2021年はフィンガードラムにとって大きな年でした。『DTMerのためのフィンガードラム入門』がリットーミュージックから発売されたことです。
フィンガードラムは歴史が浅い。これが出版された意義は非常に大きなものです。
『DTMerのためのフィンガードラム入門』は先行するメソッドの批判的研究から生まれたものです。スペカンさんがフィンガードラムで生み出したテクニックは本当に多くあります。
理論なんか口に出すのは偉そうだと渋るスペカンさんから聞き出しました。この時点での考えを一度まとめておく意味があると強く思ったからです。インタビューは長時間に及びました。
スペカンさんがフィンガードラムの可能性を広げた功績は讃えられるべきです。BPM180を超えた曲を訓練すれば叩けるところまでメソッドを組み立てた。
世界で誰も到達していない領域です。パッドでできる表現を引き上げた。時が経てば、ファインガードラムはスペカン以前、スペカン以後に分けられるとさえ思います。これだけのことをやったことは評価されるべきです。
スペカンさんが今まで語っていなかったこなかったことを何度も確認しました。
レイアウト、練習方法、そもそもパッドとドラムが違うということをここまで突き詰めて考えていることに驚くかもしれません。
さらに驚くべきことは2018年の段階でスペカンメソッドの骨子はほぼ完成していました。
その根底にあるのは、いかに楽に叩くためにはどうすればいいのかということです。それは、スペカンさんが大きな事故にあって克服したこと。身体操作を深く学んだことと深く関わっています。
スペカンメソッドを一言で表すなら、シンプルであるということでしょうか。
シンプルであるということは簡単であるということとは違います。
フィンガードラムと名前がついているので、ドラムらしく叩こうと思うプレイヤーは生ドラムのルーディメンツやストロークを適用しようとした人が多かったと思います。私も例にもれずそうでした。
ですが、スペカンさんは違いました。ドラマーであればドラマー的なモノサシでフィンガードラムも考えるのが普通だと思います。でもそうではなかった。
叩くという行為は共通している。
だが叩くという動作は、ドラムとパッドと同じなのか?
ここがスペカンメソッドの出発点でした。パッドで出来ることを突き詰めたと言えます。
スペカンさんのプレイは、表面上他のフィンガードラマーと同じ様に見えるところがあるかもしれません。しかし、考え方が全く違うのです。初めて話を聞いたときに、コペルニクス的転換だなと衝撃を受けました。
フィンガードラムにダブルストロークはない。そこから様々なテクニックが生まれていきます。美しい体系です。
フィンガードラムは主にヒップホップで発達したものですが、スペカンさんはフィンガードラムは様々なジャンルで出来るというパッド演奏の地平を広げました。
実際、フィンガードラマーはヒップホップ以外のジャンルにもいるのですが、教えられる人はいなかったと言って良いと思います。そして叩ける人の多くが、その人固有の身体能力によってプレイしている。でも、スペカンメソッドは違います。
『DTMerのためのフィンガードラム入門』を最後までやれば、最後まで学んだ人はさまざまなジャンルを叩けるだけの基礎を身につけることが出来る。歴史が浅く、メソッドがないフィンガードラムの基礎を定義した。歴史的な業績だと私は思います。
スペカンさんがやったことはそれだけではなかった。パッド人口を増やす努力をずっと続けた。
Youtubeでノウハウ、レイアウト、練習動画などをこれほどアップした人はいません。影響を受けて多くのフィンガードラマーがこの4年間で生まれました。
インタビューを通じて感じたことはドラマーだったスペカンさんが、フィンガードラマーになっていく過程でも有りました。
『DTMerのためのフィンガードラム入門』にはスペカンさんのパッドに対する洞察などは紙幅の限界もあり語られていません。
インタビューでまとめるのにとてつもなく時間がかかるんだけれどとスペカンさんに話したところ、どうせなら少しずつでも形にしていったほうがいいということになりました。
こうなったら全部書ききってやろうと思うので、詳細に書いていきます。
この本が究極だということわかると思いますよ。そして、本を最大限に活かすのであれば、スペカンさんに習うことが一番だと思います。
私は習ったことがなかったら、パッドの演奏はもう出来てなかったと思います。体ボロボロのおっさんでもまだ演奏できてるのは本当にスペカンさんのおかげですからね。プレイヤーとしての寿命を伸ばしてくれた。
全50回くらいになってもスペカンさんがいいと言ってくれたのでしっかり文字にしていきます…
これを買えなんてことは、600記事以上あるブログで一回も書いたことないですが、これを買わずにどうすると自信を持って言えます。これが日本で出版されたということは本当に誇らしいです。
これは、インタビューでもまた書きますが、書籍を持っている方はドリルを購入しておくことを強くおすすめします。順列組み合わせで苦手なパターンがなくなるように作られてます。ハーフタイムシャッフルのときにまたちょっと詳しく取り上げたいですね…
スペカンさんがALESIS電子ドラム公認インストラクターに就任されました。
電子ドラムのレッスンも開始されました。生ドラム、電子ドラム、フィンガードラムを全部叩けて、しかも教えられる人はスペカンさんしかいません。レッスンを受けることを強く推奨します。本当、教わったことがなかったら、今、パッドすら演奏できなかったと思います。
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