀江3-6-1 西大阪ビルB1
(出演時間は20:10から20:50までを予定しています。)

Beep

ササキさんが主催されているDAWLESSのイベント、Beepの予定です。

beep 50 NON PC ELECTRONIC SOUND LAB.
2024.09.27(金)
21:00 – 23:30
¥1500(別途1ドリンクオーダー)

■Guest:
HATAKEN
MADZINE

■LIVE:
Takashi Sasaki
Shohei Takata
Yohei Kisaka
kousuke sato

■VISUAL:
chiyo_midnight
omi(Amejika)

大人座 札幌市中央区南1条西1 板谷ビル 8F

https://www.otonaza.com/

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