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シカゴ・ソウルはどう世界を変えたのか 黒人文化運動と音楽ビジネスの変革史

音楽
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読書メモ。面白かった。何度も読み返すことになるだろう。

ソウル、ファンク、R&B、ゴスペルのファンにとってはシカゴは特別な都市。

シカゴ・ブルースやモータウンについて語られることは多くあっても、シカゴのソウルについて語られることは少ない。

ブランズウィック,Chess,VJ,OkehとR&B,ソウルを扱っているレーベルが存在するにも関わらず、情報は少なかった。

シカゴという街でいかに音楽がコミュニティと結びついていたかわかる労作。

100名を超えるインタビューは圧巻。プレイヤー、シンガーだけではなく、アレンジャー、プロデューサー、レコード会社の幹部、ラジオパーソナリティ、教師と取り上げられる人物は多彩でソウル・ファンクがシカゴでどの様に発展したかが包括的に理解できる。

学校、教師、起業家、活動家、ミュージシャンの誰が欠けていたとしてもシカゴのソウルは成り立たなかっただろう。

Jerry Butler,Curtis Mayfield,Syl Johnson,Terry Callierたちといったミュージシャンたちのインタビューも豊富で、音楽そのものだけではないインタビューもあり楽しめた。

Syl Johnsonのインタビューが特に印象に残った。

個人的にはCharles StepneyのエピソードやBruce Swedienの逸話なども楽しめた。

Dellsはダブルで録ってたのね…

シカゴ、ソウルに興味がある方はぜひ。注も豊富で数年単位で楽しめる本。巻末のビブリオグラフィーも充実している。読んでないものは集める。

より、ディスクガイド的なものを求めるのであれば、こちらを読むとミュージシャンなどの人間関係やレーベルなどを把握しやすいと思います。

『シカゴ・ソウルはどう世界を変えたのか』は音楽と社会を扱っている本なので、より音楽について整理したい場合はこちらも読みやすいと思います。

『シカゴ・ソウルはどう世界を変えたのか』の前史としてこちらも読むと楽しめると思います。大移動時代のイメージがもっとつかみやすくなる。

こちらと2冊合わせて読むと、シカゴという都市やチェスに対してのイメージが掴めて、面白いはずです。

ブルースとソウルの両方を聞く人はプレイヤーが多いイメージがありますね。リスナーだとどっちかという人が多い気が。なんでだろうか…

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サン・ラについては『シカゴ・ソウルはどう世界を変えたのか』ではそれほど取り扱われてはいないのだけれど、こちらも読むと当時のシカゴの音楽シーンややジャズ・シーンも想像できて楽しい。

ジャズサイドからみたシカゴ、ブルースサイドのミュージシャンから見たシカゴなど見方が多面的になります。

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バディ・ガイの伝記はそれほどシカゴについて書かれているわけではないですけど、『シカゴ・ソウルはどう世界を変えたのか』を読んでから読むと、ソウルの隆盛のなか、ブルースマンは苦しかったんだろうと言うのがわかりますね…

洋書ですが、『シカゴ・ソウルはどう世界を変えたのか』の主人公の一人であるCurtis Mayfieldの伝記です。

Curtisの生育環境やルーツについての日本語書籍はないと思うので、Curtisのファンなら読んでもいいと思います。ヘヴィな状況で育ってきたというのは知っていましたが、想像以上でした。

Curtisが若くに起業したのは伝記を読むとわかります。イメージよりずっと複雑な人物でしょうね。そりゃ、そうか…

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エンジニアリングなどに興味ある人はこちらも面白く読めると思います。ユニバーサル・オーディオはシカゴにあった。レコーディング最先端地域でもあったわけです。Chess,VJのレコーディングもここで行われていたとわかるとより楽しめるのでは…

黒人文化運動を理解したいときに理解が深まると思います。
クインシーはシカゴにいたこともあるが、マーキュリーの副社長だったことも合わせて考えると楽しめるはず。64年になったはずなのでその時31歳。マイケルの仕事のときにシカゴ人脈のBruce Swedienたちが集まっていたのは興味深い。マーキュリーのカタログにファンクのアーティストが多いのも注目するべきポイントか。

目次を付けておきます。特に面白かったところなどは後ほど抜き書きしたい。個人的にはDonnyがSTAXの仕事をしていたという記述があったこと。ちょっと思い当たらないので調べてみる。

第1章・廊下とラジオ
──コミュニティの変化と新しいメディアが音楽を変えた

第2章・アイム・ア・テリング・ユー
──新興のアーティストと起業家が拓いた新時代

第3章・ウィアー・ア・ウィナー
──ミュージシャン、活動家、教育者たちが音楽業界を築き、発展させた

メイフィールドは、このアルバムの単なる出資者ではなく、プロデューサとしての役割を果たしたとケニは言う。メイフィールドは若かったケニにベースをプレゼントしたらしい。

『シカゴ・ソウルはどう世界を変えたのか』 P112

Five Stairstepsはキッズ・グループで、Woo childが有名ですね。そりゃ、Curtisにベースをもらったら練習しまくっちゃいますね。

その中心人物であったKeni BurkeはソロのRisin’ To The Topが有名。サンプリングされたほうが有名なのかな。LL Cool JやKRS-Oneにもサンプルされています。

ベーシスト、プロデューサーとしても優秀で、Billy PrestonのところやSly,Bill Withersのアルバムでも演奏していますし、CurtisのSomthing to believe inでプロデュースもしています。Dark Horse Recordsでソロアルバム出しているのは、BillyとBeatlesのつながりがあったということのようです。

それで西海岸人脈とレコーディングしたんでしょうね。

本人のアルバムは少ないけれど、プロデューサー、ライターとしても活躍。

ベーシストとしてはLarry Grahamの影響下にあるようなスラップで押し通すプレイもできますけど、もっと器用。上手いですね。本当に。R&Bやファンク、ソウルを聞かない人には知名度が低いと思いますけど、グレイトなベーシストですね。

セッション仕事での評価も高かったのがわかります。Larry Grahamだったら最初から最後までスラップで押し通しそうですけど、Keni Burkeはもっとクレバーなアプローチですね。指弾きも上手い。

盛り上がってきたところはオクターブでクロマチックアプローチしてThumbとPullのところはLarryがアイドルってわかりますね。かっこいいなあ…

第4章・サイケデリック・ソウル
──シカゴの一九六〇年代のカウンター・カルチャーが社会運動と音楽の方向を変えた

第5章・ア・ニュー・デイ
──一九六〇年代の闘いの答えとなったアフリカ中心主義と明確な政治的声明

第6章・リズムがすべてではない
──企業の力が一九七〇年代のブラック・ミュージック、商業、政治を動かした

第7章・サウンド・パワー
──ファンク、ディスコと結束、分断、希望

第8章・未来予想
──リイシュー、サンプリング、若いアーティストたちが再考するソウルの歴史

追記:2024/01/19

昨日、Jimmie Soul Radioで作者のAaronさんのインタビューが紹介されました。

Aaronさんが特に印象に残っていたのがTerry CarrierとSyl Johnsonというのは読者側からもなるほどなと思いました。

シカゴのソウルは色んなスタイルがあるけれど、特有のスタイルが無いというのは確かにそうだなと。ブルースはチェスやアリゲーターのようなイメージがあるけど、ソウルはそうではないですもんね。

筆者のAaronさんが選んだ曲はMove On upでこれまた納得の選曲でした。

この記事を読むような方はJimmie Soul Radioは愛聴されている方が多いと思うのですが、まだの方はぜひ。私はRadikoで聞いてます。このために契約してます…

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