素晴らしい書籍がでました。タイトルに銘打ってあるように超実戦的な内容です。
お洒落コードというと猫にチュール状態で飛びついてしまうけれど、譜面や音楽理論の用語を見ると、「兄さん、頭が痛いよ…」となってしまうあなた。そんな方に楽しく学べる書籍です。激推しですよ…
こういうゴスペルのハーモニーを正面から扱っていて、今の感覚を本当に反映しているものは日本語の書籍では私の知る限りではないと思います。大変な労作です。
現役のミュージシャンが現場で、今の感覚を反映して書いているというのはなかなかないですからね。
こういう音楽やりたい人は今までもたくさんいたはず。
ですが、コピーしてアナリゼ出来ない人にとっては凄く敷居が高いものでした。それを筆者の泉川さんが極力専門用語や譜面を使わず、平易な言葉で語ってくれています。
譜面や演奏が苦手という方でもスルスルと読めちゃいますね。
ありがたいことです…
■ニューヨークの音楽シーンから学ぶ、シンプルかつリアルに使える音楽理論!
この本は、ニューヨークの音楽現場で実際に使われているアイディアを紹介する実践的な入門書です。シンプルでわかりやすい内容を重視しています。ジャズ理論を基礎に、ゴスペルやヒップホップなど多彩なスタイルを解説し、すぐに実践に活かせる知識と技術を提供します。また、自身のサイト”Mubo”やyoutube動画も併用することで、より理解を深めることができます。音楽の世界を共に探求していきましょう。
■著者プロフィール:泉川貴広
ニューヨーク在住のピアニスト・キーボーディスト。グラミー賞受賞アーティストであるAnderson .PaakやChris Daveなど、多くの著名アーティストと共演。国内ではMISIAなどJ-popアーティストのレコーディングやライブに参加。2019年にはRopeadopeレーベルと契約し、自身のアルバム『Life Is Your Thoughts』をリリース。自身のサイト”Mubo”にて、日々の活動やミュージシャンのためのアイディアを発信中。
譜面が読めなくても大丈夫
ゴスペルやジャズを学びたいとなったときに、一番はじめに躓くのは譜面が読めないことや鍵盤が演奏できないことだと思います。理論、理解できたら覚えていなくてもいいことというのはありますからね。
これなら安心です…
多くのハーモニーを扱っている本では基本的な4和音の説明でも譜面が使用されているので、譜面が全く読めない人にとっては敷居が高いものだったと思います。
でも超実戦音楽力では図表が多用されているので、鍵盤を弾けない方でもとっつきやすいですね…
極力専門用語を使わない工夫
泉川さんが冒頭で仰ってるように、実際に使える情報にフォーカスしてまとめた書籍です。
そう、わかれば良いんです。
演奏や実践を伴わないものはこういうゴスペル的のものから最も遠いものと思いますし。弾けて使えたら良いわけですし。
一般的な理論書なら、サブドミナントの代理コード、Full Cadenceなどと言う言葉を使うと思うのですが、こんなのわかりさえすれば良いわけですからね。
「音楽用語、宇宙語すぎる…」と絶望されていた方も、フクロウさんが教えてくれるのは安心ですね…
現代的である
多くの理論書ではⅡm7では13はアボイドと扱っているものが多いと思いますけど、実際マイナーコードは多くをドリアンとみなして弾くほうがブラック・ミュージックでは多い。
むしろ、そっちのほうが現場の感覚に即している。
ファンクやゴスペルやりたいんだけれど演奏もそれほど得意ではないという方が、書籍を見て勉強しようと思っても「え、全然そうならない…もう、嫌や」と思う事を避けられるはず。
ゴスペルもジャズも演奏できるようになると凄く楽しい音楽ですけど、現状独学はかなり難しいんじゃないかと思います。
普通の理論書とは違うけれど、実際に機能することに重視されて執筆されたのだなと思います。
ナチュラルテンションの扱いが一般的な書籍と違うところがあるのですが、#11はモダンなゴスペルなんかでは超使われるというか、こっちのほうが多いと感じています。
リディアンb7が昔と比べ物にならないくらい使われる今、こういう形で学んだら、早い。実戦的です。
莫大なコピーを経て「ああ、多くの理論書ではこう書いてあるけど、実際はこう使うよねえ…」となるのを避けられると思います。
スケールとコードは同じもので、コードをhorizontalに展開していくものというのがジャズなどのアドリブの基本中の基本だと思いますけど、そういうことあまりジャズスクールなんかでは教わらないんじゃないですかね。
そういうことがはっきり最初に書いてある。現代的です。
現場の音楽を理解するために、こう考えたら良いよという泉川さんの提案だと思いました。
教科書的なものが知りたかったら、Mark Levinの併用すればいい。
けれど、おそらく初心者がやったら挫折する可能性は高い…
泉川さんの超実戦音楽力なら楽しく完走できると思います。ストリートの理論書ですね…
実際に音を出して理解してから、その確認の為に理論書を読むというのが自然な流れだと思いますし。初学者であればあるほど、理論と実際の音楽の距離が近いほうがいいと私は強く思います。間口は広ければ広いほうがいい。
あとはサブドミナントマイナーのⅡm7(b5)から戻るパターンなんかもモダン・ゴスペルで多いですよね。こういうモーダルインターチェンジしてるパターンも取り上げられていれてます。1Pで解説してあるんですもん。
この手軽さといったらない。
何より実践的
インバージョンの重要性やゴスペルでは特に重要なパッシングコードなどについても入門書として書かれているのは素晴らしい…
何より作ってみたい、弾いてみたいという人には学ぶところが多いはず。
先程のⅡm7(b5)なんて、展開したらⅣm6になるの、すぐ気がつくと思うんですよね。
応用するのに必要なヒントが沢山あります。注意深くトピックを選ばれたんだと思います。
パッシングコードという観点で章が設けられているのも素晴らしい。
特にゴスペルの場合はジャズより多用しますし。
セカンダリー・ドミナント、理論書では個別に取り扱われることが多いわけですけど、パッシングコードとしての使用例がゴスペルでは圧倒的に多いわけです。
こういう言葉を使わずとも使われる場面から理屈を説明しているのは素晴らしい。なんのためにこの解説があるのという事を一般的な理論書ではわかりにくい。どうしても、木を見て森を見ずということに初心者はなりがちだと思います。
実戦的ですね。
セカンダリードミナントとパッシングコードとして使うディミニッシュ7thの正体は同じとか、平易な言葉で書かれてます。
泉川さんと同じことを、当ブログでも以前からやってますけど、このわかりやすさの差よ…
ブログ読むより、超実戦音楽力を試してください…
動画で学べる
泉川さんのプレイが実際に動画で学べるのは素晴らしいですね。こういうの、実際のプレイ見ないとわかりませんし。
フィールがなかったら全然ダメなので…泉川さんの素晴らしいプレイを堪能できます。
泉川さんのYouTubeチャンネルはこちら。
コミュニティやより突っ込んだことを学びたいならこちらがオススメです。
私はnoteの方を契約しました。勉強になりますねえ…
破格も破格だと思います。
まとめ
大変な労作です。編集の白晝堂々さんお疲れ様でした…
泉川さんもありがとうございます。
ゴスペル、日本語情報だと物凄く少ないので、泉川さんのこの書籍は学びたい人の助けになると思います。
自分はブルース、ジャズ、ファンク、R&B、ゴスペルをやってきて、自分が好きな音楽を色んな人が出来るといいなと思ってブログをやってきた面があります。
楽器ができない人や手が悪い人のためにゴスペル的な手法をパッドでやったら楽しんでもらえるんじゃないか、出来るだけ敷居を下げたいと思って来ました。まあ、珍獣ですね…
これなんか泉川さんの書籍で取り扱っているゴスペル的なハモリを作る方法と大体同じなんですよ。
自分が説明したらもっと音楽用語を使ってしまって、却って敷居が高いものになった可能性はある。
メロディにトライアド中心でハモるやつ。ソウル・ジャズっぽいけど、ゴスペル的なものの転用なんでしょうね。
— うりなみ (@urinami) January 28, 2024
鍵盤と全然見え方変わって面白いですね。勘がいい人なら手形見るだけでこういうもののロジックがわかるかもしれないですね… pic.twitter.com/bzPCe7qtq5
でも、超実戦音楽力が出版されたので、もういいかなという気持ちになりました。ホッとしました…
これだけシンプルに書けない。どう考えても、超実戦音楽力の方がわかりやすいですもん。
パッドはもうノンキーボーディストの人のための書籍を書いて終わりでいいかな。
肩の荷が降りた感があります。嬉しいなあ。
何より現役ミュージシャンである泉川さんや、白晝堂々さんたちが音楽活動で忙しいにもかかわらず、こういう音楽をやりたいと思う日本の人たちに門戸を開く書籍を作ってくださったのは嬉しいです。
超実戦音楽力、激推しです!
編集者の白晝堂々さんは、作編曲家。高度なハーモニーとポップセンスが両立している素晴らしい曲を書かれます。わかりやすく編集されるのは大変だったと思います。
仕事できる人は凄いなあ…
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表紙のイラストは生活さん。
超マニアックな内容のこちらの本も表紙がポップだから沼に引き込めそう。いい仕事されてますね…
白晝堂々さん、ポップな反面、ハーモニーは悪いことを沢山される人なんです。いや、リズムでも悪い事することあるか…
それがこの表紙にも現れています…騙す気にあふれていますね。
あんまり遊び散らかしていて、刺されたりしないか心配です…
モテ散らかしているのはこちらの楽曲聞けばおわかりになるかと。
素敵な中表紙もあるのですが、これは白晝堂々さんが大ファンのthe band apartの木暮さんが担当されています。
こちらも楽しみの一つですね。凄いなあ、皆さんマルチですねえ。
これだけ、マニアックな内容だけれど読みやすいのは素晴らしいです。売れてほしいなあ…
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