AbletonとStudio Oneを併用するようになったので、純正のMIDIコンであるATOM SQを導入しました。
ATOM SQについての情報は思ったより少ない。
ですので、Abletonを多く使ってきたユーザーの視点で使用感を書いておくと役に立つかなと思いました。Studio Oneでの使用感もまた書きます。
Studio One初心者にはどうかという視点も今でしか書けないでしょうし。
人によっては強烈にハマる機材という印象です。
PUSHの代替を求めているならATOM SQはその代わりにはならない。
AbletonをよりコントロールしたいのならAbletonPUSH2買うのが結局の所純正コントローラーなので良いと思いますが、AbletonPUSH2の機能が全部必要というわけではないという方も多いのではないでしょうか。
AbletonとStudio Oneを併用して、コントローラーが欲しい自分にはぴったりでした。
AbletonとStudio Oneの両方でかなり高機能に使えるコントローラーとしては唯一の存在です。
初めてさわったときの使用感を忘れないように、Twitterに書いておきました。記事で取り上げてない記述もあると思いますので、気になる方はツイートを御覧ください…
Atom SQ,Ableton環境下でテストしましたが、モジュレーションがAbletonの統合モードで使えないのは惜しい。
— うりなみ (@urinami) January 14, 2022
自動マッピングはPUSH相当で素晴らしいですけど、ノブ単体で何のパラメーターをいじっているかわからないので、慣れが必要。
Abletonで使うときの、メリット、デメリットを書いていきます。
メリット
いろいろありますが、純正のAbletonPUSH2以外のコントローラーでこのサイズでこれだけ高機能なものはおそらくないのでは。
NovationのImpactのようなものもありますけど、鍵盤付きのものはかなり大きくなります。
MaschineもLIVE10までは、Legacyモードというのを使えばかなりAbletonをコントロールできたのですが、LIVE11では対応していない。
そうなった今、純正以外のコントローラーではAtomが群を抜いて高機能です。これでコンパクトなのは素晴らしいですね。
省スペース
省スペースです。狭いデスクでも使えます。これは本当にメリットですね。鍵盤を使う人だったらその上にも置けるくらいの小ささです。
パッドは別に使わないし、鍵盤的なものちょっと弾けたらいい。
でもツマミがほしいという人には嬉しいサイズ感です。
これならバックパックに入れて持ち運ぶのも楽勝です。モバイル向きです。USB-Cケーブル一本だけなので、持ち運びも苦にならない。軽くないと持ち運ぶのはきついけど、これなら楽勝です。
カフェにPUSHを持っていくのはなかなか慣れないとできないですが、ATOM SQなら出来るのでは?
しませんかね…
接続がシンプル
USB-Cケーブル一本で接続できます。
Abletonのネイティブコントローラーなので、Macroなど特に設定しなくても動かせます。
これだけでもメリットありますね。給電もされますし、ケーブルで繋いだだけで使えるのは素晴らしいですね。
パッドが高性能 強力な入力機能
感度が良いです。フルベロシティにもできますし、一番ビックリした点ですね。ドラムと言うかパッドのモードでも16Velocityが選択できるので、精密なドラムの打ち込みにも使えます。
この808型のパッド、練習したら結構弾けそうです…
パッドに関して言うと、このサイズで、スケール支援機能もありますし、インキーモード(そのスケールの音のみ表示される)もあるので、モーダルなテクノを作りたいという人にも使えると思います。
感度の調整も出来ますし、このサイズでそれなりに強弱をつけられるのは素晴らしいですね。後パッドなので打鍵音がしません。マジでカフェでも使えるのでは?
Continuousにして、7音スケールなら4オクターブ弾けます。
この動画くらいのものなら、オーバダブしたら弾けました。
まあ、そんな難しいことしてないのもありますが、このサイズで鍵盤的なプレイが出来たのは、結構な驚きでした。
もちろん、普通の鍵盤と同じ感覚では弾けないですけど、修正前提だったり、ジャンルによってはこれだけで行けそうです。
バンクボタンで、オクターブの切り替えなんかもさっとできますし、Rangeでちょっと上下の音域を変更できたりもします。便利。機材が置けない、シンプルにしたい。移動が多いという人には特に嬉しいと思います。
キーももちろん変えられます。なので、ピアノ的なパート、片手ずつ入力するんだと言う人ならこれで事足りるかもしません。
あと、びっくりしたのがマルチポリプレッシャー対応です。
詳細は省きますが、MPEの一部の機能が使えるということです。この値段としては破格の性能ですね…Wavetableなんか真価を発揮しますよ。ウニョウニョ言わせて楽しいです…
MPE、アフタータッチ以外は使いこなすのは練習が相当必要なので、これで充分という方も多いのでは…
Abletonの様々なコントロールが可能
Songモードのときに、BankボタンのAでアレンジメントビューに移動、Bでブラウザのオンオフ、Dで詳細ビューのオンオフ、Hでデバイスビューとクリップビューの切り替えができます。
特に画面を広く使う時のショートカットキーがアサインされているのは便利です
演奏の合間にさっと切り替えられるのは便利ですね。ショートカットキーを覚えていても、PC操作するのがもどかしかったりしますしね。
セッションビューもコントロールできますし。
トランスポートも普通に使えます。配置も工夫されていて、ノブ操作などに影響がないところにあります。バンクと近い位置にあるのは、演奏する時やレコーディングするときに思考を止めなくていいですね。
Shift+RecはAbletonの場合はCaptureになります。演奏中心で作りたい人は覚えておくとハッピーなはずです…
自動マッピング
PUSHの強力な機能の中で、他社製のプラグインでも、自動マッピング出来ます。悪い機能ですね…
全部が全部自動マッピングされるわけではないんですけど、オートメーションが重要な音楽をやるときに非常に便利ですよね。
これがATOM SQでもできます。値段考えるとメチャクチャですね…
正直これだけでも買う価値がある人はいると思います。
と、ここまで良いところをあげてきたのですが、デメリットもあります…
デメリット
自分にとってのデメリットで、別に問題ない方もたくさんいらっしゃると思います。
とにかく演奏したい人間にとっては本当に残念なところがあります。本当にね。もう、惜しいんですよ…
タッチストリップでモジュレーションが働かない
シンセベースなんかはモジュレーション掛けまくりですから、演奏しながら使えたら最高でした…
設定は出来るんですよ。でも認識しないんです。
PUSHはタッチストリップがあるんですが、ピッチベンドとモジュレーションの切替式で不便なんです。
パッドはみんなここが弱い。MASCHINEもそうですし、FORCEだとタッチパネルだから鍵盤並みにコントロールするのは無理です。
押し込み式のピッチベンドは好みはありますけど、省スペースと考えたら素晴らしい。
横のタッチストリップは本当にいいアイデアなんです。PUSHの場合、位置として誤操作しやすいところにあるんですけど、ATOM SQはうまく処理した。
この2つをコントロールするためだけにコントローラーを導入した人間にとっては残念です。本当、設計は素晴らしいのよ…
これだけコントローラー持ってても、このタッチストリップはいい。パッドにとっては、モジュレーションとピッチベンドは楽器として使おうとしたら大きな問題なんです。マジでどうでもいい情報ですね…
Linnstrumentでピッチベンドは本体で掛けるけど、モジュレーションはコントロールするのが難しい。Linnstrumentは200パッドのMPE対応機材です。
ものすごく精密に縦の動きをしないといけない。なので普段Linnstrumentではモジュレーションは切ってるんですね。
128段階のパラメータを4ミリくらい接触している指先でおよそ6ミリの間でコントロールしないといけない。ギターなら出来ますけど、パッドでは無理。前より上達しましたけど、年単位で訓練しないとコントロールできない。
モジュレーションがATOM SQで出来ると持ち運びが楽だなあと。Touché SEとLinnstrument持ち運んでも、Abletonのトランスポートなんかはないので、PCで操作しないといけない。
ATOM SQだけで簡単な打ち込みも出来るし思っただけに残念です。シンセ的なものも弾いてという時にギターと、Linnstrument,ATOM SQなら持っていける。
といってもS1でATOM SQをつかうならさっきの動画レベルなら別に今でも出来るんで、Ableton使わなかったら問題ないと言えばないんですかね…
まあ、鍵盤使ったほうが楽ですけど、この小さい機材で出来るのはロマンありますよねえ…
Presonusはユーザーの改善要望をしっかりと聞く会社なのでここは期待したいですね。
サステインペダルが効かない
Songモード以外では、BankのAを押したまま弾くとサステインペダルとして機能するんですけど、自分の環境では機能しません。
固有の問題かもしれないので、現在問い合わせ中です…
ATOM SQはサステインペダルを繋げないので、これは痛い…
これだけコンパクトで、オクターブも操作しやすい、ベロシティ感度も良い。ピッチベンドも使える、モジュレーションもある。サステインペダルもスイッチで処理できるとなると本当に省スペースで音楽できるんですよね。惜しい。なんとかなってほしいです。
まあ、別にオートメーション描けばいいんですけど、そういうの嫌だからコントローラー使ってるわけですからね・・・
これだけ豊富な入力機能があるのと、シンプルにできていいですよねえ。これは残念です…
デバイスのコントロールがしにくい
これ、Atom SQに画面にどのパラメーターをいじっているか見えるだけでも全然快適さが違うと思います。ライブなんかでこのツマミがどのパラメータかわからないのは怖い。
制作なら全然問題ないんですけど、それでもATOM SQでわかったら快適ですよね…
あと、パラメーターの変化が遅いです。ノブをたくさん回す必要があります。激しいオートメーション描きたい時なんかはイラッとするかもしれません。
マニュアルには早く回すと、パラメータもより早く変化すると書いてあるんですけどね…
デモみるとさっと動かせてるんですよね。これも固有の問題かもしれない。Macも買い替えかなあ…
ライブ向きではない
前述したように、コントロールするパラメータが見えないのは怖いです。
セッションビューのコントロールはカーソルでクリップを選択する形式なので、即興的に構成を作っていくようなプレイには向いてないです。
マニュアルが英語
簡潔な英語ではありますけど、だるいかもしれないですね。目を通さないと操作はわからないと思います。
クイックスタートガイドは日本語であっても、Abletonに関するところはPDFでダウンロードするしかないです。
リクエストあったら訳します。わからないところあったら気兼ねなく。
まとめ
ピッチベンド、モジュレーション、サステインペダルがあって、セッションビューのコントロール、ミキサーのコントロール、ツマミ、オートマッピングとこれ単体で相当なことが出来る。
本当、入力に関してはこのサイズでは最高だなと思いました。
あ、タッチストリップをクロスフェーダーとして使うことが出来るので、AbletonでDJしたい人なんかも楽しめるかもしれない。
スケール支援、アルペジエイターが単体で使える。入力デバイスとして高機能です。値段はPUSHのおよそ3分の1ですか…
Suiteまでアップデートするような人ならPUSH買った方が楽しく遊べる。
ですが、省スペースの機材が欲しかったり、パッドもいらない、Drumrackシーケンサーも使わないという人はAtom SQの方が良いという方もいるはずです。
モバイル向きです。操作性も犠牲にしてないですし。Presonusはうまいもの作ったなと思います。これより小さいと鍵盤的なプレイは不可能だと思いますもん。
不完全なこの状態でも自分にとっては良いものでした。軽いのは本当にいい。
PUSHの今の使い方を考えると、ATOM SQは本当にうまく機能を絞り込んでいるんだなと感じました。
自分も演奏したいときはDrumrackシーケンサー使いますけど、精密な打ち込みするなら、Drumrackシーケンサー使わないですし、パッドもLinnstrumentを使う。
PCの画面見たくないときにはセッションビューに録り溜める。それから後でアレンジメントビューに移す。
そういったDJ的なこともやりますけど、トランジションとか細かいことやる場合はセッションビューは使わない。アレンジメントビューでやります。セッションビューの使用頻度はパフォーマンスやループを作るのではない限り低い。
では、何が頻度が高いかと考えうと、AbletonPUSH2で一番使うのってパラメータのコントロールとオートメーションです。ATOM SQはそこはちゃんと抑えてある。
となると、ATOM SQ+Linnstrumentでいいじゃんとなる。パッドはいらないという人にとってはPUSHの大きさは邪魔にもなるだろうと思いますし。
アレンジメントビュー中心で使うときにPUSHは使えますけど、全部の機能が必要と言うわけではない。
これを買ったら、Studio OneのArtistが付属して、大量のサンプル、プラグインがついてくるとなると、Abletonのコントローラーとして使っても、ATOM SQはお得ですね。
Studio OneとAbletonを併用しようという人なら買ってしまっても良いんじゃないかと思いました。
Studio Oneではもう別次元の操作性でした。このことについては、また別記事で。モンスターですよ。これ。
Atom SQでAbletonを使うのも楽しいですね!
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