Shaper MIDIはAbleton11.1で使えるようになったエフェクトですが、活用法はめちゃくちゃあります…
今様のR&Bなんかで、めちゃくちゃモジュレーションが複雑に掛かっているピアノなんかありますよね。
オートメーション駆使して作ってもいいんですが、Shaper MIDIを活用すると比較的簡単に作れて楽しめるのではないでしょうか。
Shaper MIDIとは
LFOであり、エンベロープフォロワーです。え、食べられるの?って感じですよね。何がなんだか分からなくて絶望しますね。
大丈夫です!
LFOは波を作るもの。波って繰り返しますよね。LFOは周期性を与えるものと言います。低周波治療器イメージされるとわかりやすいですかね…
エンベロープフォロワーは一回限りの時間的な変化を与えるものです。音量の時間的変化やパラメーターの時間的変化にも使える。
Shaperとの違いは、Envelope Followerとしても使えることと、MIDIトラックに対してのみ使えることですね。
まあ、言葉だけだとよくわからないとはおもうんですけれども、動画ご覧いただくと一発で理解できると思います…
Shaper MIDIで様々なモジュレーションを掛けよう
モジュレーションは変調。英語だと転調のことを指すこともありますが、シンセだとパラメーターを変化させることをモジュレーションと理解しておくと良いのでは。
まずはどういう音を作りたいかイメージすることが大事ですね。
やっていくことでどういう処理をすればいいかわかるようになると思います。こう考えてみました。
どういうモジュレーションが必要なのか考える
今風のモジュレーションがめちゃくちゃに掛かってるピアノはどんなものなのか考えてみます。
- フィルターの開閉はだんだん早くなる
- 開閉のリズムは3連符から16分音符に
- ピアノのアタックはピアノらしくしたくない
- ディレイとリバーブ成分が原音のあとから立ち上がってくる
- ディレイはこもっていてほしい
- リバーブはだんだん高域が目立つようにしたい
こんなイメージですかね。最近のR&Bだとコード進行もシンプル、音数も少ないかわりにびっくりするようなモジュレーションや音像のものが多いですよね。
生音もそのまま使わないことのほうが多い。
ピアノであることは辛うじてわかるけれど、ピアノではありえないような音色変化やアタック、あとからリバーブ成分やディレイが立ち上がってくるというサウンドだったりしますね。
言語化するとこういう感じになるんじゃないでしょうか。
ShaperMIDIは力を発揮してくれます。
Shaperの設定 リズムに合わせる
今回は音価にあわせてフィルターなどの開閉を行いたいのでリズムに合わせる必要がありますね。
押さえておくのはこの2点です。
- Rateでベースになる音符を設定。今回は3連符なので、4分音符を3つに割るように考えます。なので1/4を設定します。msにすると自由にコントロールできますが、音楽的な単位でコントロールしたいので今回は音符マークを押します。syncと同じですね。
- 今回は3連符にしたいのでGridを3にします。
大きい基準をRateで決めて、細かい基準をGridで決めるということですね。
フィルター、3連符のあとに16分音符4つ分でフィルターの開閉をしたい。でも、Gridでは前半を3連符系統、後半をスクエアという形には出来ないんですね。絶望や…
大丈夫です!そういう場合はもう一つShaper MIDIを立ち上げればいいんです。
- Rateを1/2、つまり2拍分にします。1拍目は先程立ち上げたshaperが担当するので、その後にモジュレーションが掛かるようにします。
- 二拍目は16分音符でフィルターを開閉したいので、こう考えます。16分音符は4分の4拍子で16個個分なので、2拍と考えると8つで分割出来るといいですね。
先程と同じく、大きい基準をRateで決めて、細かい基準をGridを決めましょう。
最後は、リバーブやディレイが残響に対してふわっと掛かるようなイメージですね。
- 3拍目からはリバーブなどの音量が上がるようにしたいので、Rateを1小節にします。
- Gridは4。2でもいいのですが、4拍で管理したいのでこうしました。
フィルターなどにアサイン
では、いよいよフィルターにアサインしていきましょう。まずは最初のフィルターの考え方です。
え、最初ってどういうことって思うかもしれませんね。これ、Shaperで同じデバイスのパラメーターをアサインすることが出来ないんですね。ですから、フィルターも2つ立ち上げる必要があるんです。
Mapボタンを押して、フィルターの周波数をアサインします。今回はオートフィルターの周波数をアサインしました。
注意点としては0%にしてないことですね。というのは、低くしすぎると上が全然出なくなってしまいます。絶望です…
同時に、ピアノのボリュームもアサインします。実際のピアノは、初めに音量が大きくてそこから下がっていきますよね。それを不自然にしたいのでボリュームが波打つようにしています。
フィルターとボリュームのエンベロープ(音量のエンベロープをアンプ・エンベロープということがあります。Amplitudeの省略型です)共用のシンセは古くてシンプルな構造のシンセではあるので、そういう雰囲気になるのも狙っています。
16分音符でエンベロープを作成したShaperに、もう一つのFilterの周波数をマッピングします。
リバーブ・ディレイなどのRackを作る
最後のshaperにリバーブ、ディレイのボリュームをアサインします。なんですが、その前にRackを作っておかないといけないですね。何故か。
今回はディレイのあとにリバーブは掛かってほしくないからですね。
信号が直列に繋がってほしくないので、グループ化します。グループ化はCmd+Gで可能です。
Filter Delayを選んでいる理由はちょっと滲んだ形にしたいからです。注意点はDryを0dBにしてはいけないということですね。
これ、Dry/Wetではないので、信号が掛かっていない信号の音量になってしまいます。本当はDryを0にしたかったんですが、コントロールが難しかったのでこうしています。
Hybrid Reverbは上にオクターブが出るようなShimmerに設定します。今風のものでは本当に多いです…
Dry/Wetは100%にリバーブだけ掛かってほしいので100%にしています。
Shimmerはpitchで指定した音が後で強調される設定ですね。さり気なく高域が出てきてほしいですから、これくらいの設定にしました。
pitchは12stしか私は使わないです。オクターブ上ということですね。リバーブで不協和音になることはしたくないので…
でFilter Delay,Hybrid ReverbのボリュームをShaperにマッピングするとこうなります。
まとめ
Serumなどのモダンなシンセのように、Ableton付属のデバイスは細かいエンベロープを描くことが出来ないですが、shaperを組み合わせればどれだけでも複雑なものも作れます。
このチェーンの可能性はいろいろあります。例えば、古いシンセの音は好きだけれど、モダンなR&B的なモジュレーションは難しいという場合でも活用できますね。
サンプルにももちろん使うことができます。
個人的にはプラグインをいろいろ変更するときに設定が面倒くさいなというときに使いまわしてます。
Rackにしてしまって、プラグインを変えても簡単に使えるようにしています。ボリュームはUtilityで設定すればいいですしね。
作ったら、忘れずにユーザーライブラリーに保存しておきましょう…
Shaperはゲート的に使ったり、単純にポンピングさせるようなサイドチェインコンプ的なサウンドにも活用できますし、アイデア次第では面白いことがいくらでも出来そうです。
Shaper MIDIやShaper,可能性があって楽しいですね!
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