いやあ、すごい本だった。あふれるディスコ愛。
監修がT−Groove,林剛さんということでハズレが無いことはわかっていたんですが、超弩級のボリュームでした…
検索性を高めるために電子化もしているのですが、死ぬまで楽しめますね。
ディスクガイドとして優れているのは当然として間に含まれる対談、テーマの切り口など歴史も学べる楽しい本でした。
私は、古いソウル、ファンク、ジャズ、ブルースが好きで、ディスコはファンクの一形態という捉え方をしていたんですけど、新たな視座が得られて良かったです。
私が若い頃、ディスコって今ほど肯定的に捉えられてなかったんですよ。
そして、それは担い手であったミュージシャンでもそうだった。この評伝では、アレサはディスコに対して否定的な見方をしています。
ディスコ・デモリッション・ナイトなんかは、はっきり黒人差別やゲイへの差別だったろうなと歴史を勉強した今では思うんですけどね。
日本でもサザン・ソウルやディープなものが至高という価値観はあった。今だと全然想像もつかないですよね。
でも、ディスコはダンス・ミュージックとしての強度があったから生き残った。そして、今も生き続けている。
歴史を改めて違う角度で勉強するのにも役に立つと思います。ヒップホップがファンクの子供だとしたら、ハウスはディスコの子供ですもんね。
目次見てもらえればわかりますけど、ディスコ前史から語られていてディスコがどの様に影響力を持っていったかもディスクガイドとともに語られます。音源を聞きながらちょっとした旅行気分が味わえて実に楽しいです。
Discogsを見ながら、参加ミュージシャンのデータや録音スタジオを調べたりしているんですが、なかなか面白い。地域性をディスコにはそれほど感じてなかったんですけど、やっぱり基本的には東海岸の音楽として始まったんだなと。
今なら、これらの多くをサブスクで聞けますもんね。凄い時代になりました。
詳しくは書籍を直接ご覧いただきたいんですけど、ディスコの影響力というところをみても面白い。
日本への影響が語られているのはDJ向きでもあるんでしょうけど、勉強になりました。
欧米のサウンド受容と言う観点でも面白く読めると思います。
世界各地のディスコの影響も知らないことが多かったです。
ブラジル物というか、MPBなんかはファンクの影響もあったよなと自分なりの整理は出来ていたんですけどディスコからの影響は追えていなかった。
ディスコも聞いているものも偏っていたなと痛感してます…
プレイヤーなので、セルフ・コンテインド・グループはカバーもたくさんやったから知っているんですが、スタジオ・プロジェクトやアメリカ以外のディスコは本当に全然知らないですもん。
ドナ・サマーですら、全部は追ってなかった。不勉強さを実感しました…
購入してから半年くらい毎日聞いてないものを聞いたり、取り上げられているアーティストのディスコ期以外のアルバムを追いかけたり出来ているので、かなり70年代後半の解像度が高まりました。
自分がディスコと思っていなかったものも、取り上げられていて勉強になりました。面白かったです。折に触れて何度も読み返します。おすすめです!
これも激面白いんですよ…
ディスコ味があるものも結構あります。アナログで手に入れるのは無理でもYouTubeで見られるものもあって、凄い時代だなと思います…
日本語なら吉岡さんのこちらも読み応えがあります。ハーヴェイ・フークワのものも実に面白いです。
英語が苦にならなければNile本人のこちらの伝記もオススメです。ディスコを代表するミュージシャンがどうやって生きたか知ることでディスコの理解も深まると思います。
Nileはファンクギタリストとしても相当異端ですよね。めちゃくちゃゆるい弾き方だったり、モーダルなボイシングだったり、個性の塊ですが、生育環境もいわゆる普通の黒人ミュージシャンとは全然違う。
Chicのリズム・セクションの3人は、全く持って普通ではなく、個性の塊だった。
その個性が集まってディスコを代表するバンドとなり、ヒップホップにも繋がったのは感慨深いですね。あと、文章がすごくうまいです。簡潔だけど個性的。ギターとおんなじですね。
ナイルはアイドルの一人ですけど、闘病から復活したときも嬉しかったなあ。リハビリ頑張ろうと思っていたことを思い出しました。Nileの様にオープンマインドでありたい。
映画などもちょっと。
映像作品で面白いのはこれ。できれば、ディスコマッドネスとあわせてご覧になると理解が深まると思います。
プレミアついてますけど、オススメです。再発してくれるといいですね。
ゲイカルチャーとの関わりもわかると思います。人間開放運動の一環でもあったというのは、後で気づきました。恥ずかしい…
歴史的認識もわかって楽しいです。
なにかのインタビューでも読んだことがありますけれど、Nileも自分たちがやっている音楽はディスコとは思っていなかったとのこと。
ディスコ・レボリューションを見ると1974年までディスコという言葉は使われてなかったとあります。
KC and the Sunshine BandのKCも自分はR&Bを作っているんだと述べていて、ジャンルとして、ディスコというものが出来たのはそれくらいなのかとわかります。
ちょうどヒップホップが生まれて50年ですけど、ディスコも50年。
DJの力が強い音楽ということも共通していますね。
ディスコもギャングカルチャーとの結びつきがありますし、このあたりはもうちょっと調べたいですね。
マドンナをナイルがプロデュースした流れも、その地域、その時代を理解するとわかるはず。ハウス前史としても楽しめると思います。
歴史を知るにはディスコ・レボリューションがダントツでいいと思います。
こっちは、ディスコ期の有名クラブをもとにした映画。
当時のローラースケート文化も理解できるのでは。そういえば、Nileがローラースケートリンクのプロデュースもしていましたね。
ディスコ・マッドネスの目次を転記しておきます。ディスコに興味がある人ならどんな人でも楽しめると思います。
目次
凡例/参考資料
■ はじめに
■ ディスコ・ミュージック・ヒストリー〜国境・人種・ジャンルをまたいで爆発した愛と平和のサウンドの全貌(村岡裕司)
■ 対談 T-GROOVE × 林剛〜いま再び輝きを取り戻した一大ムーヴメントが持つ未曾有の影響力の源泉を探る
□(1)メインストリーム回帰への道のり〜ハウス・ミュージックのなかで生き続けたサウンドとスピリット
□ “ディスコの復権”を象徴する近年の注目アルバム(林剛)
□ 同 アルバム選(林剛)
□(2)様々なかたちでムーヴメントの扉を開いた先駆者たち〜ニューヨークを起点とした揺籃期のサウンドを探る
□ プレディスコ・アルバム16選(林剛)
□(3)スタジオ内での創造を担った多士済々なレジェンドの挑戦〜サウンドの傾向と、ミュージシャン/プロデューサーの特徴を分析
□(4)その後の音楽市場やカルチャーを大きく変えた劇的な革命〜各メーカーの動きと、リミキサーの影響力を振り返る
■ メインストリーム・アルバム 1973-1982(荒川典久、池上尚志、大久達朗、河地依子、サエキけんぞう、JAM、高橋芳朗、T-GROOVE、能地祐子、萩原健太、林剛、人見欣幸、馬飼野元宏、安田謙一、湯浅学、吉田明裕、渡辺亨、佐藤有紀)
□ ソロ・シンガー〜パワフルな歌声が大きな支持を集めるなか、俳優/モデルらによる個性的な表現も
□ ヴォーカル・グループ/デュオ〜フィリー・ソウル≒ディスコのイメージを植えつけたスタンダップ系グループの活躍
□ セルフコンテインド・グループ〜トランプスによる新たなサウンドの波及効果で、ファンク・バンドの音作りに大きな変化が
□ スタジオ・プロジェクト〜プロデューサーやセッション・ミュージシャン主体のユニットや企画ものが無数に登場
□ サウンドトラック/編集アルバム〜世界的なブームを決定づけた名作と、当時のシーンを現場感覚で捉えられる重要作
■ シングル・ガイド〜DJのニーズから生まれディスコの興隆を表裏一体で支えた12インチ盤と7インチ盤限定の重要作(JAM、T-GROOVE)
■ 猛威をふるったディスコ・サウンドの影響力
□(1)ロック/ポップス〜鏡のように映しだされる、ミュージシャンそれぞれの特性(安田謙一、松永良平、T-GROOVE)
□(2)パンク/ニュー・ウェイヴ〜音楽的な志向/構造の親和性が、グローバル化に結びつく(柴崎祐二)
□(3)ジャズ/フュージョン〜ジャズの矜持を保ちつつ四つ打ちビートを巧みに消化した達人たち(金澤寿和)
□(4)日本のポップ・シーン〜歌謡曲からシティ・ポップ、ジャズ/フュージョンまで(池上尚志、T-GROOVE)
□(5)ヨーロッパ〜〝純度100%のサウンド〟で世界的なヒットを生み出した、もうひとつの重要地域(T-GROOVE)
□(6)東欧/ソ連〜社会主義圏ならではの音楽的な環境が追い風になり、大きなムーヴメントへと発展(市来達志)
□(7)ラテン・ミュージック〜ニューヨークのファニアとサルソウルを二大潮流に、移民が育んだサウンドの融合(高橋政資、T-GROOVE、佐藤有紀)
□(8)ブラジル〜三つの大きな道筋に導かれて発展した、独自のグルーヴ(駒形四郎)
□(9)アフリカ/カリブ〜海外に拠点を移しての活躍が目立つ反面、現地ならではのサウンドも育まれる(T-GROOVE、林剛、佐藤有紀)
□(10)アラブ/アジア〜言語の違いや貧富の差などの要素が絡み合い、様々なスタイルが誕生(Soi48、T-GROOVE、佐藤有紀)
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