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鷺ノ宮 手打ちそば 三咲 カラッと揚がった天ぷらとそばの香り

うまい飯
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鷺ノ宮 手打ちそば 三咲 カラッと揚がった天ぷらとそばの香り

出張が終わっていつも通りのペースで仕事をしようとしているが、なかなか疲れが取れない。

梅雨が迫ってきている。

何かさっぱりしたいものを食べたい。

そんな時は蕎麦である。

三咲は前から気になっていたお店なのだが、タイミングが合わなかったのである。

カウンターと座敷。木が多く作ってあって小さいながらも良い空間。

海老天もりそばを注文。

たっぷりの油で海老を揚げる。ご主人の所作が美しい。

大振りの海老の天ぷらが目をひく。大葉、ししとう。

蕎麦をワサビをつけずに食べる。口の中いっぱいにそばの香りが広がる。

海老にはまず塩。衣はカラッと。中はジューシー。ししとうも自然な甘みがある。

揚げ方が上手い。良い油を使っているのもあるのだろうが、重くない。

海老の甘みと塩があいまって、うまいなあとうなった。

尻尾も食べられように揚がっている。

ワサビと合わせて蕎麦も。味も変わって楽しめる。

のどごしが良いそば。細打ちのそばは北海道産のそば粉との事。

会津中将があって飲もうかと思ったが、まだ仕事があるのでやめておいた。

美味い。洗練されている。東京に戻ってきて食ったそばの中では一番の好みだ。

蕎麦って面白い食べ物だよな。本当にシンプルなのに、驚くほど味や香りが楽しめる。

昔、お世話になった人が蕎麦屋で飲むのが好きな人だった。

板わさ、だし巻き卵、天ぷらとと言った感じで注文して、最後はいつもざるそば。

好きな日本酒を何種類かゆっくり飲む。

若者だった自分は、蕎麦屋で飲むのはなんというか、気取っているようで好きではなかった。

また、おっさん、蕎麦屋かよ。

が、まあ何度もご馳走になっている間に、蕎麦屋でゆっくり飲むことを覚えたんである。

仕事に関しての基準が非常に厳しい人だった。

職人の美学は、いかに工程をシンプルにするか。どう捨てるか。夾雑物を排除すること。

「ま、そんな事偉そうに言ってるけど、全然出来ないんだけどね」

苦笑しながら教えてくれた。

何がそれを成り立たせているか、徹底的に考えること。

シンプルに出来るようになりましたかね。

いまだに追いつける気がしない。

一つのことを徹底的に極めることは叶わなかった。

それでもなんとか生き延びていられるのは、捨てることを恐れないこと。それだけは守れたと思う。

夜はコースや料理も楽しめそう。

連れてきたら喜んでもらえたんじゃないか。

今度は夜に来て、ゆっくり飲もう。教わったことを思い出しましょうかね。

ごちそうさまでした。丁寧な仕事に気持ちが引き締まった。

また、来ます。

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