SONICWIREより、ササキタカシさんが制作されたHARDWARE TECHNO LOOPSが発売されました。
非常に高品質なサンプルパックで愛用しています。
TECHNOと銘打っていますが、ハウスやR&Bなどにも使える。ループを組み合わせだけでいい感じになるというちょっとびっくりするようなサンプルパックです。
この高品質なサンプルパックがどのようにして作られたのか。作られたハード、録音方法、レイヤーなど、ササキさんの信じられない作り込みがあることがわかってきました。
当初は短くインタビューを編集し、まとめる予定でした。
ですが、音楽制作をされる人、サンプルパックを作ろうと思われる方など様々な方にとって非常に有益な内容を含んでいるので、連載記事という形でインタビューを投稿していきます。
本当にHARDWARE TECHNO LOOPSなんです。インタビューを読みすすめていくと、その意味がわかるかと。いやあ、濃厚なインタビューでした…
インタビューはAbleton友の会Discord内で行いました。音源を再生しつつ、友の会の皆さんに聞いてもらい、質問もうけるという公開インタビューの形で行いました。冗長な部分もありますが、臨場感をなくさないために残しておきます。
SONICWIREのブログと合わせて読むと、より楽しめると思います。
Takashi Sasaki氏 プロフィール
リズムマシンやシンセサイザーを複数使い、即興でその場限りのトラックを作り上げるマシンライブ・アーティスト。
ソロ名義とユニットConverge+にてNYのKing Street Sounds / Nite Groovesはじめ世界のレーベルから50以上のTechno、Houseトラックをリリース、Liciano、FRANK MÜLLER、mirko loko、Samuel L Sessionからも賞賛されている。
日本の札幌でハードウェアのシンセサイザーで演奏するライブイベントbeepを主催し、今年で開催50回記念となる。
拠点とする札幌のみならず東京や名古屋など日本各地のクラブイベントにライブアクトとして多数ゲスト出演している。
2023年11月、イタリアのLETS TECHNO RecordsよりリリースしたEP “Future Memory”はBeatportのTop 10 ReleasesでMelodic House & Techno チャート9位、Indie Danceでは2位に。
2024年はFearless Emotionsよりリリースされた”This Shimmering Night” Remixesにリミキサーとして参加。フランスのNaeba RecordsからリリースしたNight Loop feat. SAyAは追加でRemixも制作された。
リアルタイムに音を映像化する試みや音楽に反応する照明の制作も行い、聴覚とともに視覚にも作用するライブスタイルも探求している。
ササキタカシ氏の活動についてはこちら。
ササキタカシ氏自己紹介
うりなみ:エイブルトン友の会で皆さんご存知の超人ササキさんのループが発売となりました。それを記念してインタビューをしていこうと思います。
ササキさん、自己紹介よろしくお願いたします。
ササキ:ササキタカシと申します。友の会では絡んでる皆さんが揃ってますね。笑
トラックメーカーでありギタリストでありライブルーピングなんかも大好きなんですけども、とはいえメインは何でしょうね…マシンライブですかね?
うりなみ:ササキさんは書家でもあります。
ササキ:そうだ書家でもあります。笑
色々お店の看板とか書いてます。東京だとどこだろうな…ゴールデン街とかでも書いてます。札幌ではトラノハチワレさんでも書いていますね。
どのような経緯でサンプルパックを作ることになったのか
うりなみ:私自身も愛用しているのですがとにかくびっくりするぐらい汎用性が高い。
SONICWIREの惹句だとテクノに向いているという風な形で書いてあるんですけれども、テクノはもちろんなんですが、 テクノ以外でも使えるんですよね。笑
ササキ:うんうんそうなんですよ。笑
うりなみ: ファンク系やR&B系が私の好んで作るジャンルなんですけれど、そういう違ったジャンルにもマッチする。本当に質感が素晴らしいんですね。普遍的に使える音というか。
友の会の皆さん憧れのササキックも入ってます。笑 MIDIBOYさんが名付けてくれたんでしたっけ。
友の会の皆さんは制作されてる方で、今まで、いろんなサンプルパック使って来てみえるので、実際にこのインタビューの間に音を聞いていただこうかと。
ご意見など途中で伺いながらやっていきたいと思います。
今回のまず制作の経緯についてお聞かせ願えますか?
ササキ:トラックメーカー としてニューヨークやヨーロッパのレーベルからハウスやテクノといったジャンルでリリースさせていただいてます。もう60曲ちょっと出してるんですかね…
そういうことをやる時に、90年代ってシンセサイザーとか並べてリズムマシンとか置いてその場で打ち込んだのを手で触って展開とか作ってたなと。
うりなみ:そしてマシンライブもされていますね。
ササキ:札幌でBeepというPCを使わない電子楽器のライブイベントをやっています。
見ている人の目の前で、そこでしか聞けないトラックを作るというDJの上位互換みたいなことをやりたくなっちゃいまして。元々テクノのDJをやってたんですけど、DJだとその場で選曲しますよね。
その場面に合ってるのは「これだよね」って曲を選んで流すわけですが、「本当はここピアノじゃなくてエレピなんだよね」とかあるんですよ…
「フレーズがなんかこれじゃないんだよな」みたいな。
その場に一番フィットするトラックをその場で作れたら最高じゃないかって思ってたら意外とできるようになってしまいまして…
うりなみ:それは普通はできないと思われます。笑
ササキ:できちゃったんですよ。笑
数時間のライブを繰り広げたりするぐらいなってしまっていたところ「これをパーツとしてサンプルパックという形でリリースしませんか?」とクリプトン・フューチャー・メディアさんからお声がけ頂いたという。
うりなみ:札幌の初音ミクで有名な会社ですよねえ。
ササキ:そうですね、そちらの音素材やソフトシンセを取り扱っているSONICWIREの方で出さないかということでお話をいただきましてですね。
市販のサンプルパックも僕も買って使うんですけど、「ちょっとこれじゃないな…」 みたいことや「豪華ですごいいいんだけどちょっと違う」みたいなことも経験していて。
それを踏まえて痒いところに手が 届くものを作りたいという欲望のまま作ってしまいました。笑
一線を画する処理、音質へのこだわり
うりなみ:では、ササキさんのループを皆さんに聞いていただきたい。処理がね。凄い細かいんですよ…かゆいところに手が届くとおっしゃった意味がわかると思います。
サンプルでもローを切ってないとかハイを切ってないとか異常に耳が痛いハイハットとかって結構サンプルパックであるじゃないですか?
ササキ::うんうんありますね。
うりなみ:びっくりしたのが、このループからワンショットに至るまで全て痛いところがない。素晴らしいなと。ありそうでないですよ。徹底してます。
BPMがこれは125から127でしたっけ?
ササキ:そうですね。125と127です。
うりなみ:ループを組み合わせれば形になる。本当に即戦力なんですよね。
これの例えばワンショットなんて例えば ヒップホップ系とかでも全然使うことができるし極めて汎用性が高い。
(再生する)
耳に痛いところが徹底してカットしてある。クラブユースを特に考えて作られたとかそういうことあります?
ササキ:それもやはり大きいです。…クラブって夜10時ぐらい11時ぐらい から朝の5時ぐらいまでなんなら朝の10時ぐらいまでやってるクラブもある。その間ずっとクラブの中ででかい音を聞くんですけど、耳に痛いとなるともう苦痛なわけですよ.…
うりなみ:ですよね。そうなるともう最後までいられないです。
ササキ:そうですよね…もう家に帰れないからネカフェに行くかぐらいの感じに なっちゃうと思うんですけど…
やっぱりね、海外のアーティストが作るトラックって耳が痛いあたりを全て処理していてそのホスピタリティ溢れるEQにものすごい感銘を受けたんです。
海外に行ってる間もクラブに行くと、完璧に耳を守る形でデカい音を流してますし。
ループを組み合わせるだけで音楽的になる
うりなみ:なるほど。そして、このサンプルパックの特徴で、ループを適当に組合せてもバランスが破綻しない。一体何をやったらどうそういうの できるんだろうかと。笑
本当にちょっとEQするだけで成立しちゃう。普通破綻すると思うんですけど。笑
私が作ったループにササキさんのループを入れるだけでハウスとかの影響があったR&Bみたいな質感になるという。
それってやっぱりすごいササキさんの 音楽に対する深い理解がないとできないわけです。
「全く知識がない方でも楽しめるように作られてるな」というのが非常に印象に残ったんですね。どういうところを注意してササキさんは制作されました?
ササキ:そうですね、もう並べるだけで楽しいように。
それからサウンド的に楽しめる要素も欲しいなと思ったんですよね。
サンプルパックを買ったら、次にやるのは並べてみることなのかなと思うんですけど。
うりなみ:そう、並べるだけで成立しちゃうんですよ…笑
すぐ形になるっていうのはこういうことなんです。笑
[音楽]
ね?これももう気がつかれたと思うんですけど、ループにストーリーがある。単純な繰り返しではない。情報量が多い。
めちゃくちゃ手間かかってるなっていう風に思いまして…
次回は機材についてのインタビューです。
手間が掛かっているのはこの時点でわかっていたんですが、手間の掛け方も尋常ではありませんでした…録音の仕方から普通とは異なるササキさんの工夫がありました。
Hardware Techno Loops、Sonicwireのサイトでは掲載されてない、ハードウェアのリストを頂いているので、そちらも公開します。
単に機材を揃えただけでは、このようなサンプルパックは出来ないわけですが、なぜこのような高品質なサンプルパックが作れたのか、ササキさんの秘密に迫ります。
リリース情報
リリース情報 フランス Naeba Recordsよりリリースされた
TAKASHI SASAKI Featuring SAyA – Night Loop 収録のコンピ Japanese Xperience
好評につき追加製作、リリースが決定したRemix Night Loop remixes
昨年イタリア LETS TECHNO recordsよりリリースされ beatportで2位になったEP Future Memory
ライブ情報
2024.08.31(sat)
sound×dance×visual
Collaboration Event
“SPANDA Vol.3”
open18:00 start18:30
charge2500yen + 1 drink order
at environment 0g [ zero-gauge ]
大阪市西区南堀江3-6-1 西大阪ビルB1
(出演時間は20:10から20:50までを予定しています。)
Beep
ササキさんが主催されているDAWLESSのイベント、Beepの予定です。
beep 50 NON PC ELECTRONIC SOUND LAB.
2024.09.27(金)
21:00 – 23:30
¥1500(別途1ドリンクオーダー)
■Guest:
HATAKEN
MADZINE
■LIVE:
Takashi Sasaki
Shohei Takata
Yohei Kisaka
kousuke sato
■VISUAL:
chiyo_midnight
omi(Amejika)
大人座 札幌市中央区南1条西1 板谷ビル 8F
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