SONICWIREより、ササキタカシさんが制作されたHARDWARE TECHNO LOOPSが発売されました。
非常に高品質なサンプルパックで愛用しています。
TECHNOと銘打っていますが、ハウスやR&Bなどにも使える。ループを組み合わせだけでいい感じになるというちょっとびっくりするようなサンプルパックです。
この高品質なサンプルパックがどのようにして作られたのか。作られたハード、録音方法、レイヤーなど、ササキさんの信じられない作り込みがあることがわかってきました。
前回はこのサンプルパックの心地よさは、ササキさんの肉体性によるところが大きいのではないかと感じました。
テクノなのにオーガニックというのは一見矛盾するようですが、決してはそうではない。ササキさんのフィルターワークなどの動画をご覧頂ければ納得いただけると思います。
HARDWARE TECHNO LOOPSはササキさんのこだわりが随所に散りばめられています。
ササキタカシ氏の活動についてはこちら。
気持ちよさ リズム 音色 個性を活かす
うりなみ:Hardware Techno Loopsは特にササキさんの肉体性が現れて独自のグルーヴが表現されていますが、リズムパターンも特徴的な物が多くあります。
ササキ:うんうんうん そうですね。この辺ラテンとかアフリカンとかその辺のパターンも好きなんで…
単純にスイングをかけるだけではなくて。あとはフィルターとか空間系エフェクトも工夫しました。
(前回インタビュー参照。フィルター、ディレイなど随所に工夫が凝らされている。)
うりなみ:僕らがやってるようなダンスミュージック、特にあの耳が痛くならないようにハイハットの音質であれ、気持ちいスイング、リズムパターン、フィルターの開閉。こういったことを打ち込みで作るのはものすごく難しいじゃないですか。笑
(もちろん精密にエンベロープ書いたり、色々出来はする。でも、Abletonで単純に打ち込みだとまずできない。リアルタイムでフィルターを開閉するにせよ、ササキさんが作るようにはならない。)
ササキ:そうですね。こうはならないですね。笑
うりなみ:ハードの深い理解がないと質感の変化していくところや、フィルターの美味しいところだったレゾナンス、機種によっては深く掛けると使い物にならないようなあるじゃないですか。
ループ一つ作るにしても莫大な手間が掛かります。しかも、ハード1つだけを使ってるわけではなくて、複数使って作っているわけですから、組み合わせは膨大ですよね…
ハードの美味しいところを全部わかっていないと出来ないということじゃないですか。笑
こだわりポイントを教えていただけますか?こだわりしかないのはわかっているんですけど。笑
驚きを与える
ササキ:そうですね。笑
今うりなみさんがおっしゃってたように、ありきたりのものにも、これを足したら使えるようなるという驚きを与えたいと言うか。
ループ作ってる人はいろんな国のいろんな人がいるんですけど、意外とね…
グルーヴ感でグイグイ来るやつを作る人っていないんですよね。
うりなみ:これは本当に購入して確認していただきたいんですけど、単純な繰り返しはないんですよね…
何処かかならず変化している。イーブンと思ったらディレイ成分だけ3連系だったり、フィルターワークが3連系だったり。前も素晴らしい質感という話をしましたけど、本当に細かいところまでグルーブを考えているんですよね。
私の雑ループにササキさんのループを加えたら一気に曲として成り立ったのなどよく分かる例では。笑
ササキ:笑
うりなみ:Abletonユーザーだったらこれをグループ抽出することでササキさんのテクを盗むことも出来るという。笑
(Abletonには「グルーブを抽出」という機能がある。ハイハットなど抜き出してみると凄いことやっているのがよく分かると思います…)
ササキ:ぜひ、やってください。笑
トラックメイクの理解が深まる
うりなみ:ササキさんがあんまり宣伝しないので、私が宣伝しましょう。笑
(Discordで配信中、Ableton友の会の皆さんに語りかけている。)
非常にいいと思ったところは、これトラックメイクの理解が深まると思うんですね。教材として非常に良いんです。めっちゃ勉強になりました。
どういうことか。
ちょっとループだけでもね。ソロにしてね再生してみましょうか。
(再生する)
これねそう ね分かります?(スペアナで波形を確認する)
痛いところがね綺麗に処理されてる。こういうものってハイハットだけでももっと下が出てたり正直使いにくいものってたくさんある。
(ハイハットを再生、比較する)
以前もホスピタリティという言葉でササキさんがおっしゃっていたわけですけど、本当に全部徹底してるんですよ。じゃないと他のトラックに加えたら破綻しますよ。
前のループのときもほぼノーEQで出来た。こういうのをスペアナ使ってみたり、波形見たりしたら学べるところ凄くあります。
そしてこのリズムもね。笑
皆さんご覧になったら分かると思うんですけどこれササキさん相当悪いことしてますよ。笑
(Abletonで波形を確認する)
ササキ:ベロシティとか書いたらこれ死ぬやつですよね。笑
うりなみ:打ち込みだけでは絶対にできない。笑
ササキさんがつまみで色々いじってるから物凄い情報量が加えられている。
そしてマシンの特性を熟知しているから、美味しいところを踏まえて、様々な変化を加えていることが分かる。
作ろうとしたら物凄く難しいものです。これを見るだけでも、ああ、ずっと聞くことが出来るループってこれだけの工夫が加えられているんだとわかるはずです。
学習用にも凄く良いなと。そういう意味でもお得ですよと。笑
ササキ:笑
まとめ
このインタビューが終わった後、ササキさんに追加でインタビューを行いました。
インタビュー全体を見返した時に、ササキさんのグルーヴについての考え方をもっと深堀りしたかったからです。
今回分のインタビューで、特に驚きを与える、変化を与えるということについては特にササキさんがなぜオートメーションを使わないのかという理由など、深い話を聞けました。いやあ、凄かったです…
マシンライブで退屈させないためにササキさんが培った技術や、思想がこのサンプルパックに現れていることが理解できました。
技術的にかなり突っ込んだ話も伺えました。DecayとAttackの考えなどは制作にも活かせると思います。
今後の記事で今回のインタビューで伺ったことを追加していくことにします。何がこのサンプルパックを特別なものにしているのか、より分かるはずです。
音符以外のところでもグルーヴさせることができる。
1音でもグルーブする音色というのはありますよね?という話から、グリッドに沿った打ち込みでもグルーヴさせるためにはというところまで、非常に面白い話を伺えました。
まあ、理屈ではできるけれど、リアルタイムでできるのはササキさんしかいないんじゃないかな…
リリース情報
リリース情報 フランス Naeba Recordsよりリリースされた
TAKASHI SASAKI Featuring SAyA – Night Loop 収録のコンピ Japanese Xperience
好評につき追加製作、リリースが決定したRemix Night Loop remixes
昨年イタリア LETS TECHNO recordsよりリリースされ beatportで2位になったEP Future Memory
ライブ情報
2024.08.31(sat)
sound×dance×visual
Collaboration Event
“SPANDA Vol.3”
open18:00 start18:30
charge2500yen + 1 drink order
at environment 0g [ zero-gauge ]
大阪市西区南堀江3-6-1 西大阪ビルB1
(出演時間は20:10から20:50までを予定しています。)
Beep
ササキさんが主催されているDAWLESSのイベント、Beepの予定です。
beep 50 NON PC ELECTRONIC SOUND LAB.
2024.09.27(金)
21:00 – 23:30
¥1500(別途1ドリンクオーダー)
■Guest:
HATAKEN
MADZINE
■LIVE:
Takashi Sasaki
Shohei Takata
Yohei Kisaka
kousuke sato
■VISUAL:
chiyo_midnight
omi(Amejika)
大人座 札幌市中央区南1条西1 板谷ビル 8F
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