以前、引っ越してからデスク環境を整えるまでの試行錯誤について記事にしました。
飛び回る生活から動かない生活に激変した。人生の多くを移動に使ってきたわけですけれどそうではなくなったわけです。
そして、今、翻訳もやめ、音声教材周りの仕事もやめ、私の仕事は教えることに統合された。パッド先生と大学受験生を教える仕事になったわけです。パッド先生ってなんやって話ですけどね…
生楽器のレッスンもやめたわけですし。ああ、最後に学参一冊作って、書くことも終わりです。ブログやハードコア・パッドスタイルは書きますけどね。
デジタル百姓と自分を定義した。
で、仕事の内容が変わると当然、デスクに求めるものも変わってきます。この先もやる仕事は変化はしていくでしょうけれど、変わらないことはある。衰えていくことです。
自分の体の衰えに合わせて、デスクの環境も変えていく必要があると言うことですね。
2021年に考えたことをより突き詰めていきたいと思います。
重視するのは3点。
- 視覚的にノイズが少ない
- 快適に使える
- 時間を増やす
自然にデスクに向かいたくなるデスクにする
「デスクに向かいたくないな」って感じる日、ありますよね。特に家で仕事をしているとデスクの環境は重要。
事務所があった時には感じなかったことですけど、生活環境と仕事が一体だとなお環境は大事です。いや、ほんまに。
事務所があった時には、そこに行って仕事をするということで、多少雑然としていても、自宅に戻れば生活空間と切り離されていた。ですから、職場は職場、自宅は自宅と言う割り切りが出来た。
でも、家でずっと仕事をしているわけですから、嫌でも目に入る。そんな時にデスクが美しいかどうかは大事。
散らかっているものがあるのはストレスです。
家だと逃げ場もないわけですしね。ずっと「ああ、片づいてないな…」と常にメモリの一部が占有されているような感じになってしまう。
そして年取ってくると、自分でやる気出すのがしんどくなってくる。
まあ、おじさんだから、朝起きた瞬間からずっとだるいですからね…
そういう時に、美しく整ったスタジオの写真見たりすると「あ、やりたい」って気持ちになるんですよね。
こういう外的要因を味方につけるのって、本当に大事だと思うんです。もう自力では頑張れないですからね…
部屋に入った時、整然としたデスクが目に入ると、自然と「すぐ座りたい」「機材触りたい」って気持ちになる。
逆に散らかってると、それだけで作業に向かう気力失われてしまう。おじさん、くじけやすいですからね…
視界からケーブル消えるだけでストレスも大幅に減って掃除もしやすくなる。
「デスクの乱れは思考の乱れ」と思ってるんで、普段から神経質なくらい片付けてます。
こういう美観や整理整頓がもたらす心理的効果って計り知れないんですよね。すぐ絶望するので、こまめに掃除してます。
掃除についてはいろいろ考えてきました。
毎日使うもの質があがれば快適な時間は増える
ずっと考えて実践してきたことですけど、無理ない暮らしに近づけるためにはどうしたらいいか。
快適な時間を増やし、不快な時間を減らせばいい。そうシンプルに考えた。これはおそらく今後も変わらないと思います。
デスクや、椅子、機材と言ったものは毎日使うものですから、その質を上げることは間違いなく生活が改善出来ました。
決して安い買い物じゃないけど、デスク環境への投資は、コストを「回収する」という考え方よりも、「生活を豊かにするための投資」と捉えた方が楽しいかなあと。
「いいデスクに向かってる」って感覚があれば、日々の暮らしが楽しくなりません?
仕事するのが重いなと言う時でもちょっとデスクに向かおうという気になる。
そしてもちろん生産性も上がる。
精神的な疲労感が減って、「デスクに向かいたい」と自然に思えるようになること。
これは計り知れないリターンですよね。
本当にモチベーションを保つのが厳しくなって来ているのを感じます。
絡まってるケーブル直す時に感じるような日常のストレスや、作業中の余計な視線移動なんかがなくなることで、最小限の動きで快適に制作に没頭できるようになる。
機材はね。もう大きく欲しい物があるわけではない。30代の時のようにハードまみれで制作したりすることは現実的ではない。
今後介護などの移動も考えると、シンプルで精神的にも肉体的にも疲れないデスクにしたい。
自分が疲れないことは今まで以上に重要になりますしね。万全に頭が働く時間は一日の中でも少なくなっているのは認めたくないけど事実です。
不快な時間を減らし、快適な時間を増やすのに一日の中で一番時間を費やすデスク周りにお金を使うのはいいことかなと。
体の負担を減らす 時間を増やすデスク
特に大事なのが、身体への負担軽減です。簡単に体はおかしくなる。
翻訳をやめて、タイピングの量が減ったから手の状態は良くなると思ったらそんなことはなかった。絶望です…
日本語入力が増えたことで体の使い方が変わった。結果としてかなり手の状態が良くない。特に右手の状態が良くないです…

右手の悪さが特に生活の質全体を下げているのが現状です…
分割キーボードにしたり、更にいろいろ実験する必要はあるけれど、左手を出来るだけ多く使うように体の使い方を変える方向にしている。
左手デバイスはLoupedeck CTでもう完成したと思っていたけれど、状況が変わってしまった。アップデートで使えなくなるものは流石にシステムに組み込めない。自分のワークフローが完成したと思ったのでショックは大きいですけど、仕方ない。
で、Console1中心のシステムに戻すことにしました。
ただ、Console1も問題があった。角度です…
市販のスタンドはどれも私には角度が会わない。手首を上げる(背屈した)時に手が苦しい。普通の人より事故の影響で可動域は狭いことも原因の一つです。
それだけではないんです。
自分の場合は体の正面にパッドを置くので、市販のスタンドはどれも角度が急過ぎるわけです。正面に置くより背屈したら苦しくなりますからね。パッドを制作の軸にしている人は私と同じ問題を抱える可能性が高い。
ドロワーに入れたら角度は良いけれど、視認性は悪くなる。
演奏しながらちょっと手を伸ばしてEQやコンプを調整する時、配置が悪いと手首や肩(三角筋、僧帽筋)にめちゃくちゃ負担がかかる。
一ヶ所の負担がどんどん複数個所の負担になってしまいます。で、右手の小指、薬指だけの問題だったのが、あらゆるところの不調につながったりする。回復も若い時に比べると遅い。もう終わりは見てるわけですからね。
効率だけ考えたらマウス操作が最速かもしれないけど、同じ動作の繰り返しは腱鞘炎のリスク高める。これ以上悪くなったらパッドも演奏出来なくなるかもしれない。
腱鞘炎のような痛みが慢性的になると、音楽活動だけじゃなくて、ドアノブをひねったり包丁握ったりといった生活のあらゆる動作が辛くなる。
手首や肩、目に疲労感があると、たとえ頭は働いていても、作業に向かう気力もなくなります。4、5月は特に痛みをやり過ごすので精いっぱいだった。
身体への負担を最小限に抑えて、視認性も確保された配置が出来るようにする必要が出てきたと言うことです。
いくら機材が気に入っいていても、ケースやスタンド、サイドパネルが充実してないと使いやすい配置にはならないと言うことですね。
ディスプレイだけじゃなくて、手元の機材とスムーズに視線往復できることが、長時間作業の疲労軽減に繋がるんです。特に首、肩の疲労度は全然違います。
そう考えると手や体が悪い人に向けて作ってあるものと言うのは少ないんだなと。
疲れて「もう今日はいいかな、明日にしよう」と思ってしまいがちな時でも、整った環境を見ると「もう少し作業を続けよう」という気持ちになる。時間を増やしてくれる。
痛みがあるって、もう不快な時間が長くなるわけですから、そういうものを予防出来るのは必要だなと。やる気を出すことは難しいけど、やる気にならないことは仕組みで潰せる。
あと、そもそも疲れない、痛みが少なければ生産性が上がりますしね。
快適な環境は、心身の消耗を防いでくれるはずです。不快な時間を減らして、快適な時間を増やせるように考えていく必要があると言うことですね。
デスク環境を育てる
デスク環境って一度作って終わりじゃなくて、使いやすいように何度も改良を重ねて、時には経年変化も楽しみながら、自分と共に「育てるもの」だと感じるようになりました。
そう考えると面白くないですか?完全な環境なんてことは永遠にない。
デスクと椅子はかなり満足しているんですよ。時間を掛けて吟味してきたので。
市販品で妥協できる部分もあるけど、どうしても理想に合わないものは自分で作るしかない。
Console 1のサイドパネル、PUSH3のスタンド、パームレストなど、それぞれに最適な角度や高さ、質感がある。
既製品の組み合わせじゃ限界があるものは、職人さんに相談して一から作ってもらう。
そういう対話を重ねる過程が、何より重要なんだなと。そういう時、木や皮と言う素材はいいなと思ったんです。
そして、職人さんと対話すると自分で思っていなかったところが快適さにつながることがわかってくるわけですね。
当たり前ですけど、職人さんの視点が入ることで、思ってもいなかったような解決策が見つかったりもする。材料ひとつ、工程一つ全部意味がある。解像度が全く違うんですね。
誰にとっても最高と言うものはない。でも自分なりの最高と言うのはあるはず。
実際に動き出してみた
そんなわけで行動に移してみました。
Console 1専用のサイドパネルを、職人さんに相談して作ってもらうことにしたんです。
角度、高さ、デスクとの一体感、視認性。まあ、私の注文は結構うるさいと思うんですけど、職人の上野さんが作ってくれました。
上野さんはミュージシャンなので、話が一発で通じた。
で、プロトタイプ作ってもらいました。凄いでしょ… これ、まだプロトタイプなんですよ。

実際の制作工程を見せてもらうと、どれくらい手間がかかってるかよくわかりました。話をいろいろ伺いながら工程見せてもらったんですけど、むちゃくちゃ面白かったです。一部だけですけど、お見せしますね。これで一部なんですよ…

メンテナンス性も塗料によって違うとか説明していただいて初めてわかりました。



見栄えも格段に良くなるのと、ケーブルマネジメントにも有効だろう。

機械で切ったらそのままと言うわけではないんです。見たら本当にびっくりしますよ…
ボール盤での精密な穴あけ、バンドソーでの正確な曲線カット、専用工具を使った丁寧な仕上げ。
どの工程も、あたりまえですけど素人が真似できるレベルじゃない。不可能です。塗料の選択、材の選択、加工の選択、それぞれに物凄いノウハウがあります。
技術には正当な対価を払うべきだと思ってます。
そりゃこれだけやっていて、値下げしてくれと言われたらたまらんですね…
これだけの手間がかかっていたら、市販の大量生産品とは全く違うのは良くわかるんではないでしょうか。上野さんのことについてちょっとだけ。
これを作ってくれたのは、ミュージシャンであり木工職人の上野さんです。
上野さんは工学系のバックグラウンドもあるので、モジュラーケースなども沢山作ってみえます。
モジュラーなんかだとケースがダメだと悲惨なことになるのは皆さん、ご存じかと。たわんでいたりするのありますもんね。
壊れたりしたら大変な事になります…ケースも壊れた、モジュラーも壊れた、家庭も壊れた。そんなことになったら絶望です…
関西在住の方だと、島村楽器のあのそびえ立つモジュラーケースを作っていたのが上野さんだと言ったら一発でその凄さがわかるんじゃないでしょうか。
次回は、制作過程や上野さんとのやりとり、そして他のデスク周りの改良計画についても相談に乗ってもらっているのでそのあたりについてもいずれ。
ササキさんとのUSBピッチベンドのケースの相談にも乗ってもらってます。
超人二人が作ったものをボンクラの私が普及させたいと言うのはあれなんですけどね…

上野さん、何でも作れるんでどうなっとるのやと思います。
理想のデスク環境作りは、まだまだ続きます。次回はサイドパネル改良の進捗ですかね。
上野さん、技術が凄いのもあるんですけど、何よりミュージシャンであるから、角度や排熱性、強度などを考えられるのが素晴らしいです。本当に。
こういうのを発注する側が全部、こうしてくださいと言うのは本当に大変ですから…
PUSH3スタンドアローンはPUSH3コントローラーよりケースをやっぱり工夫する必要がありそうです…
上野さんの工房のインスタはこちらです。
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