パッドフレンドのKiteさんに頂いたお題での4回目。
あまりにもテーマが広く深いので、明確な答えは出せません。
申し訳ない。ボンクラな自分には手が余りました…
ただ、はっきり言えるのは、DAWに慣れていない人なら情報にアクセスしやすいものがいい。そして、コントローラーがあればいい。
そして、できれば譜面が扱えるものがいいというところまで話は進んだ。
最短という縛りもまた難しい。
弦楽器をやった人間ならキーが変わるたびに運指が変わる鍵盤より、パッドのほうがメロディを弾くのも楽だろう。
ちょっと、インキーモードについては、YouTubeLIVEで話したんですけどね。改めて文章にしてみました。もっと突っ込んだこと喋ってたんですけどね。量が物凄いことになるので、簡単に書きました。
考慮しておく必要があるのは、実はいままで話して来たことだけじゃない。作りたいジャンルも頭に入れておいたほうがいいんだなと強く思いました…
なぜ、作りたいジャンルを知っておく必要があるのか
どこまでハーモニーを学ぶ必要があるかが変わって来るからなんですね。
例えば、フォークソングやEDMなんかだとハーモニー的には近いんですね。マジ?って思われるかもしれないですけど、マジです。
ダイアトニックコードから作られることが多いわけです。コード進行はシンプルです。まあ、コード進行がシンプルだから、音楽としてシンプルというのとは別問題です。
フォークの人だとギターが鬼のように難しい4フィンガーで弾いていたり、EDMなんかだったりすると、複雑なモジュレーションやローエンドの処理、ボーカルチョップの処理なんかは物凄いことをやってたりするわけじゃないですか。
ハーモニーという観点で切り分けるとこうなるだけ。力点が違う。
話を戻しますね。ダイアトニック・コードってそのスケールの構成音から作られるコードだとざっくり理解してください。
こういうものを作ろうとするなら、パッドの独壇場です。
それこそ、インキーモードで指3本の形でほぼ弾けてしまったりする。こういうジャンルだと4和音くらいまででだいたい曲のハーモニーが作れるから、コードの仕組みとキーくらいわかればいいかもしれない。
インキーモードというのは、そのキーから外れないように鍵盤やパッドが光ったり、限定するモードですね。PUSH、Launchpadにもありますし、Komplete Kontolなんかにもあります。
EDMなんかの場合は、ハーモニーと言うよりエフェクトだったり、音響が重要な音楽だから、それこそミックスなんかに時間を使う必要があるでしょうし。
モーダルなテクノみたいなのものも、いわゆる調性音楽の枠組みにない。
アボイドノートもないわけですしね。これはコードと言うより、むしろスケールの響きを覚えるほうが大事でしょう。EDMなんかと同じく、ハーモニーの理解よりミックスだったり音作りのほうが重要。
じゃあ、ポップスはと言われると、あまりにも範囲が広くて一般化はできない。
ですけど、インキーモードで作るのは相当難しいと言わざるを得ません。
便利なモードがあっても理屈を理解しないと作ることはできない
例えば、みなさんご存知の、Just the two of us進行なんかはダイアトニックの進行ではないんですね。
丸の内サディスティックとかにも使われてる進行ですね。
簡単にいうと、インキーモードでは打ち込めないんです…
一曲の中に転調があるとインキーモードは使えないということです。いやあ、絶望しますよね…
こういう進行を打ち込みたいとします。となると、7thコードが打ち込めないといけない。
となると結局コード進行と構成音がわからないと打ち込めなるということなんですね。
お、E7でこの曲はb9のテンションが入ってるから、オルタード・スケールやディミニッシュ選ぶぜ!
そんな人はいないですよね…わからない。いるかもしれない。世界は広いからな…
多分そういう人は超天才だと思います…
そこまでわかってる人なら弾いたほうが早い。
結局の所インキーモードというのは転調がないものにしか使えないということです。いやあ、絶望しますね…
だから、4度のクロマチックをパッドで勧めてきたわけです。
ジャズとか、ブルースとかファンクとかやりたい?そういう人はもう4度のクロマチックしか選択肢はないです。
補助ソフトを使うにしても勉強は必要
Scalerなどに代表されるコード支援ソフトやMIDIパック、曲を作るときの取っ掛かりに役に立ちます。
でも、例えば好きなコード進行を打ち込もうにもコードの表記は最低限知らないと打ち込むのは無理ですね…
コードからはずれないようにしたいと言うなら、それこそコードトーンだけでメロディを作るという方法もありますけど、それは多分物凄い天才じゃないと作り続けられないんじゃないかなと思います。
今のポップスなんか、9thをメロディに持ってくるものなんか増えてますよね。
コードトーン外のメロディを使うことは別に普通です。
もちろん、これは耳でも出来ますし、耳でやるのが音楽なんだから望ましい。
だけれKiteさんと同じ疑問を持つ方は、ハーモニーの必要性を感じている。
ハーモニーを勉強したいということは、アボイドや、アベイラブルノートスケールを知ったうえで、インサイドしたり、しなかったり選択肢がほしいということだと思うんですね。
パッドと鍵盤、どっちがいいのか?
ここまでパッドを推してきたので、パッドといいたいところなんですけど、必ずしもそうではないです。
楽器経験がない、弦楽器を弾いたことがある人にはパッドを勧めます。あと、手が悪い人。片手で2オクターブが女性でも子供でも弾ける。感度を変えればピアノやギターより力がなくても演奏できます。
上記に当てはまる人は、鍵盤を使うより、パッドのほうが楽だと思います。
でも、それ以外の人は鍵盤を使ったほうが楽な場合もある。
では、理由を説明します。
鍵盤は、ギターや4度のクロマチックと違ってポジションが一つしかない。C4と言ったら鍵盤に一つしかないんですね。ギターやパッドは複数のポジションがある。譜読みは難しい。
64パッドだから、覚えるのも実はそんなに時間掛からないんですけどね。
PUSH勉強会やって皆さんが思っているより時間は掛からなかった。ポジションの覚え方なんかコツがありますし。このあたりは押して覚えるコードとスケールという当ブログのコーナーでかなり解説してますので、興味ある方はご覧いただけると幸いです…
音名との対応関係においては、鍵盤の方が楽ということです。
え、じゃあ、鍵盤弾けばいいじゃん。騙したな、許さないぞ!
落ち着いてください…
そう思われるかもしれないですけど、パッドはそれ以上にメリットはある。
パッドも鍵盤も楽器に触ったことがない人は音名を覚える必要がある。
4度のパッドは視覚的に度数を覚えられる。キーチェンジや転調があるような曲を作る時、同じ手形で弾けるわけですね。鍵盤の場合は全部フィンガリングが変わります。
複雑な曲を弾く、転調が多い曲を作ろうとした場合は、視覚的に処理できるパッドのほうが楽なんです。
ハーモニーが簡単な曲ならピアノのほうが楽。難しい曲ならパッドのほうが楽。何たる矛盾。そうなんですけど、事実なんですよね…
だから、パッドのメリットを説いてきました。
また、スケールも一度視覚的に覚えればどんなキーでも同じフィンガリングで弾けます。
あとね。コードの上部構造が見えやすいんです。
複雑なハーモニーやアドリブしたいような人はパッドの明快さには驚くと思いますね。
Em7b5なんかGmのトライアド使ってバッキングしたり出来るんですけど、こういうのパッドなら見た瞬間にわかる。一つの手法を覚えたらすべてのキーで使えるということです。
鍵盤なら12キー全部フィンガリング覚えなきゃいけないってことですね。全部のキーで出来るようにしたかったら。
プレイしてみたい人にはパッドはおすすめです。
ある程度理屈を覚えたらそれを適用するのはパッドはすごく簡単なんです。
Dm7というコードがあったとして、お、別にドリアンでもフリジアンでもエオリアンでもいいな。ちょっとムード変えたろかみたいなときにさっと弾いて試せるのは圧倒的にパッド。
と、ここまでパッドを激推しているんですが、弾かない人なら鍵盤でもいいんです。なんじゃそりゃってなりますよね。明快な答えじゃなくすみません。
どういうことか。
半音上転調?4度上?それがわかればトランスポーズすればいいですよね。
さっきの例で言えば、E7打ち込むのが大変ならそれこそ白鍵だけで弾けるG7を弾いてからトランスポーズすればいいですしね。
あと、様々なハーモニーを研究したり、ピアノ的なプレイがしたい場合は当然ピアノを勧めます。あと、時間を使えるのであれば。鍵盤のほうがいいです。譜面そのままなんだから。
ハーモニーを理解するのに譜面との対応関係がシンプルな鍵盤は、理屈を理解するには簡単な楽器です。そして、音域が広いというのは分析が楽なんです。演奏が楽かはわからないです。パッドも両手で弾くとなると人によっては鍵盤より難しいとなるかもしれない。私は未だに鍵盤のほうがパッドより弾くのは楽なの、結構ありますからね…
そしてパッドで鍵盤並みの音域を確保しようとしたら、Linnstrumentしかないですもん。
鍵盤は12キー弾けとかになると一気に難しくなるんですけど。
対してコードネームだけ見て、さっと弾けと言われたら圧倒的にパッドが楽です。
コードとメロディを同時に弾きたいような場合は、当然ピアノのほうが簡単です。
64パッドしかないパッドはかなり工夫しなければならない。200パッドでも工夫は必要です。
64パッドの弾き方に慣れてるから、200で違うポジョションで弾くと全然弾けない。こっちのほうが絶対に楽に弾けるんだけど。まあ、鍵盤弾くほうが楽なんだけどロマンだから… pic.twitter.com/gVZRIFcEBR
— うりなみ (@urinami) December 25, 2021
でも、両手で弾ける必要性ってあります?
私はパッドが好きで楽しいからこういうのをやりますけど、曲を作って打ち込むだけなら右手と左手のパートをオーバーダブすればいいですよね。
鍵盤とどっちが弾くの楽なのと言われたら、こういうのなら私はピアノ弾いたほうが楽です。
でも、パッドのほうが楽しい。どのキーでも弾けますし。
ピアノは譜面があれば全キー弾けるけど、そうじゃなかったら瞬間的に移調して弾くほどは鍵盤は得意じゃないんですね・・・
勉強は絶対に必要 でもやりかたはある
勉強は絶対に必要ですけど、やりかたはあります。
勉強してあれば機材やソフトの力を借りればいい。勉強した後だとさっきいったツール群は強い味方になります。
オールドスクールなヒップホップは、コード進行はシンプルでもボイシングは複雑だったりしますよね?
そういういい感じのコードを弾けるようになりたいのなら、それこそLiveのAudio to MIDIなんかを使ってもいい。それを再生すれば、PUSHやLaunchpadなら押さえる方法もわかりますよね?
ネオソウルみたいなのものもそうですね。
コードネームがわかったら、内声部に密集するようなボイシングが特徴的とかわかるかもしれない。クラスターを作るようなボイシングとわかったらドンドン作っていけると思います。
それならStudio OneでMIDIにしてから、コードトラックに投げたり、譜面にしたらイメージできるかもしれない。
少し学べば可能性は一気に広がるんです。そして、それは多分皆さんが思ってるほど大変じゃないんですよ。
こういうコードでどんなプレイが当てはまるんだろうと思うなら、EzkeysのMIDIデータを使って、ピアノロールで確認してもいい。
Studio OneでMIDIデータにしたものをScalerで4度のクロマチックで表示されるようにする。
そして譜面も見たら、そのうち譜面なんか読めるようになりますよ。アルファベットより簡単です。
勉強ゼロでハーモニーを理解することはできない。
でも、そんな難しいものじゃないです。勉強は自分のツールボックスを増やすものなんで、別に感性を制限するようなものじゃない。
字が読めたから俺のセンスが失われたって人はいないですよね?そんな人はもはや宇宙人では…
その程度のものだと思って気楽にやってみたらどうでしょう。
パッドも鍵盤もやって無駄になることはない。ね。やめてもまたやり直したらゼロじゃないんだから次はもっと楽になりますよ。
DAWについては、Studio Oneが初心者がハーモニーを学ぶ上にはいいという話をして、これで締めくくりにしようと思います。
あ、初心者じゃなくてギター弾けたり、ベース弾けて音名がわかるんならパッドとAbletonは良い組み合わせです。
譜面読めるようになりたいんなら、Studio One+Ableton+PUSHが多分1番簡単。それに、Scalerを持っていると、Studio One上でパッドを使うのは楽になると思います。
で、パッドで全部演奏したいという人はそれにLinnstrumentを加えればいいんじゃないでしょうか。
パッドも鍵盤もハーモニーも楽しいですね!
コメント