PresonusのATOMはStudio Oneのネイティブ・コントローラーでもあり、Abletonのコントローラーとしても使えます。両方のDAWでも使える独特の立ち位置の機材です。
Studio Oneではブラウジングからシーケンサーのコントロールが可能であったり、強力な機材です。
コントロールできる範囲はATOM SQの方が多いですが、16パッドを使ってStudio Oneのトランスポートなど含めてコントロールしたいという人には嬉しい機材だと思います。
Studio Oneの強力なサンプラーのimpact XTのコントロール(スタートやエンドポイントをバージョンアップでいじれるようになりました)も出来ますしね。
Studio Oneでの使用感はPresonus公式サイトや輸入元のMI7のサイト、日本でもっともStudio Oneの情報が充実しているStudio Oneの使い方メモさんをご覧いただくのが良いと思います。
今回はなかなか情報がないAbleton上での使用感などを。
マニュアルも日本語訳されてないので、操作方法なども書いておきます。そもそも動画しか情報ないですからね…
そして、動画ではかなり説明が足りないです。
Abletonでも使えると思って買った人は絶望するんではないかと思いました…
ATOMの強力なシーケンス機能についてはめはてこさんが詳しい記事を書かれてます。
ATOMがAbletonでできること
7つのモードがあります。結構多いです。どのボタンでどのモードになるかを覚えないうちはかなり戸惑うと思います…
- チャンネルモード(selectボタンを押す)
- ノートモード(Noterepeatを押す)
- ライブモード(デフォルト、他のモードから戻る場合はFull Levelを押す)
- プレッシャーオンリーモード(setupを押しながらパッド6番、ただしAbletonを立ち上げていない状態で設定する必要あり)
- トランスポート
- ユーザーモード(Editorボタンを押す)
- その他諸々
Studio Oneユーザーにはお馴染みのGregorさんが解説してくれています。
チャンネルモードでできること
Selectボタンを押すとチャンネルモードに入ります。チャンネルモードで出来ることは
- 1列目が、アーム(レコーディング可能にする)のオンオフ
- 2列目がソロ
- 3列目がトラック切り替え
- 4列目がクリップのストップです。
- ノブはボリュームとして機能します。他のモードから戻す場合はSetupキーを押しながら13番を押します。
- ノブをパンとして機能させる場合はsetupキーを押しながら14番を押すとノブがパンに
- setupキーを押しながら15番を押すとノブがSend1に
- setupキーを押しながら16番を押すとノブがSend2に
ノートモードでできること
Drumrackとそれ以外では挙動が変わります。
Drumrackの場合はDrumrackの配置に自動的になり、それ以外ではクロマチックになります。ここが最もAbletonでATOMを使う際に便利なところですかね。
ただ、スケールなどの支援モードはありません。その場合はPUSHやATOM SQを使う方が満足度は高いと思います。
Noterepeatを押すとノートモードに入ります。
- Drumrackの場合Up,Downでバンク切り替え
- その他の楽器の場合はUp,Downでオクターブ変更
ライブモードで出来ること
FullLevelキーでLIVEモードに入ります。これを忘れると大惨事です…
- クリップの録音・再生
- シーンの切り替え(シフトキーを押すと緑色にパッドが点灯する)
- Up,Downでクリップの再生範囲の上下の変更、左右でクリップの再生範囲の左右の変更
- Zoomキーを押しながらパッドで上下4つ単位、左右4つ単位で再生可能範囲を素早く移動(Zoomボタンを押しながら。移動可能なパッドが赤色に点灯する)
セッションビューをフル活用される方は、Launchpadなどの方が断然使いやすいと思います。さすがに16パッドでやるのはきついです…
プレッシャーオンリーモードでできること
MIDI CCをパッドを押すことで送ることができるというモードです。ノートは出力しないということですね。
ただ、このモードにする場合は、ATOMのAbletonインテグレーションをオフにする必要があります。単なるパッドにするということですね。
パフォーマンスに向いていると思いますが、工夫次第では色々できるかも。つまむ動作は手が悪くてきつい人にはこれでしかできないことがあるかもしれないですね。なかなかの飛び道具ですよ。可能性感じますね。
Presonusの公式の動画にありますね。なかなか面白いです。
動画では説明されてないのですが、Abletonを立ち上げてない状態でないとこのモードにはなりません。
- Abletonが立ち上げてない状態でSetupキーを押しながらパッド6番を押す
- shiftボタンを押しながらSetupを押す
- Show/Hideボタンを押して、赤色に点滅させる
- 赤色に点滅した状態で、プレッシャーオンリーモードにしたいパッドを押す(消灯します)
- Setupを押すとプレッシャーオンリーモードに設定しているものは暗い青色になっているのを確認する
- Abletonを立ち上げる
- MIDIマッピングする
このメリットは、普通ならスライダーやらノブやらで調整するパラメーターをパッドの押し込みでコントロールできることです。
ライブでフィルターの開閉なんかをやろうとするとコントロールできるのは2つが限界ですが、パッドなら押し込む強さだけでコントロールできるので6つくらいまでなら全然コントロールできますね。
トランスポートモードで出来ること
ここはそのままですね。いちばん使用頻度が高いものですね。
Shiftキーを押すと挙動が変わるものが2つあります。
- Shift+playでループ
- Shift+stopでUNDO
いずれもショートカットキーでできますが、片手で済むのはメリットですね。
ただね。残念なことがあります。Stopキーを押しても始点に戻りません。通常の挙動にしたいなら、MIDIラーンしてください…
UNDOよりおそらくその方が便利だと思います…
ユーザーモード
Editorモードになると、Abletonのインテグレーションがオフになります。ノブにアサインし放題ですね。ちょっとしたものをノブにアサインしたいという時に便利です。
これはちょっとした機能ですけど、重宝します。実際、そんなにオートメーションを描かないという方はこれで十分となることも多いのでは…
AbletonのデフォルトのMIDIマッピングでお好きなパラメーターにアサインすればつまみをぐりぐりとして遊べます。
これ、MIDIノートも別個にアサインできたらもっと便利に使えたと思うんですけどね。ここは残念です…
その他諸々
動画では説明されていないんですが、2つ機能がありました。
- Show/Hideボタンで詳細ビューのオン・オフ
- Presetでアレンジメントとセッションビューの切り替え
感想
Studio Oneでは相当なことがATOM単体できます。特にサンプリング中心に作る方には持っていて損はないと思います。ノートリピートなんかはATOM SQよりやりやすいですしね。Impact XTをフル活用して、叩いて作る方にはおすすめです。
AbletonとStudio Oneを併用する人で16パッドを使いたい人で、省スペースのものが欲しい方に向いた機材だと思いました。
他のコントローラーと比較しながら感想書いていきますね。なかなか独自のポジションですね。ATOMは…
ATOM SQの方が、Abletonをより深くコントロールできます。
マクロが自動アサインされたり、PUSHと同じく他社製のプラグインもマッピングされるのは他のMIDIコンにはない機能。これだけでも他のコントローラーより優れてると思いますね。モバイルで使うにはすごく便利です。
フィンガードラムをやりたいならATOMSQよりATOMですが、PUSHより小さいコントローラーで鍵盤的なものがある方が嬉しい場合はATOM SQの方が満足度が高いと思います。
繰り返しになりますが、ATOM SQはモバイルMIDIコントローラーと考えると超高機能ですね。Studio Oneのコントローラーとして高機能というだけではなくて、AbletonのMIDIコントローラーとしても高いレベルですし。
Studio Oneをメインとして使用されるならATOM,ATOM SQのどちらもあってもいいと思います。
ただ、Studio Oneは、正直、PCキーボードで相当なところまでコントロールできますからね。Studio Oneは賢すぎるんです…
オートメーションもマウスで描いている、打ち込みもマウスという人はMIDIコンはなくてもいいのかなと感じました。Faderportすらなくても相当のこと出来ますからね。
では、AbletonでATOMを使う場合のメリットは何かというと、Drumrackのアサインをしなくて良い点とユーザーモードがあることですかね。え、それだけとなるかもしれないですね。
でも、これが1番のメリットですかね。ATOMのほうがPCキーボードや鍵盤より遥かに早くできますし。ちょっとだけノブが欲しい時なんかも便利です。他にもいろいろできるけど、この2つが簡単に快適にできたら制作は捗ります。
AbletonをいちばんコントロールできるのはAbleton PUSH2であることは間違いない。でも64パッドはいらないよという人も多いのでは…
場所をそれなりに取りますしね。
セッションビューの再生もしない、Ableton純正のエフェクトはそんなに使わないとなると、ノブもそんなにいらなくなります。
でも、ちょっとオートメーションを記録する時くらいにノブが欲しいというくらいの人にとってはAbleton PUSH2は大きすぎます。
PUSHのシーケンサーは強力ですけど、細かいことやるならPCでやった方がいい。
となるといくつかつまみとパッドがあればいいという人も多いんではないでしょうか。
他のパッド類に比べると、ATOMはトラックのミュートやアームができたりするのもポイントは高い。
鍵盤が普段入力のメインでAbletonのトランスポートは持っていない、鍵盤でフィンガードラムをやるのはしんどいという人にはMaschineかATOMかという選択で迷われる方もいるのではないかと思います。
Maschineユーザーの観点からすると、感度がいいパッドが欲しいならMaschine mk3の方が満足度は高いと思います。MIDIコントローラーとしての基本的機能は高いですしね。ノブも多い。
ただ、スペースは結構とる機材であることは間違い無いですね。
なんというかここまで書くとATOMにはあまりメリットがないように思えますね…
Abletonのコントローラーとしては機能はシンプルですし。でも、それはAbletonで使う場合で、Studio Oneで使うとかなり印象は違います。画面がないのはメリットでもあるんですよね。PCの画面のほうが情報たくさん得られるし、そのおかげで省スペースの機材になってますものね。
そして、省スペースという点とStudio OneとAbletonの両方でネイティブコントローラーとして使える16パッドと考えると他に並ぶものがない。プレッシャーオンリーモードという飛び道具もありますし。
そしてこれならビジネスバッグに楽勝で入るサイズ感ですね。
クラスコンプライアントなので、iPadなどに接続できることもメリット。デスクが狭い方、Studio OneとAbletonを併用される方にはおすすめです。
ATOMも楽しいですね!
Maschine関係の記事はこちらです。
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