1,162記事目
スペカンさんからの紹介で、AlphaTheta株式会社さんからChordcatという機材をお借りすることになりました。
クラウドファンディングを経て発売されたものなんですね。
そのあたりの経緯は、こちらなどをご覧頂ければよろしいかと。

この手の機材、一日だけ触ってわかるものでもないですので、PUSH3やMOVEと同じく、日記形式で少しずつ操作を覚えていく形という形で連載していきたいと思います。
初日の印象
まずはどんな機材でもマニュアル読まずに触ってみることにしているんですけれど、デモ曲を複数入っているだろうと思って聞こうとしたもののわからない。あきらめてQuickManulを読んだものの曲が変えられない。
絶望です…
何か勘違いしているんだろうと思ってChordcatのマニュアルを検索してみました。ありますね。
マニュアルをちゃんと読めば難しいことは全くないです。ボンクラ過ぎますね…
私と同じミスをしそうな方はマニュアルをダウンロードしたらスムーズに使えると思います。
マニュアルを読んだらそのあとわからないところはありませんでした。マニュアルを一度読めばわかるのだから、直感的ではないという言葉は正しくないように思えますね。私も初めはそう思ったんですけど…
Chordcatは基本的に深い階層に潜らなくても良いように作られています。階層に深く入る必要があるのは、Menuボタンです。いろんな設定(MIDIまわりやプロジェクト)などはここと理解すればいい。

私が詰まったのはここ。Menuを押してProjectに入りEnterで決定。そして、Open Recentで曲を選ぶところで引っかかっていた。

Cancelと表示されているから、本選択されているのかなと勘違いしたわけです。左右矢印キーを押してOKを表示させれば良かったわけですね。
デモ曲の印象
ちょっと触った印象だと、なかなか面白いなと思いました。デモ曲を聴いた感じではめちゃくちゃハイブリッドコードが多くて、モーダルなもの作ったりするのに面白そうです。音色、エフェクトが高品位なのはこの外見からは予想も付かなかった。
クラブ・ミュージック的なものを作るのに適している感じですかね。
あと、ピアノを意識してるのか、オープンボイシングが多いなというところでしょうか。
このあたり、鍵盤が弾けない人は発想するのも難しいと思うので、良い感じのコードをつなげていくという事がChordcatの特徴と言えそうです。
こういうものだと、ジャズ系のボイシングがまあまあありそうですけど、一通り聞いた感じではクラスターサウンドはマイナー9のボイシングくらいかなあ。さっと聞いたところ。
あと、4度堆積コードがあったりもしましたね。全体的にモード味あるボイシングが多い印象を受けました。
ドミナント7(9,13)からドミナント7(b9,b13)のような慣用的なコードが入っていたりもするんですけど、ドミナント系は少なかった。
普通にジャズ・ポップス的なコードの積み方やっていたら、モーダルなものに行き着くまでにかなり時間が掛かるし、良い感じというのはわかってもボイシングわからないということはあるはず。
ポップス系作っている人でコードのボキャブラリー増やしたいと言う人にも嬉しいんじゃないかと思います。
コード支援グルーブボックスというコンセプトだが非常に特徴的
一通り、聞いた後でプロジェクトを作成して見てちょっとコードどんなのが入っているのかを見てみました。
びっくりしたのが、シングルノートでスケール設定してから、Chordを押すと、ダイアトニックコードが出てくると思っていたら違う。
これまでもこういうタイプのコード支援系のものは大昔からあった。でもそういうものは基本的に調性音楽を指向しているものだった。コードタイプを指定して同形のものが並ぶのはありましたけど。
でもChordcatは違う。どんなスケールを選択しても初期設定はマイナートライアドで出てくる。
ここで、ChordCatは調性音楽に基づいてコードを考えるタイプではないことが確定しました。もうちょっと色々実験してみます。
まあ、4度堆積コードがある時点で攻めてるなと思ったんですけど、機能和声的なものではなくて、コードの響きで良いものをつなげると言うコンセプトですね。やっぱり。今までにないタイプです。
これ、普通にジャズ・ポップス理論やってきた人が触っても面白いと思うけどなあ。
機能和声やセカンダリー・ドミナント、リレイティッド25などでは明らかに説明できないものが入っているので、勉強してきた人ほど、おっ!となるんじゃないでしょうか。
コンスタント・ストラクチャーが多いのはサンプリングを経由したものを作りたい人にむけてということなんでしょうかね。このあたり、やっぱりDJ機器的な感じがしますね。
で、鍵盤が弾けない人にはDAWで打ち込むのも面倒だし、トランスポーズするのもだるいですけど、Chordcatなら楽勝です。自分の手癖から抜ける面白さはあると思います。
モーダルインターチェンジしてそこから持ってきたと考える他ないようなコードがたくさん提案されてますから。ジャズ・ポップス理論の枠内から外れたいという人にも楽しめそうです。
コード進行やボイシングは音楽を作る上で面白さの相当部分を占めると思っているので、どうなんだろうと思っていましたけど、面白いですね。
普通のコードサジェストするタイプとは明らかに違う個性がある。
思いっきりサンプリング以降のコード感という点が新しい。もちろんMPCやMaschineのコードセットで同じことは出来ますけれど、コードクルーザーがあることで展開のバリエーションは無限です。十分な価値があると思います。
この手のコードセットで作ってるなとかわかると、聞く気がなくなったりしますからね…バリエーションを増やしたい人には助けになるかと。
ハードの特徴
大きな特徴があります。携帯性、接続性について非常に考慮されています。
触っていくうちにかなり独自のコンセプトを持っているのが実感できました。
つまみがない
この手の機材としては非常に特徴的です。エフェクトなどのパラメーター変化ってどうするの?と思ったんですが、これはXYパッドでやるわけです。

良く考えられているなと思ったのが、ディスプレイ上でホワイトアウトしている場合は、左右で切り替えなんですけど、そうでない場合はXYパッドでパラメータを変化させていきます。
このあたりの操作系を頭に入れてしまえば、とまどうことはない。
何より、まずマニュアル読めってことですね… そうすれば見た目ほど習得コストは高くないです。
携帯するときに、つまみがないことはメリットあるんですよ。つまみ、外れたり折れたりすることありますからね。クラファンでの惹句通り、持ち運びも考慮したデザインだと思いました。
軽い・小さい
びっくりするくらい軽いです。0.4kgですから、それこそビジネスバッグなどに突っ込むこともできますね。
PUSH3の上に置いてみました。小ささが引き立ちますね。

携帯性はかなり意識したんでしょうね。軽くて小さいので、持ち運びは簡単。デスクにスペースがない方は嬉しいと思います。
電池駆動、USB-Cから給電可能

特徴的なのは電池駆動が出来るところでしょうね。何と言っても。単三電池6本でバッテリー駆動できます。
なので、持ち運んで、コードだけスケッチしてみようという使い方には非常に適していると思います。この小ささなら通勤、通学中に触ったりも十分出来ますね。
通勤・通学時間が長い方は嬉しいんじゃないかと思います。そういう意味ではMoveと近いカテゴリーとも言えますかね。
接続方法が豊富
コード進行作成支援と考えると当然ではあるのですが、MIDIが充実しています。

特徴的なのはUSB接続でMIDIノートなどを出力できるところですね。
PCを使ってマウスで操作となると流れが消えて嫌だと言う方や、ハードの音源を使ってみたいと言う人には嬉しいと思います。コード進行作成支援と考えたら重要な連携については十分な機能があります。
スピーカーはない
これは携帯性とのトレードオフなんでしょうね。Chordcat単体でトラックメイクはもちろん出来るんですけど、スピーカーあると重くなるし、値段も上がる。
他の機器とつなげて使うことが多い、移動中はイヤフォンやヘッドフォンを使うなら問題ないと言う方も多そう。
私は、個人的にはあったら嬉しかったですね。これだけ軽くて取り回しが簡単なら、別の部屋で触ったりという使い方も楽しいかなと思ったので。
ただ、多くの人には必要ないんじゃないかと思います。まあ、でも自分が使うとしたら、PCにつなげてしか使わないでしょうからいちゃもんですね…
まとめ
初日の感想としては、思った以上に高機能でびっくりしたというのが偽らざる意見です。
あとね。エレピが良かったです。
Moveは非常に楽しいおもちゃなんですけど、私の趣味からすると生楽器系が弱い。Chordcatの方が音に関しては好みですね。
コード進行やボイシングを考えるのは音楽の楽しみの大きな部分を占めると思っているので、どうかなと思ったんですけど、面白いですね。
調性音楽的でないコードが結構入っているので、とりあえず使ってみて、ボイスリーディング考えたりするのも楽しそうです…
コメント